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秋の夜空に恋をして_1約束の再会

あなたは、前世縁をどのように考えますか。

七々星(ななせ)は30を迎え、シングルマザーとして恋愛とは無縁な忙しない日常を過ごしていました。
秋の夜長、夜風の仕業だったでしょうか、たまたま知り合いに呼ばれた会合に珍しく足取り軽く出向いた七々星は、彗斗(けいと)と出会います。

あの日の感覚はとても不思議なものでした。
七々星にとって、彗斗との出会いは「初めまして」のはずでしたが、どうしてもどこかで以前にも会ったような、明らかに七々星はそんな心地がしたのでした。
でも、彗斗には当時奥様とお子さまがいました。
だから、七々星はただの思い違いかなとあまり気に留めませんでした。

しかし、日を置かずにまた彗斗と再会したのです。
七々星は単なる思い違いとは思いつつも、不思議な縁を感じずにいられず、娘、星蘭(せらん)が熟睡した帰りの車中で、彗斗と夜が更けるまで話し込みました。そして、彗斗が奥様とうまくいっておらず離婚を計画していることを知るのです。
だからといって、七々星にとって彗斗は高嶺の花。
誰が見てもイケメンと称されるであろう彼を奥様から奪い取るだなんて思えるはずがありませんでした。
だから、せめて彗斗にとっていい人でありたい一心で、離婚をした苦労やその後の心的ダメージなどを、彼のためになればと話したのでした。

彗斗は、久しぶりに心の中のあれこれを吐き出したのでしょう。あの日の彗斗は、とにかく少年のような、どこか懐かしい笑顔で七々星に微笑むのでした。

そして、七々星に聞くのです。
「もし、願いが叶うとしたら何がしたい?」

七々星は少し考えてから「デートにいきたい!」と言うのです。
話を聞くに、七々星はベンチャー企業のバリキャリシングルマザー。
有給休暇をわざわざ取る理由もなく、デートや合コンで休んだり定時で上がったりする部下たちが羨ましかったのでした。

彗斗は、間を置かずに二つ返事でこう言ってくれたのです。
「いこうよ!僕で良ければ!」

七々星は一瞬自分が何を言ってしまったのかよく分からなくなっていました。
そして冷静になった途端、とても恥ずかしくなってしまった七々星。
(「穴があったら入りたい…。」)
のですが、訂正するのも不自然すぎる、ということで、こうして恋愛と無縁な日常を過ごすバリキャリ七々星が妻子持ちのイケメン彗斗とデートをすることになったのです。


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