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Massteryの機能追加時に大切にしている考え方 #2

皆さん、こんにちは。高速検索の会社、フォルシア株式会社でデータクレンジングツールMassteryの開発を担当している伊藤です。

今日は以下の記事に引き続き、Massteryの機能追加時に私個人やチームが気をつけていることをご紹介します。

話の前提となっている、Massteryの事業・プロダクトの状況についてもご紹介しています。

本記事は以下のような方におすすめです。
- Massteryの機能追加がどのように進められているか、裏側が気になる方
- Massteryの導入をご検討いただいている方
- SaaSプロダクトの開発プロセスに興味のある方

Massteryにはどのような機能があるか気になった方は、機能紹介ページをご覧ください。

2. 課題は解像度をあげて、部分課題を確実に仕留める

プロダクトの機能とは、何らかの課題を解決するものです。それはユーザの課題であることもあれば、自分たちの事業課題であることもあります。いずれにしても、機能によって課題を解決するときに、「解像度をあげて、小さく確実に解決する」ということを意識しています。

もう少しざっくりいうと、ふわっとした大きな課題を、そのまま大きく解こうとしない ということです。

以下で詳しくご説明します。

課題の解像度をあげる

課題の解像度をあげるとは、大きな課題の姿形を的確に捉えて、より具体的な課題に分割し、鍵となる本質的な課題を特定するプロセスです。難しく捉えがたい課題を、解決できる課題に落とし込んでいく作業とも言いかえることができます。

と、私の言葉で少し解説してみましたが、

  • 解像度が高まった状態とはどのような状態なのか

  • 解像度を高めるためにはどのようなプロセスを踏めばよいのか

については、以下の「解像度を高める」スライドをお読みいただくのが一番です。
https://speakerdeck.com/tumada/jie-xiang-du-wogao-meru
本記事の内容も、このスライドに大きく影響を受けていますので、ぜひご覧ください。

「解像度を高める」では、「醤油が美味しくない」という課題を例にあげて解説されています。ここでは「醤油が美味しくない」という課題に対して「美味しい醤油を作る」という解決策は、安易であり良い解決策ではないと解説されています。そして、解像度を高めた結果見つかった課題(のうち影響度の高いもの)として「醤油が酸化で劣化する」が挙げられています。

SaaSのプロダクト開発の場合では、たとえば「設定画面が使いにくい」という課題に対して、「設定画面を使いやすくする」解決策では解像度が低いと言えます。なぜ使いにくいのか、

  • 一連の設定フローのなかでどこにハードルがあるのか

  • 特にどのような人にとって使いにくいのか

といった分析をしたうえで、注力する課題を決めると、より解像度が高まります。

解像度をあげるメリット

「醤油が酸化で劣化する」は、「醤油が美味しくない」よりも具体的で、アプローチしやすい課題です。そして、醤油を美味しくするためには、解像度が低いまま思いつく解決策をあれこれやってみるよりも、影響度の高い課題の解決「醤油の酸化を防ぐこと」に注力するほうが、効果的です。

これは機能追加の場合も同様で、解像度をあげて影響度の高い課題を特定することで、リソース(お金や時間)を最も効果のあるところに集中させ、その周辺の影響度の低い課題に時間を使ってしまうことを防ぐことができます。

課題がふんわり・ぼんやりと見えている状態では、どうしても課題が実態より大きく見えてしまい、解決策も大きくなってしまいがちですが、課題の解像度をあげれば、比較的小さな解決策で済みます。大きな風船を割るために、大きな刀を振り抜くのではなく、画鋲で小さな穴をあけるイメージです。

部分課題を確実に仕留める

課題の解像度をあげて影響度の高い課題を特定したら、いよいよ解決策の考案です。このとき気をつけていることは、分割した課題は「確実性高く解決する」ということです(個人的には「課題を仕留める」「課題のど真ん中を刺しきる」という言い方をすると、何だかしっくりきます)。ターゲットにした課題は、ど真ん中を捉えて、確実につぶしていきます。

中途半端に課題を残してしまうと、その課題を解消した先の次のボトルネックとなる課題が見えにくくなってしまいます。また、課題だと思っているものも、解決してみるまでは、それが本当に課題なのかどうか仮説の域を出ないケースも多々あります。課題を確実に仕留めていくことで、確実な次の1歩を踏み出していくことができます。

なお、確実に仕留める解決策が見当たらないときは、それはそもそも不可能であるか、多くの場合は課題の解像度がまだ低いということです。「確実に仕留める」という意識を持つことで、課題の解像度を十分に高めることにもつながります。

解決策の目的は1つに

「課題のど真ん中を捉えて確実に仕留める」だなんて、当たり前のことと思われた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、意外とそうでない解決策が講じられていることはよくあります。

ありがちなのは「複数の課題に効果がある解決策」を講じているケースです。複数の課題に効果がある解決策というのは、一石二鳥でお得感があります。が、そのお得感ゆえに、効果が過大視されがちです。「どの課題にも少しずつ効果があるようで、実はどの課題に対しても十分な解決策にはなっていない」という場合でも、見過ごされやすいのです。

その解決策はどの課題を解決するために用意したのか。まずターゲットの課題を1つに絞ったうえで、解決策を考えてみることが大事だと考えています。まずは1つに絞ることで、ぶれることなく十分性の高い解決策を考案することができます。

さいごに

Massteryの機能追加時に大切にしている考え方の、2つ目についてご紹介してきました。機能追加に限った話ではなく、課題解決全般において大切なことと言えるかもしれません。

私達がご提供している製品「Masstery(マスタリー)」は、 多くの人手が必要だったデータ整備を自動化する画期的なデータクレンジングツールです。フォーマットの統一、カテゴリーの自動分類、独自の変換、差分情報の取得等、データ整備に必要なあらゆる機能をご提供しています。
Masstery 公式サイト:https://mstr.forcia.com/(データクレンジング) 
フォルシア株式会社 企業サイト:https://www.forcia.com/ (高速検索)

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