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モチベーションって?「待つ」って、どこまで?

オット氏が正社員になることに、とても億劫な態度を見せている。

私としては、介護職である彼が転職するにあたって、これまでの介護職キャリアでそのまま行くのなら、何の支障もないと思っているんだが。彼の腰がとっても重いのだ。
不満を感じている現状、この就業先でこの先も働こうと思えないのだ、と。

私の希望はこれだ。
彼に自分のキャリアの可能性を、もっと拡大して欲しい。彼は12年、大きな組織の特養施設で働いてきた。介護職はどこも人材不足不足で、彼のキャリアなら正社員で働いたほうが安定しているといえる。
今彼は派遣で働いている。東京から関西に引っ越してきた。初めての転職だ。それで、いくつかの施設で働いてみようという目的が当初は、あった。でも就業先では、業務のダメな面や、職場への不満な点が目に付く。

それは彼自身の視点のフィルターに「以前の職場のほうがましだった」という気分が大いにあるからだ。そして、関西に「連れてこられた」という意識が彼を頑なにしているのだ。
実際は、引っ越すことについてさんざん話し合ったつもりだ。彼は私が提案した関西への移住計画を実行するとは信じていなかったのだ。だから引っ越してからもうすぐ2年経つが、以前の周囲の環境に、日々に、未練たらたらなのだ。

介護業界においては、正社員で残業なし。というポジションを確保できるのであれば、正社員で就業する方が私はメリットが多いと思う。そして派遣社員よりも収入のアップが見込まれる。だから彼にはもう少し、将来に向けての展望を、「私と一緒に暮らしている」意識についても、考えてみて欲しいと思ってしまう。

私たちはアラフォーの夫婦である。経済的に、元気に働けるうちは、できるだけ働ければいいと思っている。もう少し収入を増やすということに意識を向けてもいいんじゃないだろうか?
正社員の方がいろんな意見を通しやすいと思う。彼は仕事に対してまったくやる気がないわけではない。業務改善において何か提案したり、工夫して実践したりしている。それが周りに評価されてもいるのだ。
それが派遣というポジションで評価されるのと、正社員のポジションで評価されるのとでは、後者の方がメリットが多いはずだ。だがあまり責任(ここでは「負担」)を持ちたくないというのも彼の持論である。

でも仕事ってそういうもんじゃなかったっけ?と私は内心思う。
そしてそういうものだと、ある程度認識した上で私はとうとう久しぶりの正社員に挑戦し、そこで長く働こうと思った。
彼が私に対して以前言っていた「ひとところで長く働くことの大切さ」、その指摘が今度はブーメランとして彼自身に戻ってきているのである。その事に彼は気付いているのだろうか?

いつまでふらふらしているの。仕事探しや正職員になることについて話をすると、とても嫌そうな顔をするようになった。うるさいとまで言われるようになったけれど。二人で暮らすにあたり、二人とも働いていこうというのは、結婚した時点で共通認識としてあったはずだ。子供はいないから。

彼も私も五体満足で、彼は長く介護職のキャリアもある。実際転職活動をするときに実績を話すと、どの面接官からもひっぱりだこだった。
肉体的にもしんどくて、人材不足で、特養は特に認知症や持病持ちの利用者さんと関わる仕事だったため、彼はなかなかハードな現場での経験を持っている。そこでひとところで10年以上のキャリアを築けていることは事実なのだ。

でも今は実質3割ぐらいのパワーしか出していない。仕事に対して、どんどん意欲も薄れ、行動に対する腰も重くなっている様子がわかる。そのことで見えてくるデメリットはいくつもあるように思える。

もっとも感じているのは、仕事に対するネガティブな視点である。これまでもその視点は常にあったが、収入という報酬で気分をキープしてきた。でも今は収入も下がり、何事にも「どーせ無理」という意識がアップしている。

仕事をやりがいという点で関心が薄いという感覚に対しては、人それぞれの価値観なので、あまり介入はできない。私は「やりがい」なんて重視しすぎて失敗してきたタチでもあるのだ。
でも仕事に対してやる気がでないのは当然だという認識はやめてほしいと思う。だって実際に横で見ていて、彼のやる気がない、という時の表情は暗い。かなしくなる。
どーせ無理、という気分が。日常的にプライベートな部分においても浸透していくのは良くないと思う。そして同時に私に対してもそれは影響を与えているように思うが、そのことには気づかないのだろうか?

また実際の転職探しも人任せ、仕事斡旋企業の営業担当に任せきりで、自分は受信した情報を、いい、とか、いや、とかで分けているだけのように見える。私もできるだけ彼の優先したい条件に合わせて、様々な仕事を案内したりするのだが、彼はそれに対して「うるさい」と感じているようだ。

彼のそんな態度に対して「待つ姿勢は大切」とはいえ、私はどこまで、いつまで「待て」ばいいのだろうか?

一方、現状。まだマシなところを挙げてみる。
同僚との人間関係は良いようだ。彼が不満を感じているのは施設の構造、それ自体と組織の構造、それ自体である。その不満や。改善についての意見交換は同僚とできているらしく、その部分は少し救いであると思える。また、利用者さんとの関係も良好なようで、彼は利用者さんにも好かれてよい関係が築けている様子を、日々の彼の話から聴くことができる。
また、家では日常的に料理を作ってくれるので、料理が下手かつ面倒な私にとってはとてもありがたく、栄養のバランスのとれた彼の料理が食べられるのはとても嬉しいし、私も彼と一緒に居る時間がこんな風に彩られてとても嬉しいと思っている。

私から彼への提案は以下の通りである。
1。転職の際は、介護職以外の職種にも挑戦してみたらどうか?
彼の回答はこうだ。どうせ無理。 43歳まで。ずっと介護だけでやってきたのだから、これしかできないと言い張る。
とはいえ、できるか否かについて、具体的な挑戦はしたことがない。

2。私たちは東京から引っ越してきた。彼にとっては未開拓のこの地に。そのため、何かと彼は東京と比べてものをいう。どちらかというと批判的に。それならと私は言った。東京に、1ヶ月から3ヶ月ぐらい一人でまた住んでみて。久しぶりに東京で暮らしてどうだったか?を考えて、今後も東京で暮らして行きたいのであれば、具体的なプランを立てて実践してみてはどうか?彼の回答はどうこうだ。
東京は訪問するところではなく、暮らすところだ。
私は彼の感情論に振り回されたくないので、そのつじつまの合わない理屈は黙認した。

3。あなたの実家に帰って、少しリフレッシュしてきたらという?
彼の回答はこうだ。いやだし、両親の夫婦間の面倒なやり取りに巻き込まれたくない。
結局のところ。彼はめんどくさいの一言に尽きるのだ。

でも自分から動かない限り、何も始まらないというのは分かっている。時々、彼はどうしたらいいんだろうというような顔を私に向ける。その表情を見ると、私も「気持ちはわかるけれど、結局のところ、あなた自身がやるしかないのだ」と心の中で言う。実際にそれを言うと、彼も実際にうるさいと返してくるのが分かっているので。
堂々巡りのこれらの実際の会話と、内面の会話を私たちは1年半以上続けているのだ。

私も私で仕事に対していろんな想いや意識の改善や挑戦をしてきたつもりなので、そのバランスを崩さないように自分のキープもしつつ過ごしている。彼と、仕事に対しての話を、もう少し、真面目にしてみたいと思うのだが。彼には取り付く島なしなのだ。

彼はいいところも素敵な部分もたくさんあるので(だから結婚したのだ)、この引っ越し経験が時間とともに、慣れとともに意識の改善に向かえばいいけれど。でも、短気な私は、彼のそんな態度に対して「待つ姿勢は大切」とはいえ、いつまで「待て」ばいいのだろうか?

桜の満開はあっという間に過ぎ、葉桜が半分くらい、桜並木にみえている。葉桜も、悪くないなと思いながら、なんでこんなに気分って移り変わるのがはやいのだろうと思う。

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