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実話怪談

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2021年1月の記事一覧

サトリ

サトリ

私事で、本日、U町からS橋駅に向かっていたときの5分ほどのお話です。

私が歩いていますと、進行方向先から40代後半〜60代と思われる男性が歩いてきました。

髪色は黒かったけれど、頭頂部の肌が見えるほどの毛量に対して横髪が肩にかかるほど長くて、一見して落ち武者を思わせるような風貌をしていました。

相手の唇が動いて、何かモゴモゴと動き、喋ってるのだろうと思われました。

服装は虎柄っぽい綿入りジ

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スクールバス

スクールバス

死者は見た目から生者と違う姿であるとか、
死者の動きは生きてる人間のそれとは違うから見ればわかる、とか聞きますが、果たしてそれは真実でしょうか?

特別支援学校で勤務した頃のお話です。

特別支援学校は障害のある児童・生徒の通う学校で、現在では名前くらいは知っている、特別支援学校がどんなものかは聞いたことがある、という方も多いのではないでしょうか。

特別支援学校も様々で、障害の区分に合わせて、通

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○○さんの話はしちゃいけないよ

○○さんの話はしちゃいけないよ

夢の見方が変わっていると言われました。
多くの方が自分が体験する夢を見るそうですが、私は俯瞰視点で見ることが多いのです。
また、俯瞰視点でない場合、夢だと自覚して見る明晰夢が多かったりします。

ある日、スリラーナイトの怪談凸待ちをした夜、夢を見ました。
暗い中、嫌な感触に包まれます。
金縛りが起きるわけでもなく、ただ、じんわりと体にまとわりつき、ゆっくりと下に引き下ろすような、上からべったりと押

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押し入れの話

押し入れの話

以前、有名な怪談バーの怪談師さん達が、凸待ち怪談をしてらっしゃいました。

そこで話した、私が育った家で起きた不思議な話です。

小学生の時、夜も更けたころ、母と祖母が話している横で私は寝ていました。

私の足元にはかなり大きな押し入れがありました。

押し入れの中には客用布団や座布団、祖父が集めたレコード類が置いてありました。

私のためにと子供用のソノシートもあったため、私もよく押し入れを開け

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Mさんの話

Mさんの話

東にある、ちょっと賑やかな学校で勤務していた頃の話です。

同僚にMさんと言う家庭科の先生がいました。
とても明るく、男女分け隔てなく接する方でした。
美術教師の私とは、仲が特に良いというわけではなかったのですが、同年代でもあったので、気軽に世間話をしたり些細な愚痴をこぼしあったりするくらいではありました。
むしろ、Mさんは私が苦手とする気の強い方々とも気さくに話ができたので、そういった同僚達と

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電話の向こう

私が以前勤務していた学校は、職員が100名近くいて、職員室がとても広いものでした。

平日は職員室内が騒がしく、子供の声と教師の声と様々に聞こえていました。

ですが、夏休みに入れば、学校に来る子供たちも限られ、教師たちも研修やら休暇やらで、職員室はガラ空きの状態になりました。

8月、校内研修のため、私は出勤していました。

研修は午後からだったので、午前中から出勤し、2学期の教材準備として、職

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東京タワーにて

東京タワーにて

幼少期、私は暗闇を怖がる子どもでした。

誰と一緒だろうと、少しでも闇があると、火が付いたように泣き喚いたそうです。

そうだったにも関わらず、父方の従兄弟家族が遊びに来た際、その従兄弟家族と父方の家族と私で東京タワーの蝋人形館に行きました。

私は、入り口から目をつぶったまま動かずにいようとした記憶があります。

ですが、その記憶に混じってドラキュラなどのモンスターの1分の1スケールが思い出され

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軒下の男性

軒下の男性

霊体は粒子だと思うことがあります。

魂には重さがあるそうですが、霊体が粒子であれば重さがあって当然でしょうし、光ったりモヤがかかったりすることの理由にもなるかと思っています。

幽霊が湿気があるところに溜まるのに、水も空気も流れる場所が苦手なのは、そんな理由だからかもしれません。

先日、実家の洗濯の干し場を替えました。

ベランダまで洗濯物を運ぶのが辛くなったと叔母が言うので、1階の洗濯場のそ

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白い布と照明

白い布と照明

私がE区の学校で働いていたときの話です。

私は演劇部の顧問をしていました。

演劇部は体育館の舞台裏通路を部室替わりにしていて、衣装やメイク道具を、通路に並べたロッカー内にギュウギュウに詰めていました。

その通路には、見えない人達がたむろっていました。そこでひとりで居ると急に電気が落ちたり、ドアが開かなくなったりするのです。

生徒の数人が見ただの触られただのと言っていました。

私はまあ慣れ

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