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詩のようなもの

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昔書いていた詩のようなもの。 架空の世界の物語のような現実感のない感じ。
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記事一覧

その向こう側

雨上がりの世界を
空が映して
水たまりの底は
海につながる

足をひとつ踏み出せば
戻れなくなる安心
ここではないどこかに
ふるさとをかんじて

その向こう側から
呼ぶ声が聞こえる
求めているの 誰を?
今そっちへ行くよ

雨降りの予感に
こころふるえて
水たまりの底から
宙(そら)が見える

その向こう側から
呼ぶ声が聞こえる
求めているの 誰が?
今そっちへ行くよ

2004年か2005年に作

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内緒なんだ
君がここにいるって事
教えないんだ
僕が君を知っているって事

太陽が昇る前の世界で
誰にも知られず深呼吸
特別だって思われたくって
僕らは僕らで僕らを隠す

ネル

あの子の歌は人の幻
ちいさな少女の悪夢のような歌
耳元で囁く甘い歌声
世界は少しずつ狂い始める

ネル その子の名前はネル
ネル 君の歌を聴かせておくれ

冷たい歌が響く世界の中心
ちいさな悪夢が薔薇のように笑った
遠くで囁く蜜のような声
聴いたものは全て正気を失う

ネル それでも君の歌が聴きたい
ネル その悪夢をもっと見たい

あくまで冷めたふりする世界の中心
誰もが知ってて誰も知らない
あの

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何千万年時は過ぎ
めぐる風は伝えゆく
遠い昔誰かが知った
かの国の滅びへの飛翔を

汚れ無きを謳った王の罪
純白の病が国を蝕む
潔癖さは強情な城壁となり
拒めば拒むほど病は進む

誰も気づきはしない
清めることこそ昇華と信じ
崇め奉るは我らの清き純血の国王
白き祈りは王の望みへ
王の望みは民の武力へ

異物となった異邦人
寄り添い歩き荒野に散らばる
錆びた大地に降りた彼らは
国を求めて流浪の民へと

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僕はずっと君の名で呼ばれる

君と僕が手を合わせて
夜が開く
幻への通り道
誘う呪文は君の名前で
通り抜けたら
君を忘れる
その前に指を絡めて
契約

僕はずっと君の名で呼ばれる

ジゼルの森

開けましてジゼルの森で
あなたとわたしにらめっこ鬼ごっこ
喧嘩別れはごめんよセシル
わたしと同じ名前のあなた

彷徨わないでジゼルの森で
愛と憎しみ 愛しいの?哀しいの?
出会えなければ知らないセシル
あなたと同じ姿のわたし

鏡合わせジゼルの森で
すれ違ってダンスダンス
三拍輪舞あなたのために
くるりまわってスカートちょきん

日が昇って消えるのお話
ジゼルが居なくてセシルがちょこん
手をつない

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マリィ・メアリィ

マリィ・メアリィ
永久の夢
マリィ・メアリィ
目覚めぬ絆

断れないからココに来るの
断てないからココに居るの

マリィ・メアリィ青い目の
夢での友達
君の名前

まどろみの森(詩)

語り部はまだ夢の中に居たかった
そこには実在しない想いたちが確かに居た
うとうとと ゆらめいているあいだに
語り部は森の中にいた
言の葉の木々がさざめく
ページをめくるように 木の葉を手に取れば
そこはまた別の物語があった

語り部はしばらくまどろみの森の中で
実在しない物語たちを読むことにした

あまやかし(詩)

あまやかし(詩)



「あまやかし」

やっぱりあなたの言う通り
あんなに甘いものなんて
意味のないものなのでしょう?

そんなに欲しけりゃ寄っといで
全部偽り
只であげるから

あんまり甘いと虫歯になるの
これが本当のことなのね

やっぱりあなたの言う通り
これは必要ないものなの?

味気ないもの想像するの
それがほんとのことなんだって
それが安全
それが健全

そんなに欲しけりゃ堕ちていけ
甘いものは虫歯になる

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娘と鳥(詩)

娘と鳥(詩)



「娘と鳥」

しらない しらない
あの鳥のなく意味を
しらない しらない
その羽ばたきの理由を
ねぇどうやって通じ合えばいいの?

風がぬぐったあの空をすべる
満点の声を上げる鳥たちの群れ
その輝きに奪われた心
恋のように巣食った誤解

私もきっとあのように飛べるのだ

背が伸びるたびに空に近づき
風を感じるたびに空に祈った
鳥たちの声はますます高らかに
まるで私を呼んでいるという錯覚
交わせ

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鳥と娘(詩)

鳥と娘(詩)



「鳥と娘」

しらない しらない
あの鳥があんなにきれいに鳴く意味を
しらない しらない
その羽ばたきが向かう場所を
もし共になれたとして
でもどうやって交わせばいいの?

しらない しらない
あの娘が私を見つめる理由を
しらない しらない
その瞳が映す姿の想いを
それゆえに恐ろしく
射抜かれた様に無力になるのだ

交わすことなく 知ることもなく
しかしその想いを誰が責めようか

追われる鳥は

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海のようにこころ

風が吹くのをやめてしまえば
あの大きな海原の
脈打つさざ波は
時を止めてしまうだろう

大地が呼吸をやめてしまえば
この大きな海原の
泡立つ鼓動は
息を止めてしまうだろう

私が息を止めてしまえば
この胸の高鳴りは
すっかりやんで聞こえずに
居なくなってしまうだろう

この心のさざ波は
私の息のある間
海原と風の間のように
決してやむことのない
うねりと嵐と さざ波と
穏やかな時まで揺れ続ける

盲目の森

「盲目の森」04/04/25

何千枚もの木の葉を重ねて
出来上がった書物につづられる言葉は
過去
それはほどくことの許されない
愛の記憶
それは忌まわしき魔物の
呪いの歴史

解かれることを禁じられた書物は森の中
迷子の迷子の羊の中に
食われぬようにと隠してあると
僕を知らないあなたは言った

決して食べてはいけないよ

あなたの僕はこの森の中の羊
水鏡に映る造られた希望
呪いの言葉を知るかのご

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アリス

07/09/05

待ち合わせはいつも鏡の中
時計はずっと五分ずれてるからいつだって遅刻
振られたウサギは陰鬱を振りまきながら街を練り歩く

ずっといつだってそこに思いを寄せてた
それは私を見続けていたわたし
ウサギは自らを裏切り火の中に飛び込んだ
でもだってそんなのウサギが決めたこと
ウサギを抱きしめた人間はウサギを食べました

おいしくね
おいしくね

非力なんかじゃなかったよ
きっとだって待

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