「これからの時代、絶対大事になる!おすすめ数学 物理参考書」~もっと入門&新しめ&最先端で
という記事がありました。
※本記事のタイトルに仮としてお借りしています。
いい本、有名な本を挙げられているのは、わかります。
ちょるだぶさんの書かれている本は、もともとデキる人向けばかりです。そもそも、これらの本を真っ先に選び、それらを吸収できる方々は、記事を読むまでもなく、自分で探してやっています。
それに、最近出版の専門書が反映されていません。たとえば、
場の理論で『ランダウ&リフシッツ著 場の古典論』
量子力学で『砂川重信 量子力学』『猪木・川合 量子力学 1&2』
を挙げている。
もっと入門寄りにピックアップします。
注意:この手の本をピックアップしたとき、アマゾンレビューアー"雑学家"という方をよく見かけることになるでしょう。わたしは"雑学家"ではありません。
力学
学部レベルの基礎はこの2冊で十分です。
演習書は『共立出版 詳解力学演習』がありますが、問題数が多すぎます。不得意な分野だけ手をつけるのがいいでしょう。薄めの演習書をやり込んで、ひと通りの"力学技法"を身に付けます。
ぜひ、目を通してほしい演習書は『演習詳解 力学 [第2版] (ちくま学芸文庫) 』。非常に難しいです。この本からは、プロ(というより賢人?)の「考察の奥深さ」を感じられるはずです。この本を取り組むには、微分方程式、偏微分方程式と特殊関数が必要です。大学1~2年生では、かなり厳しい。
アドバンスドな解析力学として、以下を挙げておきます。
入門として解析力学のフレームワーク(理論的枠組)だけを知りたいなら、
電磁気学
これらのうち、どちらかでしょう。そして、強くオススメしたいのが、
を学部のうちに読んでおくこと。上記2冊の『中村哲,電磁気学』は『ファインマン物理学3 電磁気学』に準じた内容になっています。この2冊を取り組めば、深い電磁気学の知見を得られるはずです。
仕上げの一冊は、
Modern Electrodynamics, Zangwill, Cambridge University Press,2012
です。「Jackson」も「砂川電磁」も数理処理が古いんです。もっと洗練された記法や計算法があるのですが、「Jackson」も「砂川電磁」ではそれらが使われておらず、古典を読んでいる気分になるのです。
以前、電磁気学について書きました。
熱力学
この分野は、日本では、田崎先生と清水先生のおかげで、世界的名著にふれることができます。それらを敢えて挙げません。
オールドスタイル(従来型)の名著、
もみておきたい。
それでも熱力学が苦手、という方は化学熱力学をみていると、新鮮な視点を得られます。
最新の熱力学(情報熱力学)をチラ見しておくのもいいと思います。いまホットな分野です。
統計力学
この分野も金字塔があります。 そのため挙げません。
あえて、書くならば、コレ。清水先生によるオススメのコメント。
高すぎるので旧版でも可です。中身は同じです。
この本を読んでみると、上記の"最新の熱力学"の事情を把握できるようになります。
量子力学
有名な本がたくさんあります。なぜか、話題にならない本だけピックアップします。『砂川 量子力学』『猪木・川合』をわたしは推しません。『砂川』は2023年時点で学び始める人にとっては、その記述スタイルが現在性に乏しいです。
この2冊のどちらかを使い、『猪木・川合』や『詳解理論応用量子力学演習』で、スキ間を埋めていく、学習もありだと思います。オススメは『倉本 量子力学』です。2周目以降の方はこの本は使い勝手がいいでしょう。
そして、『ファインマン物理学〈5〉量子力学』を読んでおきたい。谷村省吾先生『量子力学10講』にオススメの言葉が書いていたような。
副読本はこれら。
さらに、いま学生の方であれば、量子コンピュータは必須です。昨今、"量子ネイティブ世代"と囁かれているくらいです。学生のうちにやっていないと、社会人になってから必ず後悔します。
量子コンピュータの書籍は多くありますが、ニールセン&チャンが量子コンピュータ的量子力学の扱いを豊富・丁寧に扱っています。1巻だけでいいです。1巻以降のトピックについては最近の書籍でもいいと思います。
相対性理論
特殊相対論
力学や電磁気学の終わりの方に書いてます。それ以上の内容は、相対論的場の量子論に載っています。たいてい、それで事足ります。一冊だけ持つならば、こちらです。江沢先生が必要なことをすべてまとめてくれました。
一般相対論
有名な本、ディラックや電話帳(Gravitation,MTW)は挙げるまでもないでしょう。テンソルを別途、先に学んでおいくと楽です。
この本は2周目以降の方にオススメします。
微分幾何学へと先走ってしまうと、若干遠回りになると思います。そのあたりはこちらの記事に書きました。
場の量子論
この分野は、いきつく収束点がありますので、書きません。"場の量子論"を攻めるかは、この本を試金石にしてみるといいかもしれません。たとえば、大学院に進学しないのであれば、4年次は"場の量子論"へのエネルギーを"情報理論"(下記)に注ぐのも将来的には良い選択ともいえます。
つけ加えると、"場の量子論"は、複素関数(複素積分)を習熟してから入門しましょう。必ず挫折します。つぎの三冊をたどっていくのが、最短コースだと思います。
こちらの記事も参考ください。
せっかくなので、日本であまり知られていない洋書をピックアップします。メジャーな洋書は専門課程の人であればおなじみでしょうし。
情報理論
21世紀、情報系の先端技術では必須になっています。まさしく「これからの時代、(物理学でも)絶対大事になる!」です。ところが、物理学科では開講されていないはずです。人工知能や統計学、もっとアドバンスドには量子情報科学や情報熱力学(量子熱力学)で使われます。『ゆらぐ系の熱力学』の巻末"本文の補足説明"で情報理論が載っているくらいです。
"情報理論"は、情報工学科で開講しているはずです。聴講が可能であれば、していたほうがいいでしょう。
以上の2冊が有名です。ヨビノリさんももっていましたね。わたしはつぎの本を使いました。
"人工知能や統計学"向けの内容です。
つぎの本たちは時代を先取りしすぎました。図書館でぜひ見てみてください。西森先生、先見の明がありすぎます。
西森秀稔,スピングラス理論と情報統計力学,岩波書店,2016(再版)
初版 1999年。
西森秀稔,物理と情報1 スピングラスと連想記憶,岩波書店,2016(再版)
初版 2003年。
上の2冊は現在ではプレミアがついています。ムリして買わなくてもいいと思います。興味のある方はつぎを購入された方が有用でしょう。
しかし、テンソルネットワークを学部生が手をつけるには、問題提起が学部範囲内ではなく、書籍と情報がなさすぎます。わたしは保留中です。
宇宙論
インフレーションやビッグバン、宇宙の終わり、ブラックホールについての書籍は、非常に多くあります。あえて挙げなくてもいいでしょう。こちらの記事で何冊かピックアップしています。
むしろ、マルチバースや人間原理を物理学者による書籍で抑えておきます。この2つの概念は、SFやスピリチュアルで、トンデモ理論のように取り上げるケースが後を立ちません。物理学科出身者として恥ずかしくない教養を身についておきたいです。
数学編
数学編をつぎの記事にまとめています。よろしければみてみてください。
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