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アパレル通訳かと思いきや、子守りをした話

こんにちは、日伊通訳マッシ(@massi3112

国際アパレルの展示会でキツかったことは、今思い出しても体が地面に沈むようだ。

よく、共同で世界中の展示会に出展してるという、イタリアの出店者2社。東京にもいつものように出展しにきた。
今回きた案件は、その南イタリアの会社2社を同時に通訳する、という内容だった。長い3日間が、ここから始まる。

出店者を説明すると、1社は紳士スーツのオーダーメイド会社。担当者は社長の息子(30代)。もう1社はメンズのズボンの会社。担当者は70代の社長。
非常にお洒落で陽気な「ザ・南イタリア人」の印象は、今も強く残っている。

3日間のトラブルと大変さを言葉にしてみたいと思う。
・展示会は10時からなのに、11時まで誰も来なくて、ブースに僕だけ。担当者と間違えられ、細かい質問やオーダーなどの話を聞かれた。素敵な笑顔と震える心でやり過ごした。
・綺麗な女性がブースの前を通るたびに、彼女を見ながら、イタリア人的な褒め言葉を言ったり「通訳して」と言われたり。仕事中だから、の概念がない。
・展示会の担当者に、きつい文句を言って怒った時もあった。その担当者は、僕がよく知っている方なので、通訳するのが辛かった。
・展示会が終わってからも、食事の付き合い。喫煙席、お洒落なお店、美味しい料理の条件で探してと言われた。南イタリア人はこだわりが強い。御察しの通りの地獄である。
・3人なのに頼む料理は約7人分。お腹いっぱいと言っても「食べて!もっと食べて!」の声が止まない。
・スワロフスキージャパンのデザイナーは、ブースでオーダーメイドのジャケットを注文した。支払いを済ませ、3週間後。僕に連絡がきて、「ジャケットはどうなってる?連絡が来ないから社長の息子に連絡できる?」とのこと。お陰様で、無事にジャケットはお客様に届いた。
・1時間ごとにタバコ、コーヒーの休憩だったから、僕は通訳者というよりもはや、営業者になっていた。営業料はもちろん、いただいていない。南イタリア人は、休憩時給があるとでも思っているのだろうか?
・香水がキツかった。

通訳より、イタリア人2人の面倒を見る方がはるかに大変だった。社会人の経験とビジネスマナーなどは役に立たず、なぜ僕は保育園の先生の資格を持っていないのか、自分の勉強不足を呪った。
できれば僕は、立派な社会人として、立派な社会人の方とのビジネスを、今後も望んでいる。

Massi

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マッシ|エッセイスト・ライター
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