マツコ612

宮本浩次、エレファントカシマシ、演劇、たまに教育っぽいことなど。

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宮本浩次、エレファントカシマシ、演劇、たまに教育っぽいことなど。

最近の記事

それを愛と呼ぶことについて

エレファントカシマシの名曲、「桜の花、舞い上がる道を」(2008)のカップリング曲である「それを愛と呼ぶとしよう」。 相当にリアルさが感じられるいわゆる「ラブソング」で、女性ファンがざわざわしたと聞くこの曲を遅ればせながら。 かなり覚悟して聴いたのだけれど、結論から言うと、思ったほど、というよりほとんど心はざわつかなかった。 どうしてだろうと思いながら繰り返し聴くうちに、この曲と表題曲に共通してうたわれるフレーズに気付いたのだ。それは、 〈上り下り〉 その瞬間、もしかし

    • 彼女に降る雨

      ロック歌手宮本浩次のソロ3作目であるアルバム「縦横無尽」に収録されている、 「rain-愛だけを信じて-」 このうたを初めて耳にしたのは、アルバムリリースの直前、プロモーションにために執り行われたYouTube生配信だった。 「女性になりきって」と前置きしてうたった、女性を主人公にした楽曲。 「男性もいっしょなんだけど」と断ってもいたが、私にはこのうたが男性ロック歌手により「おんな唄」としてうたわれたことに大きな意味を感じる。 幸いなことに私は二十数年間公務員として働く

      • +12

        きもの2021

        • 男とか女とか。(または「みんなのpassion」)

          有名な話だが、エレファントカシマシには「〇〇男」というタイトルの曲が多数ある。 「男は」「女は」とうたう歌詞も多い。そのように性差をあからさまに示すことは、あまりいまどきではないと言えるだろう。 私は世間一般の人々よりはややフェミニズムとかジェンダー平等とかへの関心が高い人だ。「女だから」というジェンダーバイアスに抗って生きてきたことは否めない。 側から見るとめんどくせい女と思われてもいたしかたない。 そんな私が、宮本さんのつくるうたを不快に感じないのはなぜだろうと考えた

        それを愛と呼ぶことについて

          笑いの神よ、人よ、高くあれ。

          巷で有名なM-1グランプリ。 さっぱり興味がなかったのだけれど、今年は観ました。 なぜなら予告動画に、 宮本浩次の「昇る太陽」 が起用されていたから。 2年前に発表されて、何もタイアップがついていなかった曲。まるでこのために大切にとってあったかのように。 放送当日。 なんてたたかいだ。 みんな間違いなくおもしろいのに、点数と順位が付けられるシビアさ。 的確なジャッジに思い知るプロの凄さ。 「笑いを産み出す」 というただひとつの目的のために、 ことばを選び抜いてネタをつく

          笑いの神よ、人よ、高くあれ。

          その先の、道へ。

          「試される大地」というフレーズをご存じだろうか。1998年に公募で決定した北の大地のキャッチフレーズだ。私はその大地に生まれ、3年弱を除いて人生のほとんどをそこに暮らしている。 その大地に、11月、ロック歌手宮本浩次が降臨する。 宮本さんは地方の公演でよく地名を叫ぶ。 「札幌ベイベー!」って言うのかな。 できれば「北海道」って言ってほしい。(絶望的に北海道が似合わない人であることは承知しているけれど) なぜなら私が札幌という地への帰属意識がないから。好きな街ではあるけれ

          その先の、道へ。

          空はつながっている

          小林武史作詞作曲による、宮本浩次と櫻井和寿のコラボ曲「東京協奏曲」が発表された。 歌い手ふたりがビルの高みから東京の街を守護するように見下ろして歌う、モノクロームの映像が美しいMVの中で、私の心の端に残るのが、横断歩道を渡る子どもたちの姿だ。 若いころ、旅行が好きで、国内外あちこちへ出かけていた。 非日常を味わいたくて出かけていたのだが、旅の途中でふとしたときに感じていたことがある。 私にとっては非日常であるこの土地でも、人々は日常を紡いでいて、そこには学校があって子ども

          空はつながっている

          引きずりまわす男

          「引きずり回す」という動詞を、日常生活においてどれだけ使うだろうか。 宮本浩次氏の場合。 目下私のいちばん好きなアルバムである「昇れる太陽」(2009年)では、 「魂引きずりまわせ!」 (Sky is blue) 揺れる想い 引きずり回して進め! (to you) と2曲で使われている。40代前半、引きずりまわしたいお年ごろだったのね、と思ったものだ。 遡って2003年のアルバム「俺の道」でも、表題曲に、 満たされないまま 引きずりまわして歩け がすでに登場し

          引きずりまわす男

          宮本浩次という生き方

          私の書棚に「校長という仕事・生き方」という本がある。校長という職がたんなる職業にとどまらず、その人の生き方と密接に関わっているとの考えから、私が住む自治体で活躍する小中学校の校長先生がたが書かれたライフヒストリーを基に、校長の在り方を模索した書籍である。 (なぜこれが私の書棚にあるかといえば、私がいずれそこに行き着くルートに乗っかっているから) そして宮本浩次である。 職業、ロック歌手。 職業というからには、生活の糧を得るための手段という意識もあるだろう。しかしそれ以上に、

          宮本浩次という生き方

          宮本さんと海老蔵さんと私〜shiningによせて〜

          3月に市川團十郎白猿襲名記念特別企画ドラマ「桶狭間〜織田信長 覇王の誕生〜」主題歌として発表、6月にCDがリリースされた宮本浩次の「shining」。 歴史ものに英語タイトル⁈とか、番組HPでのプロデューサー氏の熱のこもったコメント、海老蔵さんからの絶賛、番宣特番で一部が流れた折の「アモーレって言ってる⁈」などが放送前から話題に。ドラマでもとても大切に扱われていた。 私はとりたてて海老蔵さんのファンというわけではない。歌舞伎についても、演劇ファンとして、世間一般の人よりは

          宮本さんと海老蔵さんと私〜shiningによせて〜

          “ROMANCE”という名付け

          ロングヒット中の宮本浩次のカバーアルバム「ROMANCE」 「宮本が愛した、おんな唄」 女性ヴォーカル曲のカバー12曲を収めた作品集。 アルバムタイトルがいい。収録曲のひとつではあるのだけれど、それ以上に、ここにうたわれる彼女たちの12の物語をひとつにくくって名前をつけるなら、これしかないと思える。 愛や恋をあらわすことばはほかにもあるけれど、love affairは恋愛という事象だし、relationshipは利害のある関係性のように感じる。精神性が肉体性より優っている印

          “ROMANCE”という名付け

          向き合うということ

          エレファントカシマシのデビュー25周年にあたり発売されたデビューアルバムのデラックス盤には、付録としてデビューから半年弱のころに行われたコンサートの音源が付いていた。 このコンサートの曲間のおしゃべり、いわゆるMCが実に興味深い。 宮本青年22歳。 想像だけれどこの人はお育ちがよい。 セレブとかいう意味ではなく、極めて常識的なご家庭で、大切に、十分な愛情を与えられ、必要なことをしっかりと教えられて育てられたであろうことが、55歳の今の言葉遣いや立ち居振る舞いからうかがえるの

          向き合うということ