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なんでカナダに住んでるんだっけな

って思い返すことは少ないけれど、初めて会った方と話の流れで「ほ~、六年目ですか、どうしてまたこの地に?」みたいな質問をされる事ってよくある。

ここでちょっと注意書きなのだが、某番組みたく「Youはどうしてカナダに?」みたいにいきなり突っ込んで行くのは全くおススメしない。もしかしたら相手が、生まれも育ちもカナダな人かもしれないから。

だから、冒頭の話の流れで、っていうのは「カナダ歴短いんで、昔のそのニュースは知りませんでした」とか「こんな時なんで母国の両親が心配です」とかきっかけがあっての事です。だから初めて会った方、というより、こういう話をするのは
初めて会った+これから結構深い仲になりえる、人に限るかもしれない。

そもそもの来加のきっかけ

私のnoteに長くお付き合い頂いている方はご存じかもしれないし、プロファイルにも書いてあるので重ね重ねで申し訳ないけれど

私は日本で保育士として10年弱働いたのち、また国内外旅行を繰り返すうちに「もっと英語が喋れるようになりたい」「外国で暮らすってどんな感じなんだろう」「海外の保育の現場で働いてみたい」といった理由で、当時の私には長期間(一年間のワーキングホリデービザ)で英語圏への滞在の計画を立て始めた。

これといったきっかけ、というのはいくつか思い返すとあって、

  1. 年の離れた従姉妹が米国に留学していて、ずっと帰って来なかったので(アメリカという国はそんなに良い国なのか…)と子どもながらに思っていた。彼女は現在、日本国内の基地で働いている。

  2. 兄や身近な友人らに、留学やワーキングホリデーの経験があった。

  3. 短大在学中、福祉国家で有名な北欧に研修旅行へ。そこで「ネックレス、大ぶりのピアスを付けて、おしゃれなブーツを履きながら仕事をする現地の幼稚園教諭」を目の当たりにし、ビビる。私は既に、高校時代から保育園でボランティア、短大で実習も行っており、その日本との違いに「先生のおしゃれ具合」に衝撃を受ける。

  4. それまでも英語に関する小さな挫折はあったが、スリランカに旅行した時の事、ホテルで朝食を一緒に取っていた確かイギリスからのご夫婦の旅行客に「日本の和朝食」について聞かれ、思うように説明出来なかったこと。その時の悔しさは、割と今でも覚えている。

  5. 日本では保育士として働いていたが、実家は比較的裕福であった。低所得者層、として生き、自分の稼ぎではこれ位のアパートにしか住めないのか、というなんというか、もどかしさもあった。保育士という職業は好きなので転職するつもりは無かったのだが金銭的、社会的地位には満足していなかったのが事実である。

  6. 職場での会議の際、同僚が誰も発言せず、無駄な時間だな、と思ったので司会を務め皆に意見を求めた所、終わってから「若いのに生意気だ」と言われたこと。(まあ、今となっては空気を読まないで生意気だったかもな、と自分でも苦笑いなんですけれども)

  7. そして、それを友人に愚痴ったら「もう、海外行け、海外のがあんたは活躍出来るよ」と言われたこと。

単純な性格なので「そうか、海外行こう」と思い立ちました。

一年だけ行ってまた戻って来て働くつもりだった

私の職業は幸いにも資格職なので、一年のブランクは割と何でもなかった。私はまだ管理職でも無かったし。「生意気」と言われた職場にも「帰って来たらまたここに戻って来たらいいじゃない」と言われていた。

一人暮らしをしていたので、家電や荷物を貸し倉庫に預けて出発した。一年なんてあっという間で終わってしまうんだろうなぁ、という気持ちだった。そして、本当にあっという間に終わってしまった。

出国前は、貯金を増やすためにWワークしていたりもあって、カナダでは本当にのほほ~んと暮らしていた。当時会ったドイツからのワーキングホリデー仲間には「折角働けるビザなのに、そんなにのんびりしていて勿体ない」と言われたりもした。彼女はドイツを出発する前に、トロントでの就職先を見つけて、着いてからはバリバリ働いていた。

私の中では、どっちかというと「長めの夏休み」的なイメージだったのだ。

今となっては、働かなかった時期は観光/学生ビザで良かったのに、勿体ないことをしたな、と本当に後悔しているが。詳しくはこちら…

でも、そのの~んびりした時間が無かったら、永住しよう、と踏み切らなかったように思う。永住したい、とも思わなかったかも。

毎日のように語学学校のお友達とお茶をしたり、クラブに行ったり、お酒を飲んだり、ヨガスタジオに通ったり、ピクニックやバーベキューをしたり。その陽キャな生活がとても楽し過ぎて「カナダいい国!」と謎の一目惚れ感覚、というか勘違い初恋みたいなことになったんだと、今なら分析出来ます。

私は一年を待たずに「この国でこれから先も、どうやったら暮らせるだろう」と夢見るようになった。

保育士としての目覚め

ワーキングホリデービザのコンディションチェンジをしたので、保育園で働く事が出来た。

働き始めるまでに、色々な難関も。まず、保育園で働くには二日間に渡る救急救命講座を受けなくてはならなかった。そして、警察による無犯罪証明書。更に、医師からの健康に関するの一筆書きと予防接種歴を提出する必要もありました。

こうした準備をしていくうちに当地で保育園で働く保育士への(私はオンタリオ州の免許を持っていないので、保育助手という立場ですが)社会的関心の高さ、子どもに対する守りの強さ等を目の当たりにし、高鳴る期待を落ち着かせる事が大変でした。

働いてからも、アートアクティビティに対し、
素材が豊富だったり(例えば、絵具遊び一つにしても、筆だけでなく、ボール、ハエ叩き、ミニカーなどツールが沢山用意されている)
肌色と呼ばれる絵具は6色ほどあり、人種や民族の多様性がカバーされていたり、
壁面構成には車いすに乗った方や同性のカップルの写真、肌の色が異なる家族などの写真を掲げなくてはならない、という決まりがあったりすることに

当時は本当に衝撃を受けました。

また、働く環境としても、園お抱えの代替職員の存在(今、私はこの立場として働いています)や保育者斡旋業者からの派遣などにより、正規職員が病欠や休暇を自由に取れる仕組みが出来ていることなど、

いまだ他職業に比べ、当地でも低収入と問題視されているが、日本で働くより時給が高く収入が保証されている(日本の保育士は月給で働く事が殆どだと思いますが、当地は時給な事が多い)ちなみに、保育士正規職員として働いていた日本時代より、保育助手として働いている今の方が稼いでいます。

また、保育観の違いも顕著です。当地では本当の「子ども主体」の保育が行なわれているように感じます。例えば、制作は全員必須ではありません。やりたい子がやる、毎回持ち帰る作品の量はそれぞれ異なります。登園時間がきっちり特に定められていない、という事もありますが。

そんなこんなで、これから保育士としてしばらく働いて行くならば、この地で働きたいな、と思うようになりました。

私があまり保育に関するこうした真面目な話をしないのは、まだ自分が当地でちゃんと勉強していないという事があります。九月から学校に戻る予定ですが。上記に書いた事は学術的法律的な裏付けが勿論ありますが、またもし間違えていたらご指摘願います。

二年目からの暮らし

一年目でお金を使い切ってしまったので、永住権を取得する道として、残っていたのは「働き続ける」という道でした。私はすぐにCaregiver programという永住権を取る為の道(2年間、指定の職業でカナダに貢献したら永住権あげるよプログラム)を、歩み始めました。

カナダでの永住権取得を目指す方の多くには、当地のカレッジ等に行きカナダでの学歴を付け、就職⇨永住権申請、
または日本で英語力を高め、移民局が求めている職業で国外申請をし来加(パートナー父はこのタイプ、仕事のオファーも既にあってお家も用意されていたとの事)という2パターンが多いように思う。

私のようなタイプはあまり日本人では聞かない。何人か知っているが。

この方法で辛かったのは「逃げ場がない」という事だった。まあ、どの方法でも同じかもしれないが、代替え案が無かったのは精神的に辛かった。

しかし、二年後に永住権が確実に取れるこのやり方が、当時の私には最短で最安、唯一の方法だった。(確実と言われているものの、拒否されたらどうしよう、パンデミックで結果を貰うまで大分時間が掛かったので待ち時間はしんどかった)

正直、ここ数年はもうカナダへの愛は大分冷めていた。(え)

なんというかもう戻れないから、ここまでお金も時間も費やしたし、もったいないから絶対やりきるけどね!みたいな。

永住権を取得し、どうしてカナダに住んでいるのかもう一度考えたところ…

最近ね、なんでかあんま分からないのですが、

いや、分かるんですけど、

ワーホリで来加、語学留学、永住権を目指している、カナダに行こうと計画している方にTwitterやこちらでフォローして頂く機会が増えましてね。

これは、とあるツイートへの私なりの抗議だったんですけど。このツイートを沢山イイネして貰って、こうちょっと申し訳ない気持ちもあり。

私なんぞ…キラキラしてない方の海外生活ですけど、日系スーパーに行って「とろろ昆布、麺つゆ、おかき」を絶対買おうという小さな夢を生きがいとして生きているタイプの人間なんですけど、いいのかしら?と思って。

もちろん、カレッジ入学を控え、やっと人生が軌道に乗って来た、まわり道したような気もするけどこれもこれで良かったよね、みたいなポジティブな面もあるんですけど。

これからもカナダにしばらく住むけれど、永住権を取ったからと言って、生涯この国という訳でもなくて

もしかしたら全く違う国に移住するかもしれないし、都市を変えるかもしれないし、日本に帰るかもしれない。

私のパートナーは日本に住むことが人生の目標の一つでもあるので、パートナーとして夢を叶えて欲しいな、という思いもある。しかし、私の永住権はカナダにそれなりに住んでいないと失効してしまうので、彼の持っている市民権とは訳が違くて「じゃあちょっくら日本に住んでみようぜ!」とはなり難い。とかもあって。

6年目でお蔭様で友人、知人も出来、生活の基盤、文化にも慣れ、割とトロントの人として振舞う事が多くなって来た今

「なんでカナダに住んでるの?」って聞かれても、これが日常なんですよ、としか言えない。

なんて的外れな終わり方。チャンチャン。

4000字越え、最後まで読んでくださりありがとうございました。



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