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Massteryの機能追加時に大切にしている考え方 #1

皆さん、こんにちは。高速検索の会社、フォルシア株式会社でデータクレンジングツールMassteryの開発を担当している伊藤です。

 今日は、Masstery開発の舞台裏をご紹介したいと思います。Massteryの機能追加時に私個人やチームが気をつけていることをご紹介できればと思います。

 以下のような方にお読みいただけると嬉しいです。
- Massteryの機能追加がどのように進められているか、裏側が気になる方
-  Massteryの導入をご検討頂いている方
-  SaaSプロダクトの開発プロセスに興味のある方


 Massteryの機能とはどのようなものか、気になった方は、下記の機能紹介ページもぜひご覧ください。

前提

まずはじめに、話の前提となる、現在のMassteryの事業・プロダクトの状況をご説明します。

Massteryの事業フェーズ

 Massteryは2020年の春にローンチしたサービスで、ローンチから丸2年が経過したところです。ここまでのMassteryのあゆみについては、以下の記事でご紹介していますので、ぜひご覧ください。

 上記の記事でもふれていますが、新規事業に対してよく0→1→10→100と言われるところ、Massteryは「1」を少し超えたフェーズにあるサービスと言えます。

お客様のお役に立てるサービスとして活躍中ですが、より多くの方の課題をより上手に解決すべく、まだまださらなる発展をめざしているフェーズです。

プロダクト開発はいつだって「やれること << やりたいこと」

プロダクト開発に関わっている方は、皆さんご経験があることと思いますが、プロダクト開発は多くの場合「やれること << やりたいこと」な状況です。Massteryもまた、そんなプロダクトの1つです。

 実現したいお客様のご要望、ここがあと少しこうなればもっと使いやすいのに!と感じている箇所はたくさんありますが、時間は有限ですから、優先順位を決めて取り組まなければなりません。

スピード感が大事

どんな事業であれ、事業推進のスピードが大事なことは言うまでもありませんが、不確実性の高い新規事業において、スピード感は特に重要な要素です。

 不確実でわかっていることが少ないので、「上手くいくかどうか、やってみないとわからないこと」をたくさん試してみる必要があります。次の四半期に向けた施策が3案あるとして、それを同じ人数で1つ試せるか3つ試せるかでは、事業の進展は大きく変わってきます。

 限られた時間のなかで、いかにお客様や市場との接点をふやし、生のフィードバックを得て試行錯誤のサイクルを回していけるかが、事業の成否に大きく関わってきます。

1.課題を「より早く解決する」方法を必ず考える

まず大事にしていることは、「課題が解決された状態」をいち早く実現することです。課題はユーザーの課題であることもあれば、私たちの事業課題のこともありますが、いずれにしても「少しでも早く、課題を解消・緩和するには?」という視点を持つようにしています。

 理由は以下のとおりです。

 1つ目の理由は、対外的にサービスの価値が高い状態をできるだけ長く取りたいからです。早く解決すればするほど、より多くの価値を提供できます。事業の根本は世の中に価値を提供することですから、これは当然といえば当然です。

 2つ目の理由は、「スピード感が大事」の項と関連しますが、そうしないと次の課題・次のボトルネックが見えてこないからです。お客様の役に立てるサービスになるために、超えなければならない壁は山ほどありますから、「これが解決できたとしたら、次はどうなるのか?」は早く明らかにするに越したことはありません。

 以下で、課題を「早く解決する」ために具体的にどのようなことを意識しているのか、ご紹介していきます。

1-1.課題を段階的に解消できるときは段階をふむ

課題をいきなり全部解消しようとするのではなく、段階をふめる場合は、解消できる要素から解消していくようにしています。

-  段階的なリリースを設ける
-  いきなり汎用的な機能は作らず、まずは小さく限定的な機能としてリリースしてから、徐々に機能をリッチにしていく

などしています。

 たとえばお客様が特定の操作の手間が多くて困っている場合に、その操作を代替する機能を作るケースです。そのとき、その機能が完成する前でも、「Masstery以外のツールを活用したり、Massteryを別の使い方をすることによって、少しでも早くに負担を軽減できないか」と考えます。

 とにかく、暫定対応と恒久対応を分けられるときは分け、課題の解消・緩和に少しでも寄与する策をできるだけ手前に持ってくる、ということを意識しています。

1-2.「機能」で解決することにこだわりすぎない

 上記の例とも関連しますが、課題を早く解決するうえでは、「これはそもそも、いま、プロダクト機能によって解決すべき課題なのか」の判断が(機能の話をしていながら逆説的ですが)とても重要だと考えています。

 「機能としてどう実現するか」を考えていると、
- なかなかこれぞという答えが見つからない
- あるいは、どうやっても時間のかかる対応になってしまう

ということがありますが、そんなときは視点を一歩ひいて「本当に機能でないと解決できないのか?」と考えてみると、意外とヒントが得られることがあります。

次の項でお話しますが、機能はパワフルな解決策なだけに、機能追加に求められるエネルギーもまたパワフルです。もちろん、プロダクトの有効性自体が検証フェーズにある場合やちょっとした機能の場合は、あれこれ考えずにまずは手を動かして作ってしまう方が近道なことが多いです。一方で、プロダクトの規模とユーザーがふえるとともに、プロダクトに関わる意思決定が難しい場面もふえますので、「早く解決する」ために、「機能」以外の解決策も積極的に視野に入れて考えることを意識しています。

なお余これは個人的な話ですが、私は以前はエンジニアの仕事は「よりよいシステムを開発すること」だと思っていましたが、今では

- システム化すべきかどうかについて、適切な判断、判断材料提供をすること
- システム化せずに解決したほうがよい課題について、システム化以外の解決策を考えること

もまた、同じくらい重要な仕事だと考えています。

「機能追加」はパワフルな解決策

 前の項で

機能追加は「パワフルな解決策」なだけに、機能追加に求められるエネル ギーもまたパワフルです。

 と書きましたが、これは日々、とくにMassteryの機能やユーザがふえてきた中で、よく感じたことです。

 機能として実現するということは、一定の汎用性・整合性・ユーザビリティを担保するということです。それがすなわち機能(システム)のパワフルさそのものであるわけですが、まさにそれらを担保するために、相応の検討とエネルギーが求められます。

 新たな機能を追加する際は、プロダクト全体の思想や将来展望とも整合性をとって、適切な判断・たしかな意思決定が必要です。

- その機能は本当にプロダクト価値の向上につながるのか
- どのような形で機能を実現するのがユーザー体験・アプリケーション設計・対応規模の観点で最適か

 また、不適切な機能を実装してしまうと、かえってプロダクトの価値や拡張性を損ないかねませんし、一度実装した機能をあとから削除するのはなかなか簡単ではありませんから、慎重な判断が求められるケースもあります。

 一つの機能追加の裏にどれだけの検討ポイントがあるかについては、下記の記事の「英語で契約締結できる機能」の例がとても参考になります(例にかぎらず、機能追加に関するスタンスを考えるうえで大変ためになる記事で、たくさん学ばせていただきました)。

-       エネルギーがかかる分だけしっかりとレバレッジがかかる領域だけを、プロダクト機能に落とし込むこと
-       しっかりとレバレッジがかかるような、プロダクト機能の実現方法を考案すること

が重要になります。

前の項で

これはそもそも、いま、プロダクト機能によって解決すべき課題なのか

 と書きましたが、「いま」なのか「将来」なのか、時間軸も意識すると、より納得感を持って意思決定できるように感じています。

さいごに

いかがでしたでしょうか。Massteryの機能追加時に大切にしている考え方について、ご紹介してきました。

 続編も投稿予定ですので、ぜひご覧いただけると嬉しいです。

私達がご提供している製品「Masstery(マスタリー)」は、 多くの人手が必要だったデータ整備を自動化する画期的なデータクレンジングツールです。フォーマットの統一、カテゴリーの自動分類、独自の変換、差分情報の取得等、データ整備に必要なあらゆる機能をご提供しています。
Masstery 公式サイト:https://mstr.forcia.com/(データクレンジング) 
フォルシア株式会社 企業サイト:https://www.forcia.com/ (高速検索)

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