松原凛

R18文学賞最終候補/野いちご大賞最終選考最終候補/ポプラ小説大賞最終候補/原稿依頼は…

松原凛

R18文学賞最終候補/野いちご大賞最終選考最終候補/ポプラ小説大賞最終候補/原稿依頼はこちらにお願いします。出版社さん連絡ください。よろしくお願いします!matsubararin0917@gmail.com

記事一覧

ずっと成人式でいい

 市民会館で市長の長話と新成人の挨拶が終わり、やっと開放されたのが十一時すぎ。朝から慣れないスーツなんか着て俺はへとへとになっていた。一人気合いの入ったやつが白…

松原凛
3か月前
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かいじゅうのダンス

   朔太は小学校の入学式にオオカミの着ぐるみを着て参加した。  白い全身にふさふさした長い尻尾、先の尖った三角耳(どう見ても猫耳にしか見えない)のついたフード…

松原凛
9か月前
7

「スーパーガール」あらすじ

ウサギが巨大化し、人が襲われる事件が街で頻発していた。日向はクラスメイトからいじめを受けている。抵抗を諦めいじめに耐える日向の前に、ピンク髪にピンクのライダース…

松原凛
1年前
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「キノコ姫の下僕」あらすじ

暴飲毒キノコを食べて死ぬことを望む裕一は、一人で学校の裏山に向かった。そこには毒キノコが大量に生えていて、中でも猛毒とされるドクツルタケを食べる。猛毒に苦しむ裕…

松原凛
1年前
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「キノコ姫の下僕」本編 第2話

 そんなこんなでワケあってキノコ化してしまった戦国時代の姫姉妹と僕の同居生活、もとい主従関係がはじまった。  家を貸している僕のほうが下ということは気にしてはい…

松原凛
1年前
2

「キノコ姫の下僕」本編 第1話

 世の中には善良なキノコとそうではないキノコがある。  一般的にスーパーに売られているキノコは食べようと育てようと鑑賞しようとなんの問題もない。  一方で、山奥あ…

松原凛
1年前
3

「スーパーガール」本編

 巨大化したウサギが街を襲う映像。凄まじい跳躍力と腕力で建物を潰し、人参でも食べるみたいに前足で軽々と人を掴んで口に放り込む。  地面に顔を押しつけられながら、…

松原凛
1年前
2

マスカレード・ミュージアム

 博物館の説明にはこう書いてある。 「人にはかつて、色がありました」  おおまかにわけて、白、黒、淡黄色の三色、錆びた銅のような褐色や、土色をした混血種もいた。前…

松原凛
2年前
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ずっと成人式でいい

 市民会館で市長の長話と新成人の挨拶が終わり、やっと開放されたのが十一時すぎ。朝から慣れないスーツなんか着て俺はへとへとになっていた。一人気合いの入ったやつが白スーツで登場してたまげたが、ホストをやっていると聞いて納得。あいつ中学の頃から目立ちたがり屋だったからな。そんなことより女の子だ、全体的に地味な男どもに比べて女の子たちの振り袖姿はさすがというか、色鮮やかで華やかだった。化粧で誰が誰だかよく

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かいじゅうのダンス

 

 朔太は小学校の入学式にオオカミの着ぐるみを着て参加した。
 白い全身にふさふさした長い尻尾、先の尖った三角耳(どう見ても猫耳にしか見えない)のついたフードには小さな金色の冠がちょこんと乗っている。『かいじゅうたちのいるところ』という絵本の男の子が着ているオオカミの着ぐるみらしく、エリカ先生いわく「サクくんにそっくり」らしい。

 エリカ先生は日本人の女医で、アメリカでの朔太のかかりつけ

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「スーパーガール」あらすじ

「スーパーガール」あらすじ

ウサギが巨大化し、人が襲われる事件が街で頻発していた。日向はクラスメイトからいじめを受けている。抵抗を諦めいじめに耐える日向の前に、ピンク髪にピンクのライダースーツ姿の少女が現れた。少女はスーパーガールと名乗り、クラスメイトに飛び蹴りを食らわせた。その日から日向はいじめを受けなくなった。しかし標的が変わっただけでいじめはなくならず、何もできない自分に心苦しさを覚える。ある日、街に出かけた日向は、巨

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「キノコ姫の下僕」あらすじ

「キノコ姫の下僕」あらすじ

暴飲毒キノコを食べて死ぬことを望む裕一は、一人で学校の裏山に向かった。そこには毒キノコが大量に生えていて、中でも猛毒とされるドクツルタケを食べる。猛毒に苦しむ裕一の目の前に、頭からキノコを生やした着物姿の少女が現れた。少女は戦国時代最後の姫、千姫と名乗り、裕一を下僕と呼んで家に居座るように。さらに千姫の妹である珠姫もやってきて、キノコ姫と僕の奇妙な共同生活(主従関係)が始まった。千姫は自分を殺した

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「キノコ姫の下僕」本編 第2話

 そんなこんなでワケあってキノコ化してしまった戦国時代の姫姉妹と僕の同居生活、もとい主従関係がはじまった。
 家を貸している僕のほうが下ということは気にしてはいけない。姫は生まれ持って姫だし下僕は生まれ持って下僕なのだ。ひとまずそういうことで納得する。
「おおっ、これはなんじゃ、新技か!?」
「お姉ちゃん、このひと燃えながら踊ってるよ! すごいねっ!」
「人間にこんなことができるとは驚きじゃな……

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「キノコ姫の下僕」本編 第1話

 世の中には善良なキノコとそうではないキノコがある。
 一般的にスーパーに売られているキノコは食べようと育てようと鑑賞しようとなんの問題もない。
 一方で、山奥あるいはそこら辺のちょっと怪しげな茂みに入れば、あきらかにやばそうな毒々しい見た目のキノコがいくらでも生えていたりする。口にすれば痙攣や幻覚作用など薬物中毒にも似た症状を発するものや、一口食べただけで死に至るもの、触れるだけでも危うい代物ま

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「スーパーガール」本編

 巨大化したウサギが街を襲う映像。凄まじい跳躍力と腕力で建物を潰し、人参でも食べるみたいに前足で軽々と人を掴んで口に放り込む。
 地面に顔を押しつけられながら、私は朝テレビで見たニュースを思い出していた。
 一年ほど前から、街で頻発している事件だ。ウサギが突然巨大化し、街に出てきて人々を襲う。小さな可愛らしい草食動物だったはずのウサギは姿を消し、赤い目をぎらつかせて獲物を狙う巨大な猛獣と化した。

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マスカレード・ミュージアム

 博物館の説明にはこう書いてある。
「人にはかつて、色がありました」
 おおまかにわけて、白、黒、淡黄色の三色、錆びた銅のような褐色や、土色をした混血種もいた。前時代の人類、つまり有色人種とちがって、私たち無色人種の肌は混ざり気のない白、フレッシュ・チーズやユリの花びらのような透明感のある、真っさらな白色だ。かつて白人と呼ばれていた人種の肌は、厳密にいえば白色ではない。白に近いがほのかに赤みがかっ

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