形のないものが形作るもの
生きていきながら、刻んでいくリズム。
心臓は鼓動し、血は脈打ち、呼吸を繰り返す。
誰かとしゃべるときも、1人静かに考えを巡らせるときも、言葉は流れていく。
何かに反応して、全身の神経を伝達物質が駆け抜けていく。
生きていくことの中にも、暮らしていくことの中にも。
何かを作ることの中にも、仕事の中にも。
スポーツの中にも、遊びの中にも。
いろんなところに、リズムがあります。
普段なかなか感じにくいような奥底に流れるもの。
何かに夢中になっていると、そのさなかにふと感じることがあります。
何かを作ろうとするとき。
作ろうとする手から道具を経て、素材と向き合い、何かが作り出されていく。
その過程に一体感が生まれると、そこにも止まることなく流れていくようなリズムが生まれてきます。
無心になって、自然と無駄なく体が動き、より素早く、より効率的に、次々に形が出来上がっていく感覚。
素材や道具や、炎や様々なものが織りなす音やリズムに身を添わせるようにして、歌うように、踊るように、テンポよくキビキビと体が動いていく感覚。
手にする道具、向かい合う素材、自分自身と身の回りの空間。
まるでそれまでの自分から解放されて自由になったかのように、制限を超えてそうしたものと一体化するような感覚に満たされるあの一瞬。
料理をしているときや、洗い物や掃除をしているときでさえ、そんな一瞬があります。
どんな物事にも、そんなふうに無心になれるときがあって、そこに流れる心地の良いリズムに身を委ねると、良い方向へと自然に流れて導いてくれるようにも感じられます。
今、この瞬間に向かい合う。
そこに特別なことは何もなくても、その先にいる大切な誰かや、あるいは自分自身でも、またはその先にある何かを思い、目の前のことに向かい合う。
向かい合い、夢心になればなるほど静まり返っていく中で、その奥底にざわめいてくるものに、体を預けてみる。
何かを使い、何かを作る。
作ることの中に、暮らしていくことの中に 、感じるリズム。
言葉にしにくいような、形になりにくいような、けれどそこに確かにあるようなものが、形づくるもの。
生きていくことの中に、 音楽を感じるような。
それが好きで、その一瞬に身を投じたくて、なおさら作ることに夢中になっていくのかもしれません。
そしてそれを使うときにも、そんな一瞬を感じられるような。
人から人へ、手を介して、道具を通して、リズムや音楽のようなものがずっと続いていくような。
そんな道具を作れたらと願って、今日も作り続けています。
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