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公開フリー『中世の国土高権と天皇・武家』(校倉書房2015)

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拙著『中世の国土高権と天皇・武家』(校倉書房2015、540頁)を公開したものです。校倉書房は多くの歴史書をだしていた会社ですが事業継続ができず廃業したため、版権の問題がなくなり… もっと読む
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記事一覧

伊藤の内紛と祐通暗殺

 さて、伊藤祐親にとってより決定的な問題であったのは、いうまでもなく、ほぼ同時期に親族の…

伊藤氏の縁戚関係と北条氏

 そもそも伊藤氏は、工藤流藤原氏、つまり藤原氏南家・乙麻呂流の藤原為憲の流れに属する有力…

頼朝の「二女」騒動と「うわなり打ち」

 そもそも『曾我物語』(巻二)に「兵衛佐殿、当国に配流せられ給ひて後は、伊藤・北条を憑み…

流人頼朝の野望――頼朝と伊藤祐親

『中世の国土高権と天皇・武家』からの抜粋  流人頼朝の野望は、この王権に直結して平氏や頼…

拙著『中世の国土高権と天皇・武家』)の公開。まずは目次、序論 。なおそれでも本の…

本書『中世の国土高権と天皇・武家』(校倉書房2015、540頁、定価12000円)は、出版元の校倉書…

公開著書『中世の国土高権と天皇・武家』第一章「平安時代の国家と荘園制」

平安時代の国家と荘園制 はじめに  報告の前提となる問題意識を以下の三点にまとめておきたい…

公開著書『中世の国土高権と天皇・武家』第一章補論一「平安時代法史論と新制についてのメモ」

一章補論1 平安時代法史論と新制についてのメモ  第一章「平安時代の国家と荘園制」は一九九二年度日本史研究会大会報告であるが、ここにおさめるのは、大会前に公表された準備ペーパーである。本論で、この準備ペーパーの参照を求めている部分を中心に掲載し、不要な部分は省略してある。今回、若干の追補をしたとはいえ、不十分なままのメモにすぎないが、本論の関係で必要な部分もあるので、掲載した。  法史学的にいえば、日本中世の新制は、ヨーロッパ王権の王令・禁令に対比される

公開著書『中世の国土高権と天皇・武家』第一章補論二「石母田法史論と戸田・河音領主…

第一章補論2  「石母田法史論と戸田・河音領主制論を維持する――水野章二氏の批判にこたえ…

公開著書『中世の国土高権と天皇・武家』第二章「平安鎌倉時代における山野河海の領有…

山野河海の領有と支配       はじめに  平安時代の後期、一一二一年(保安二)の八月二…

公開著書『中世の国土高権と天皇・武家』第三章「日本国惣地頭・源頼朝と鎌倉初期新制…

日本国惣地頭・源頼朝と鎌倉初期新制  問題の所在  鎌倉期国制史研究の隅の要石の位置を有す…

『中世の国土高権と天皇・武家』第四章「院政期東国と流人・源頼朝の位置」

院政期東国と流人・源頼朝の位置 はじめに  川合康*1は、院政期の地域社会では領主間の矛盾・…

『中世の国土高権と天皇・武家』第五章 「義経・頼朝問題と国土高権」

義経・頼朝問題と国土高権  はじめにーー義経の位置と後鳥羽   いわゆる鎌倉幕府体制の形成…

著書公開『中世の国土高権と天皇・武家』第六章 鎌倉前期国家における国土分割

鎌倉前期国家における国土分割           保立道久           はじめに …

著書公開『中世の国土高権と天皇・武家』第七章。「土地範疇と地頭領主権」

土地範疇と地頭領主権                 問題の所在  かつて大山喬平はその論文「国衙領における領主制の形成」において、太良庄の史料を取り上げ「勧農権とは下地進止権の根源形態にほかならない」という著名な命題を提出した*1。その根拠は太良庄に関する一二四七年(宝治一)の関東裁許状案(『若狭国太良庄史料集成』①三七号文書、「東寺百合文書」エ函二)に、「一、勧農事」とあった部分が、一三二二年(元亨二)頃に作成された東寺供僧目安太良庄所務条々(同史料集成②三三七号文書、「