身体に意識を向け自分と対話をしていく:スポーツに応用する アスリートへのコーチング②
このページでは、拙著「身体の症状から答えをひも解く『ハート』のメソッド」の本文を紹介しています。マガジンはこちら
７章 身体に意識を向け自分と対話をしていく P133~135
私は、本番でのアスリートの身体の動きを見ていると、ふと気づくことがよくあります。これは、父と一緒に野球の試合をテレビで観ていたときのことです。あるピッチャーが投球をしていたのですが、その日はフォームのバランスがよくないように見えました。どうしたのだろう？ と少し疑問に思い、じっと投球フォームを見ているとあることに気がつきました。
そのピッチャーは、ただ単に調子が悪いのではなく、何かしらの感情が体内から浮上してきている、と私の中で捉えることができたのです。これは、ふと捉えた感覚でもありましたが、「体内で浮上する感情が実際に投球フォームとコントロールに影響を与える」と実感した瞬間でもありました。
ここでお伝えしたいのは、日常で起こる変化（体内で感じていること）に意識を向けていくことが大切である、ということです。人の内側に存在しているさまざまなもの、とくに内側に潜む未解決の問題（幼いころにため込んだ感情など）は、気づかないうちに体内で浮上してくることがあるのです。
人によっては、「なぜ、このようになってしまうのだろう？」と突然起こったことのように感じ、戸惑うかもしれません。または、大切な試合のときに、もしくは当日や数日前になって、過去の感情やトラウマが浮かび上がってくるかもしれません。しかし、たとえそのようなことが起こったとしても、自分の内側に意識を向け、原因を理解し、調整していければ、安定した心を取り戻すことができます。
また、人それぞれの状況によりますが、感情などが明らかに浮上してくるもっと前に対処していくこともできます。なぜなら、おそらくもっと前には「予兆」と言えるものが現れていた可能性があるからです。たとえば、うっすらと浮かぶ感情や身体に現れる軽めの違和感、日常の中でふと捉える内容など。
はじめから、これらを捉えることは難しくもあると思いますが、そのままにしていると、いずれそのサインは大きくなります。なぜかというと、本来の自分自身が、今を生きる自分へ向けて道案内をしているからです。「今、浮かび上がってきていることに意識を向けると、先に進みやすくなるから」と。
２章では、このことを、あらゆる体験を通し成長していくための「人の生業（実りを得ること）」であると案内しました。
このように、うっすらと体感する症状に対しても、ワーク④（※）で案内している手法を使ってみてください。ゆったりとした呼吸法の中で捉えられることがあれば、それらは内側から伝わる答えやヒントです。
ぜひ、実際に活用し、必要なときには行動に移してみてください。プレーを促進させる答えに行き着くかもしれませんし、悩んでいることへの解決策を得ることも数多くあると思います。
もし、親との間に未解決の問題があるときは、以下の内容も参考にしてみてください。
たとえば、内側から浮かび上がる感情を調整するために、ワーク④をしたとします。もしそのときに、親とのことが思い浮かぶのであれば、実際に親と話をしてみることが必要な場合もあります。話ができない場合でも、当時のことをふり返ることで問題解決のための大きな助けになることがあります。
親と子の間には、ボタンのかけ違いが起こることもあり、子どものときから自分が抱いている印象や記憶と、実際に親が思っていることは、異なっていることも多くあります。
そして、不安などが深層心理にあり、心が癒やされていない状況が長引くと、たとえば、能力を発揮できない、自分を低く見てしまう、親にもらえなかった愛を他の形で求めてしまうなど、日々の活動にも大きな影響を与えることがあります。
そのため、ワーク中や日常において、親とのことが思い浮かぶのであれば、必要に応じて親へ連絡をとってみることをおすすめします。親との対話から、思いもよらなかった情報を得ることや、親との間にあった問題が癒やされ、日常が大きく変化していくことも数多くあります。タイミングが来たときには、ぜひ内側からのお知らせ（サイン）に耳を傾け、行動を起こしてみてください。
※ワーク４とは、「ハートの呼吸法」と「問いかけの手法」のことをさしています。
P139~141「本番に向けた調整 意識はパフォーマンスに影響を与える」へ
ハートの呼吸法について：
メンタルの調整の仕方や意識の使い方を学びたい方、才能をさらに伸ばしていきたい方などに向けて、
アスリートの方、スポーツに関わる方に向けた各種講習、
カウンセリング・コーチング をおこなっています。
興味のある方はお気軽にご相談ください。
お問い合わせページはこちらです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか？