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詩歌集『ロスト・イノセント』収録詩歌 解説記事リンク


 詩歌集の発行にあたり、収録詩歌について、過去にnoteで掲載した解説記事へのリンクをまとめます。現状16記事。
 各記事から引用したフレーズを各記事リンクの前に示していますので、なんとなくこの記事を流し読みしながら、気になるものがあれば見ていってください。


 詩歌の自己解説を出す意図については下記。

 作品について何もかも説明するのは野暮だが、何も説明しないのは意思を感じ取られにくい。芸術家だって講評の壇上に立たされるし、その時に作品について説明する必要がある。説明の内容・やり方の良し悪しはあるだろうが、説明とは作品において付き物だ。それは時に深みや考えのきっかけを鑑賞者に与える。
 そんなイメージで、自分の詩について、俺自らの視点で、ある程度の説明を加えたいと思う。
 俺はこう思って作った、という話をするが、読者がどう思って読むかをコントロールできるわけじゃない。俺の言っていることと、あなたが作品を読んで心から思ったことが相反していたとして、どちらかの主張が正しいとか間違ってるとか言うつもりはない。
 『あなたが見たいものが あなたが見たい景色が 世界そのものだから』という詩を書いたことがあるが、突き詰めればそういうことだ。
 だから、俺の説明は、適当に、そうなんだ〜、と思って、好き好きに読んでほしい。もし俺のこの説明がきっかけで、作品に対する視座や感慨が新たに得られるのなら、これ以上に嬉しいことはない。

自著『天才少女と集中の海原』冒頭より引用




◆詩歌集『イノセンス・ロスト』 セルフライナーノーツ
 2024年4月8日

 発行する詩歌集の詳細と、制作背景を示した記事です。

 俺はあくまで独善として、宇佐見菫子もそういうやつであってほしかった。かつて夢を見て、やがて現実に押し潰されて、それでも現実の課題を捌きながらでも創作をしたくてしょうがないやつでいてほしかった。
 夢見る幻想郷は現実から遠く浮遊していて、現実に苦しむ俺がその世界となんの接点もないままだという結論は、俺には耐えられなかったから。




◆『善意の拒絶』 博麗 霊夢 解説記事 2024年1月3日

 集中の海原に、望まずとも自然と浸ってしまう、そんな純粋な天才について綴った詩。そしてその感慨は、天才故に共感し得ないものでは、決してない。 




◆『逃避の清算』 霧雨 魔理沙 解説記事 2024年1月4日

 ようやく思ったが、今年の9月から作り始めたこれら詩は、俺のエゴイズムを多分に含んでいる気がしてきた。それが吉と出るか凶と出るか、読まれるかよまれないかは、今のところわからない。




◆『生涯の果ての地』 ルーミア 解説記事 2024年1月5日

 そんな、グロテスクで、身勝手な想像によって作られたルーミア像を、遺憾なく、遠慮なく、書いたつもりです。




◆『置き去りのソレイユ』 大妖精 解説記事 2024年1月6日

 この詩は別れの宣言だ。かつての日々に置き去りにした、しかし未だに時々取り返したいと思ってしまう、そんな無垢の日々への惜別を告げるものだ。




◆『スノウフレイク』 チルノ 解説記事 2024年1月7日

 それが自分の根幹に強く根ざしていて、捨ててしまうには空洞が空きすぎてしまうものならば、もういっそ、その思い出に蝕まれながらも生きていけよ、そう思う。




◆『遠き盈』 西行寺幽々子 解説記事 2024年1月9日

 西行寺幽々子の自尽についても、俺は肯定も否定も取らない。ただ、そこにあった情緒を、俺なりの誠意で書くだけだよ。




◆『いつも傍にある』 ミスティア・ローレライ 解説記事
  2024年1月10日

 たとえ歪んだ認識に基づいた愛情であっても、その対象を好きだという気持ち自体は本物だと言いたい。




◆『散る花束』 風見幽香 解説記事 2024年1月11日

 自分の好きな部分だけを見て、厭に感じたり痛みを抱く部分に関しては、目を背けて、見なかったことにしてしまわないだろうか。俺は、そういう姿勢自体が、「咲く姿だけを見続け、枯れる前に潮が引くように逃げる」という、異常で、しかし普遍的な人間の習性なのではないか、と思う。




◆『失はれた夜星』 犬走椛 解説記事 2024年1月12日

 俺は、競争や勝負の世界に身を投じるのであれば、人間のどうしようもない劣等という性について、よく知っておかなければならないと思う。それが人を狂わせることも、これまでの関係を破壊してしまうことも、執着するほどに壊れてしまうことも、よく知っておかなければならない。




◆『偽りの喪失』 古明地さとり
◆『悲哀』 古明地こいし 解説記事 2024年1月13日

 よくないことを考えたりしてしまった人が、一生涯報われないだなんて、そんなことがあっていいものかとも言う。いちど人間に絶望した者が、初志貫徹してずっと人間に絶望し続けないといけないだなんて、そんなことはないはずだと思う。




◆『長雨』 多々良小傘 解説記事 2024年1月14日

 もし、俺が愛着なしに葬った道具たちが、多々良小傘のように、純粋無垢で、怨みとも無縁の生き方をしていたとしたら、それはきっとありがたいことだし、同時に、これ以上ない俺への当てつけだと思う。




◆『火蓋の死』 宮古芳香 解説記事 2024年1月15日

 死者は、物事を始められない。物事の始めに立つことができない。それは、生きている人間との、致命的で、どうしようもない違いだ。




◆『天体の死するとき』 赤蛮奇 解説記事 2024年1月16日

 自分を超えるために飛び立った足は、地上高10メートルから飛び降りているだけの蛮勇なのかもしれない。けれど蛮勇であったとしても、超えなくてはならなかった。飛ばなくてはならなかった。




◆『地上を跳ねる弾丸』 鈴瑚 解説記事 2024年1月17日

 俺にとって月を追われた玉兎とは、棄郷の人だ。地上は穢れているという価値観で生きてきて、なのにその地上に送られてしまう。
 地上が穢れているという価値観を肯定してきた人は、その時、どういう理屈を持って、故郷を去ればいい。二度と戻れないかもしれない片道切符の旅路に、どう整理をつけて臨めばいい。




◆『滑落した全身』 エタニティラルバ 解説記事 2024年1月8日

 蛹というものを俺なりに敢えて表現するならば、それは閉塞した巣だ。その生物に刻まれた遺伝子情報や本能に基づき、もといた状態からの変化と成長を促す。蛹の殻は硬く、脱出も干渉もなるべく許さない牙城だ。しかし時が満ちれば、その表面は割れ、柔らかい、あらたな姿が大気に曝される。少しの間、羽根を乾かしたら、もう飛び去らなくてはならない。そうして地を這っていた頃とはお別れする。