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終章 九十九円蔵はその後、逮捕されて取り調べを受けた。裁判では死刑が言い渡された。 …
この声は、ささやきは、この人との会話は、夢だろうか? それとも気づかぬうちに常世のど…
無惨な壁画だった。 後ろ手に縛られて炎にあぶられる人々。 うねる炎と肉体がまじりあい…
大聖堂の広い階段の前で立ち止まった。背後では石化した人たちを乗せた辻馬車が目的もなく、…
第四章 大聖堂 「こがな大襲撃が、どうして……」 諸見沢くんの言葉は問いかけじゃなかっ…
オールトさんが意味ありげに声をひそめた。あたしの髪に鼻を近付けている。 「芳香をまとう…
その後、諸見沢くんは屋敷に現れなかった。庭師の仕事をさぼったと指摘されたのか、他に仕事があって忙しいのか。 ときどき北側の書庫、蔵の周りをうろついたけど、諸見沢くんはいなかった。 正体がばれて屋敷を追い出されたのかもしれない。誰かに彼の動向を聞きたかったけど、変に勘繰られる危険があるからそれはやめておいた。 スケッチブックを片手にあたしはイングリッシュガーデンを歩いていた。 「麻央、書庫に入ったお前を追って、庭師が入っていくのを見たと下女が言っていたよ」 振り返
翌日からあたしの令嬢としての教育がはじまった。 ダンスのレッスン教師が来るかと思えば…
ハウスキーパーが厳かにあごを引く。 「お嬢さまが欧州へ絵画修行のため留学したのはわずか十…
「十六年前、涼加はおのれのつとめを放棄したのだ」 あたしの葛藤などおかまいなく、文麿男…
やがて大きなドアの前に立った。ハウスキーパーの村井さんがノックをする。向こうから九十九…
車輪が砂利を噛んでがたついた。中央区を抜けて、斯波(しば)に入ったらしい。小窓の向こうに…
翌日、出窓からの日差しで目覚めた。一瞬、ここがどこなのかわからなかった。 ベッドに膝立…
ついにオオワシのクロは足にからまっていた毛むくじゃら影鬼をビルの外壁に叩きつけた。べしゃりとはじける音がして、影鬼の鮮血と肉、体毛がそこにぶちまけられた。影鬼の遺骸を貼り付けたビルの外壁のその部分だけ、またたくまに緑地に変化していく。 そのすきに蹄を持つ影鬼がクロの首筋に両腕を伸ばす。爪を立てる。諸見沢くんが銃口をあげた。轟音が響き、クロが自由になる。 「戻れッ」 苦し気に呼吸を荒げて諸見沢くんが叫ぶ。 真っすぐにクロが急降下してきた。地面に足をつけるまでに翼はオ