チームパフォーマンスを高める鍵：心理的安全性の重要性とその育成法

笠原彰　とちぎスポーツ医科学センター協力心理相談員　プロメンタルコーチ　作新学院大学教授

2024年2月5日 15:53

職場で自由に意見を述べ、疑問を投げかけることができるかどうかは、組織の成長と個人の満足度に大きく関わっています。このような風土を育む上で重要なのが、「心理的安全性」の概念です。では、心理的安全性をどのようにして促進すればよいのでしょうか。もし職場に閉塞感を感じているなら、この考え方が解決策になるかもしれません。

心理的安全性とは何か

心理的安全性とは、個人が自分の意見を自由に表現でき、自己を表現する文化が根付いていることを指します。この用語は、ハーバード・ビジネススクールのエイミー・C・エドモンドソン教授によって広められ、「恐れのない組織」という著書で詳述されています。グーグルによる研究では、心理的安全性がチームの成功に大きく影響することが明らかにされました。

心理的安全性がもたらすメリット

心理的安全性が高い職場では、ミスや疑問がオープンに共有され、より効果的に問題解決が行われます。逆に、安全性が低いと、問題が隠されがちになり、最悪の場合、重大な失敗につながることもあります。例えば、フォルクスワーゲンの排ガス不正問題やスペースシャトル「コロンビア号」の事故は、このような環境の負の例です。

心理的安全性を高めるためには

職場で心理的安全性を高めるには、以下の4つの「不安」を解消することが重要です。

無知だと思われる不安：知識が不足していると見られることへの恐れ。
無能だと思われる不安：仕事ができないと思われることへの恐れ。
ネガティブだと思われる不安：否定的な意見を持つと見られることへの恐れ。
邪魔をする人だと思われる不安：チームの流れを妨げると思われることへの恐れ。

これらの不安を克服するためには、意見の自由、失敗からの学習、オープンなコミュニケーションを奨励する文化が必要です。

心理学的分析

心理的安全性は、組織内での自己表現の自由と個人の自尊心を保護します。人間は本能的に所属感や認識されることを求めるため、安全な環境では自己の能力を最大限に発揮しやすくなります。また、失敗を恐れずに新しいアイデアを提案できる文化は、創造性とイノベーションを促進します。心理的安全性が高い職場では、メンバーはリスクを取りながらも、サポートされていると感じ、学習と成長の機会を最大化できます。これは組織全体の生産性と満足度を向上させる重要な要素です。

心理的安全性の醸成は、組織にとって継続的なプロセスであり、リーダーシップによるサポートと個々のメンバーの積極的な参加が不可欠です。安全で開かれた職場環境を作ることは、単にパフォーマンスを向上させるだけでなく、働きがいのある職場を実現するための基礎となります。

笠原彰プロフィール：

作新学院大学メンタルトレーニング教授
とちぎスポーツ医科学センター協力心理相談員
プロメンタルコーチ
自己肯定感養成プロコーチ
ライフバランスアーティスト
健康運動指導士
メンタルヘルスファーストエイダー
メンタルヘルス運動指導員

アスリート、コーチ、指導者、ビジネスマン、音楽家など、人生をより豊かにしたい全ての方の挑戦をサポートします。

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