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新しい仕事ってきっとこうして生まれるんだと思う。

「新年だからこそ、新しいことをはじめようと思いまして…。
実は物販をはじめようと思うんです。」

普段であれば、あまりビジネスについて語らないライターさんが、一緒に行った初詣の帰りに、こう打ち明けて話してくれました。


何だか自分の中で単純に「仕事仲間」と思っていたライターさんが急に「お客様」と同様、何か自分に出来ることがあれば。と思えた瞬間でした。
ライターさんは主にグルメ系雑誌で活躍しつつ
傍らでWEB媒体の原稿も執筆されていて、その業界では名の通った方。

私は興味本位で、「具体的には何の販売をはじめる予定なのですか?」とお聞きました。

そうするとライターさんは「ちょっと距離がありますが、電車で街まで行きましょうか。
ぜひ一度ご覧いただきたくて。。」
と、街中のレストランに案内していただきました。

そのレストラン、街中にはあるものの、「え?ここが?」って思うくらい
裏路地に入った住宅街にポツンとある古い建物。
和風の入り口は歴史のある旅館を思わせる趣のあるレストランに案内されました。

「ここはね、野菜が美味しいんです。」
メニュー表もなく、スタッフにコースの注文をするライターさんに
「どんな料理なんだろう…」と思いつつ
料理を待っていると、最初に野菜の盛り合わせが
運ばれてきました。
肉好きの私は内心「サラダ(野菜)かよ」と思いながら人参の薄切りを
口に運び、一口食べると…

「え?これ?人参ですよね?」衝撃で思わず口に出てしまいました。
お店の方もライターさんも嬉しそうに
「そうですよ?人参です」と。

そのとき食べた人参の味、今でも忘れません。
メロンとか、
いちごとか甘い果物に匹敵するくらい
甘い人参だったのです。

言葉で表現しにくいのですが一言で言うと、「人工的な甘さでなく、自然が作り出した究極のスイーツ」でした。
普通の野菜サラダを想像して食べた私には、全身に電気が走るくらい
衝撃的な食べ物でした。

「どうです?美味しいでしょう?
これは土から生産方法が異なるんです。
こんなに美味しくて甘い人参に育てるには…」
と、ひとしきり生産工程を語った後にライターさんは

「で、これをレストラン以外で食べれるようにしたいのです。」
と、今度はレストランオーナーを呼び、簡単に私のことを紹介してくれました。

レストランオーナーはいかにも料理人といった風格で、味に厳しくこだわりが強そうな方。それでいて人間味あふれる、優しそうな雰囲気もあって
非常に話しやすい方でした。

そこからレストランのオーナーも加わり、
3人で食事しながら会話しました。

レストランのオーナーさんからは、
この素晴らしく糖度の高い野菜を生産する地方の農家さんと出会い
苦労して契約を結んだこと。
しかし昨今のコロナ禍による来客数の落ち込みで
レストランの野菜消費量が減ったこと。
そんな中、いままでどおり契約を持続して
農家の生産体制を支えるためにも
なんとかしてレストラン以外の消費を図りたいということ。

私に相談が来るまでのいままでの経緯の話をしていただきました。

その食事会から、その糖度が高くて美味しい野菜を
どう売るか、新しくプロジェクトを立ち上げることになりました。

まず私たちが行ったのが、LPを作成して
お試しキットを1000円で販売しようというもの。

ただ、1000円以内に収めるためには原価が高すぎました。
その糖度の高い野菜を作るためには肥料が高く、人件費も相当なものでした。
(種類にもよりますが、だいたいスーパーで売られている野菜の10倍の価格でした。)

そこで、考えたのが「野菜チップス」。
料理人ならでは、レストランオーナーのアイデアでした。
もちろん、野菜自体もお試しキットに入れますが
野菜チップスも入れることで、ご注文いただくお客様だけでなく
そのお客様の知人に広がる狙いがありました。

その狙いは見事的中し、口コミでどんどん注文数が増えていきました。
これはあとになってお客様のアンケートで分かったのですが
お客様が、友人を自宅に招く際に
野菜チップスを出された時に
あまりの美味しさに、話題になったそうです。

一定以上販売数が増えたら、後は楽天などのショッピングモールに出して広げれば、売上も数ヶ月で右肩上がりに上がっていきました。
ある程度販売数は安定しだして、軌道に乗りましたが
野菜の生産数は限られており、ある一定の売上額を頭打ちとして
それ以上伸びることはなくなりました。

もちろん、野菜と野菜チップス、それに冷凍料理をくみあわせて単価を高くしようという話もあがりましたが

そもそも私たちがこのプロジェクトをスタートしたきっかけは
儲けることではなく、生産農家さんが
コロナ以前のように生産できるような体制にすること。
レストランにもお客様が戻ってきたことや
スタート当時の目標は達成したことで
プロジェクトに携わったメンバーで会う頻度は
どんどん少なくなりました。

でも、たまにプロジェクトのメンバーで今でも集まってレストランで食事します。
関わった人数は大企業のプロジェクトに比べたら圧倒的に少ないですが、その分とても濃い時間を過ごすことができて、メンバーの皆さんと一緒に試行錯誤した経験は今でもいい思い出です。
それらの経験がいまの私の糧になっています。

1人ではなかなかアイデアが出ないことも
異業種が集まれば、新しいアイデアやプロジェクトが生まれます。
売上で悩んだら、私共のようなマーケターや販促支援の会社に相談するのも
もちろんありがたいことですが
関係ない異業種の方に相談されるのも、ひとつ解決の糸口が見つかるかもしれません。

「このアイデア、盗まれたらどうしよう?」
「取り分は?」
なんて考えずに、お客様でも、取引先でも(私たちの場合は生産者でしたが)〇〇のために一緒に知恵絞ってみる?
と自然と立ち上がったプロジェクトがうまくいくケースが多いです。
利益、配分ベースで立ち上がったプロジェクトも仕事上、うまくいかさないといけないのですが、いかんせん、友人、ビジネス上のお付き合い関係なく、○○のために、一緒にがんばろっか?と思えるプロジェクトが私の場合見事に成功しています。

もしアイデアがあれば、そのプロジェクトを実現や成功に導くため、会社であれば会社の上司。管理職であれば、関係部署へ。経営者であれば、他の会社に相談してみてください。そこから、新しい仕事ってはじまるし
物語がはじまるのだと思います。

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