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「不登校予備軍」だったアナウンサーが考える「不登校問題」

出社し新聞を開くと、
文科省の昨年の問題行動・不登校調査の結果が出たというニュースが目に留まりました。

小中学生の不登校が急増し、29万9千48人(前の年から約5万4千人増)
理由としては主に

①    いじめの「認知」の増加(小中高)
②    コロナ禍での環境の変化
③    「不登校」に対する認識の変化

が考えられるのではないか、ということです。

そして、不登校の理由を問うアンケートも行われました。

「無気力・不安」が半数を占める圧倒的1位で、「生活リズムの乱れ、遊び、非行」(11%)「いじめを除く友人関係」(9%)と続きます。

とはいえ、これはあくまでも「学校側」が把握している内容の報告であり、直接当事者であるこどもや親御さんに尋ねたものではありません。文科省は今後、当事者アンケートを行っていくということです。


定年を迎えましたが父は教員です。家族側からの意見で恐縮ですが、多方面に及ぶ業務、多忙さには舌を巻く日々を過ごしてきました。どれほど生徒を思っていても学校の先生が全員の心理的状況を的確に把握するのは、よほど教員数に余裕のある学校以外は物理的に不可能だと考えます(この教員不足の時代にそんな学校があるほうが珍しいですが)。

第三者による当事者へのアンケートは早急に行われるべきだと思います。

そうなれば、一つ目の記事を見る限り、「いじめ」はやはり不登校の理由に大きく関係してくる可能性が高まります。

いじめを、いじめと考えるのは他人ではなく、本人。
友達からの何気ないいじりに見えても、本人が傷ついていたらそれはいじめです。
いじめの申告が多くなると予想できます。


また、この記事にある、
不登校の小中学生のうち約4割が学校や教育委員会などから支援を受けていなかったという事実も気になりますし、他人事とは思えませんでした。

少々、個人的な話をよろしいでしょうか。
私は子供のころ集団社会になじめず、空気を読めずに目立ってしまうことが多く、その分攻撃を受けることが多いこどもでした。

中学校の時、悩んだ末、先生に相談したこともありましたが、「たかだか3年だから」と言われました。もう二度と他人に相談するものかと、大人に対する不信感が心に刻まれた瞬間でした。

子供にとっては、その3年間が、世界のほとんどです。学校にいる時、時計の針がかち、かちと動くその1秒がどれほど遅いものか。
20分の昼休みが地獄のような長さに感じました。
「たかだか3年」は、
学校に居場所がない子供にとって、
永遠に等しい長さです。

その3年を我慢し、高校生になりましたが、やはり楽にならず、世界になじめませんでした。

文化祭や体育大会は放送室にカギをかけて過ごし(放送部だったので)、学校も休みがちな「不登校予備軍」でした。
卒業アルバムに載せる写真が少なすぎて、
「竹上さん、写真適当に撮りますね」とクラスメイトに敬語で話しかけられ、バシャバシャと教室で机に座って何をするでもない写真を撮っていただいたのを思い出しました。

そのアルバムは、申し訳ないけれど、自分で開くことはありませんでした。

立派な 不登校予備軍でしたが、私には幸い、家族の理解がありました。
怒らず、粘り強く向き合ってくれたおかげでどうにか高校を卒業することができました。

しかし、私以上に深刻に学校にいけない理由がある子たちは、家族の理解だけでは難しいのではないでしょうか。くどいようですが、こどもの世界=学校。その世界に、身内以外の救いの糸が垂れている状況が望ましいです。そして、勇気を出して手を伸ばしても、その糸が、切られることがあってはなりません。

余談ですが、今でも夢を見るときは、
10代の、苦しんでいた頃の自分が出てきます。
今の私は出てきません。
その年頃は、たくさんのものを吸収し、後の人生への影響が大きい大事な時期なのだと実感します。

子供たちの世界に、強く、温かい糸が一日も早く垂らされることを願います。

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