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Blue エンタメコラム

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映画、音楽、世相、文化などいろいろコラム。エンターテインメントは天と地の分け前。
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2023年7月の記事一覧

丹波哲郎、最後の芝居(2)

丹波哲郎、最後の芝居(2)

丹波哲郎演じる源頼政と大杉蓮の源行家は、皇族の命令たる【以仁王の令旨】を出させ、弱いながらもオフィシャルなカタチで反平家連合を作り上げ、実際に全国的なムーブメントを起こした存在としてもっとクローズアップされるべきだと思います。
結局、義経の「なんか世の中に痕跡を残したい」という若き欲望も、頼朝の「このまま終わるわけにはいかない」という父に誓った執念も、さらに言えば東国武士団の世の中に対する不満も、

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丹波哲郎、最後の芝居(1)

丹波哲郎、最後の芝居(1)

ひさしぶりに大河ドラマ「義経」見てましたが、おもしろいですね。
大河は、だいたい途中で「見てられん!」とか思ってやめちゃうんですが、13話まで我慢した甲斐がありました。

主演はタッキーこと若き日の滝沢秀明。当時からジャニーズの力は相当あったと思いますが、それでも大抜擢ですよね。例のごとく牛若丸が幼少期から若者・義経へ成長していく物語は(見る人にとっては)面白いのでしょうが、やや苦笑シーンの連続の

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潜行する魂(1)

潜行する魂(1)

高校生の時、へんな科学の先生がいて頭ボサボサで、顔が赤くて、鼻ごえでその鼻がやっぱり詰まっていて、鼻水らしきものがテラテラ白衣についてる、というきったないおっさんでした。

当然、相当生徒にナメられてて、科学の時間はサボる奴も多く、黙ってトイレにいったり平気でしてました。それでも、その先生は飄々と適当におもしろいと思われるギャグを飛ばしながら(苦笑系でしたが)むにゃむにゃ鼻声で授業を続けてました。

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潜航する魂(2)

潜航する魂(2)

「サイモン・バーチ」という映画ありましたよね。ジョン・アーヴィングの。
私の中で、その科学の先生と同じところに位置づけられている映画です。

病気で生まれつき体が小さい私生児のジョー。なんかもう傍から見たら人畜無害ないい奴で、かわいそうな障害者、くらいなもんです。
でも彼の心の奥底は違います。
「僕はこの小さい体でしかなしえない役割を神さまから与えられてる。」
自分という存在が、この世にあってよい

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悪魔の酒精分(2)

悪魔の酒精分(2)

恐ろしい映画の代表みたいにいわれる「エクソシスト」は、この悪魔の酒精分の伝え方がおそろしくうまかったと思います。
今見ると随分展開の遅い話なんですが、前半、普通の家族の苦労話がある分、加速度的におかしな方向に進む後半のドライブ感というのはすさまじい。
そして悪魔くん。言葉を逆転して話し、頭のよさを誇り神父を試す、その母親の口真似して弱点をつくずるさ。これは人間の持っている悪知恵ですよね、だからこそ

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悪魔の酒精分(1)

悪魔の酒精分(1)

「なんだよ、パートナーの俺を信用しないのか?」
「いや、君は信用している。だが、人間はだれでも悪魔を心の中に持っている。それには気をつけなければいけない。」
「ミニミニ大作戦」は別になんということもないアクション映画でしたが、私の大好きな俳優ドナルド・サザーランドの言うこの言葉だけは含蓄を感じましたね。

悪魔の正体はまさにこれでしょう。鋭い眼光、裂けた口など、おそろしい容貌のサタンやデビルなどは

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