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読書記録

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読んだ本の感想をまとめました。
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#吉本ばなな

実家での生活で『「違うこと」をしないこと』を考える

実家での生活で『「違うこと」をしないこと』を考える

幸せな里帰り生活ではありますが、「違うこと」をしちゃってるな…と思うときがあります。

吉本ばななさんがこちらの本で「小さい頃は家族の調整役だった」と仰っていて、私もそうだなと。

HSP気質なので、意見を通すよりも共感や同調を優先してしまうんですよね。
父、母、妹、それぞれの想いも、長年一緒に生きてきたからこそよく分かるし…

たいていのアドバイスは、私のことを心配して、私のためを思って言ってく

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その土地で生きていくことへの覚悟と安心感

その土地で生きていくことへの覚悟と安心感

下町に根づいて暮らすってどんな感じなのかな。
よしもとばななさんの『ジュージュー』、主人公・美津子の生きざまは地に足がついたもの。追体験して、そういう人生もありだよなあ、と思いました。

おじいちゃんの代から続いているステーキハウス「ジュージュー」でお父さんと一緒に働く美津子。
数年前に亡くなったお母さんのことをいつも思い、お母さんの記憶とともに店で過ごす切ない時間。

その場所に長く居るというこ

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臨月に入って、こんなに遠くへ来たんだなと思う

臨月に入って、こんなに遠くへ来たんだなと思う

吉本ばななさんの小説が好きです。
日常でふとしたときに思うことを、透明な、静かな言葉で綴ってくれている感じがします。読んでいると心が澄み渡っていく。

ばななさんが出産を経て執筆された作品『イルカ』を読みました。

読みながら、妊活を始めた頃から臨月に入った現在までの記憶に思いを馳せていました。
いろんな出来事がぎゅっと詰まった期間でした。長いようで短かった。

不安や悲しさや嬉しさなどいろんな気

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自分を重ねる―『アムリタ』/吉本ばなな

自分を重ねる―『アムリタ』/吉本ばなな

吉本ばななさんの本が好きです。『アムリタ』は6回くらい読み返しました。
もう一度読んでみて、私は主人公の朔美がとても好きなんだということに気づきました。

朔美は頭を打って記憶を無くしてしまうのですが、その出来事さえも含め、現実をそのまま受け止めている様子で書かれています。動揺、悲しみ、苦しみ…をあえて細かく描写しない、ばななさんの書き方が好き。

記憶を無くしているからなのか、もともとの気質なの

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