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ミッテランの帽子/アントワーヌ・ローラン、吉田洋之(訳)






前回、母の強い推しで拝読した「赤いモレスキンの女」がとても良かったので、著者アントワーヌ・ローランの別作品もぜひ拝読したいと思っていたところ、また母が図書館から借りてきてくれました。




今回は、「ミッテランの帽子」を拝読📖しました。
(2021,9,25読了)






1980年代フランソワ・ミッテラン大統領が議会総選挙で大敗した頃を舞台に、実在する人物も織り交ぜて描かれた大人のファンタジー。



ミッテランがブラッスリー(フランスのレストラン)に帽子を忘れてしまい、その後ミッテランの帽子は人から人へと渡っていきます。
うだつの上がらない会計士→作家志望の女性→光を失った天才調香師→名家に生まれ育った男性。


それぞれが人生に行き詰まりを感じ希望を見出せないまま生きていたところ、ひょんなきっかけでミッテランの帽子を手にすることになり、本来の自分を取り戻していきます。

人生の重要な出来事はいつもささいなことの連鎖の結果である。



ミッテランの帽子を手にした4人が選ばれた人のようにも感じますが、選ばれる人というのは何か特別な能力があるというより、常に本当に自分はこれでいいのかと問いかけている人のような気がします。
なんと表現すればいいのか分かりませんが、どこかで自分を信じている人、自分を諦めてはいない人。
だから、自分に必要なメッセージが届いた時にきちんとキャッチ出来るのではないでしょうか。


ミッテランの帽子に何か力がある訳ではなく、ミッテランの帽子はただのきっかけとなったに過ぎないんだと思います。
本来の自分を信じていたからこそ、きっかけを糧にまた次のステージに進めたのでしょう。



本来の自分を取り戻した後の名家に生まれ育ったベルナールの言葉はとても素敵でした。

「全部を批判する前に、何を話しているのか少し耳を傾けなきゃいけない時代だ。」



否定から生まれるものは何もありません。
世間を、人を、自分を、否定する前に耳を傾ける姿勢があることで必要なメッセージを受け取れることができるのだと思います。




アントワーヌ・ローランの描く作品は、とにかくオシャレ。
自分の頭の中で勝手に映画化されています。
そして、本書でもまた美術の話がちらほら出てくるので、私は美術についてもう少し深堀りする必要があるのかもしれません。





ただ、本書で一つどうしても不可解に思うところがありました。
P160〜161 うだつの上がらない会計士ダニエルが手元から離れてしまったミッテランの帽子を取り戻すために、ブラッスリーの予約客名簿を手にしたくて協力してくれそうなバーテンダーに声を掛けるというシーンがあります。


このシーンは、ダニエルとバーテンダーが2人で会話しているはずなのですが、突如名家に生まれ育ったベルナールの名前が出てきていて。。。


何度読み返してもどいういことなのかさっぱり。
なんでベルナールが出てきた!?
どうしても腑に落ちないので、どなたか解る方がいたら教えていただけないでしょうか🥺


そこまでするかとも思いましたが、念の為出版元のクレストブックスの方にも問い合わせているところです。

















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