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今日も、読書。

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読書の記録。明日読みたくなる本を。
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#読書の秋2022

今日も、読書。 |魂の番となる人が、きっといる

今日も、読書。 |魂の番となる人が、きっといる

私は1年間待った。『52ヘルツのクジラたち』を。

2021年の本屋大賞を受賞した本作。私は当時、Twitterの読書界隈が盛り上がりを見せる中、『52ヘルツのクジラたち』を図書館で予約した。

120人待ち!!

いくら何でも多すぎる。ひとりあたりの貸出期間が平均1週間くらいだとすると、私の順番が来るまで120週間、なんと2年と数ヶ月もかかる。本屋大賞、恐るべしである。

そして何故か、私は待っ

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今日も、読書。 |言語は、愛だ

今日も、読書。 |言語は、愛だ

黒田龍之助|ポケットに外国語をちくま文庫から出ている『ポケットに外国語を』という作品は、外国語を学ぶことの楽しさが、純粋に凝縮されたエッセイだ。

凝縮されすぎて、人によっては、少し濃すぎるくらいかもしれない。しかし、著者の言語学習への愛が、ひしひしと伝わってきて嬉しくなる。

外国語、代表的なもので言えば英語に、苦手意識を感じている人は多い。かくいう私もそうである。一応外国語大学に通っていたのだ

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今日も、読書。 |今の私にできる、暇と退屈との戦い方

今日も、読書。 |今の私にできる、暇と退屈との戦い方

なんとなく暇だ。理由は分からないが、なぜか満たされない。

誰しも、そんな感覚を抱いたことがあるだろう。日常の中で、ふとした瞬間に押し寄せる「暇」と「退屈」の波。はっきりとした原因も、解決するための対策もわからない……。

今回ご紹介する國分功一郎さんの『暇と退屈の倫理学』は、そもそも「暇」「退屈」とは何か?という根本的な問いから、「暇」「退屈」とどう向き合うべきかという実践的な問いまで、「暇」と

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今日も、読書。 |内田洋子さんの魅力を伝えたい

今日も、読書。 |内田洋子さんの魅力を伝えたい

内田洋子|カテリーナの旅支度 イタリア二十の追想

読書ラジオ「本の海を泳ぐ」、2回目のテーマ本として選んだ作品は、内田洋子さんの『カテリーナの旅支度 イタリア二十の追想』。数ページほどの短編が20作品収められたエッセイ集だ。

「本の海を泳ぐ」で自分が選書をする番になったら、最初は内田洋子さんの作品にしようと決めていた。内田洋子さんの作品の魅力を、少しでも多くの人に知ってもらいたかったからだ。

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今日も、読書。 |学生だった、あの頃の私と出会う本

今日も、読書。 |学生だった、あの頃の私と出会う本

伊吹有喜|犬がいた季節

昭和から平成、そして令和へ。移り変わる時代の中で、変わらずあり続ける、学び舎の高校。

生徒たちが入学、卒業し入れ替わっていく中で、学校で飼われている犬のコーシローだけが、不変の視点を持っている。

昭和63年、コーシローは高校にやって来た。以来「コーシローの世話をする会」の生徒たちが、代々コーシローの世話をする。

本作は、そんな世話をする会のメンバーとコーシローを中心

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今日も、読書。 |読書とは、他者の人生を追体験することだ

今日も、読書。 |読書とは、他者の人生を追体験することだ

日本文学史上、直木賞と山本周五郎賞のダブル受賞を果たした例は、わずか2例しかない。

ひとつはまだ記憶に新しい、佐藤究さんの『テスカトリポカ』。そしてもうひとつが、遡ること20年近く、熊谷達也さんの『邂逅の森』である。

通例的に、同一作品に直木賞と山本周五郎賞を両方受賞させることは、避けられてきた。しかしそんなハードルを乗り越え、見事ダブル受賞を果たした小説には、他の小説にはない圧倒的な力がある

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