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45分物語

「昼休みの過ごし方」というハッシュタグを見つけたのでそれについて書いてみたいと思う。私の昼休みの過ごし方は極めて淡白で華やかさの欠片も無い。そういったモノを求める人は他の人の記事を当たって欲しい。

まず、デスクワーク中心の私の昼休みは12時から45分間だけ与えられている。よっぽどの天変地異が無い限り、休憩時間が始まるとすぐに自席で自分で朝に作った弁当を食べ始める。


たまには近くで外食をしたりしても良いのだが、いかんせん45分しか休憩時間が無いため、移動等をしているとゆっくりと食事ができない。45分しかない休憩でエレベーター等の移動に15分近く使うのは本当にアホらしく感じてしまう。

また、注文弁当を頼むこともできるのだが、注文すること自体が面倒くさいし、何よりたまに業者側のミスで弁当が届かないことがある。昼に食べ物が無いという状況は想像しただけでも物凄くストレスなので、自分で弁当を作る。そうすれば、自分が作って持参しさえすれば確実に手元に食べ物があるし、休憩時間になったらすぐに食べることができる。

以前は給湯室でレンチンをして、ホカホカの自炊弁当を楽しんでいたが、この1台しかないレンジがとても並ぶ。仕事中は誰も見向きもしないのに、お昼の休憩時間だけは超人気者だ。誰もが我先にと食べ物を持って詰め寄せて、交代で弁当や総菜を温めていく。「チーン!」という甲高いベルの音が1分毎くらいに鳴り響く。私も以前はこのレンチンの列に並んでいたが、ひどい時には10分近く並ぶこともあったので、バカバカしくなってある時にやめた。

私はレンチンを辞めることで休憩時間を数分取り戻すことに成功したのだ。そして、レンチンしなくても弁当は弁当であるということに気が付いた。確かにホカホカの方が美味しいが、だからといって冷えた弁当にふさぎ込むほど落胆するわけではない。ましてや、ホカホカでも冷えていても帰りの電車で昼の弁当のことを考えることなど皆無に等しい。そう考えると、弁当の温度などどうでもよくなってきた。


私はいつも冷たい弁当を食べながら、iPadで雑誌読み放題サービスを閲覧する。本当は所持している紙の新書や文庫本を読みたいが、上司や同僚に「何の本を読んでいるの?」と聞かれるのがたまらなく嫌なので、職場では本が読めないでいる。本が好きな人なら良いのだが、その場の話題程度に聞かれるのがとても苦手だ。そして、そういう人はたいてい「読書するなんて偉いね」と締めくくってくるはずなので、その適当な締めくくり方に遭遇したくないという想いもあって、紙の本は出さない。

iPadを使用していると、他の人がスマホを見ながら弁当を食べている姿に似せることができる。「スマホで何を見ているの?」と多くの場合聞かれないのと同じように、「iPadで何を見ているの?」とは聞かれない。今やデジタル機器の使用には誰も興味を示さない。一方、紙の本というアナログなアイテムはデジタル社会においてあまりにも目立ちすぎてしまう。それが嫌なので、私はiPadを使用してカメレオンのようにデジタル社会に溶け込む。

雑誌読み放題サービスではその日の気分で色々と見る。ビジネス系の雑誌で経済や地政学、政治について勉強する日もあれば、関西ウォーカーや旅の雑誌、クルマやバイクの雑誌を見る日もある。意識していることは少ない休憩時間でも情報収集に努めるという姿勢だ。


昼休みが残り15分になると私はiPadを閉じて、引き出しから枕を取りだして、仮眠をとる。この昼の食後に仮眠をとる習慣は高校生の頃からずっと続けている。この仮眠で午後からのパフォーマンスや集中力が大きく変わる。

よく、職場や学校で「食後って眠くなる」という旨の発言をする人がいるが、それが分かっているなら仮眠をとればいいのにと思う。ヒトの生物的なリズムでも午後に眠気が来ることは自然なことだとされている。なので、眠ればいい。

ただし、仕事中や授業中に寝ることは許されないはずなので、昼休みの内に寝ておくのである。昼休みを適当にスマホを触って過ごして、いざ午後に仕事が始まったら、「眠い」とアピールするのはあまりにも格好が悪い。仮眠なり瞑想なり、昼休みにできることがあっただろうといつも思う。

15分が過ぎると午後の始業のチャイムが鳴る。この音を聞いていつも目覚める。素早く枕を片付けて、PCの電源をすぐに入れる。眠気はすっかりと払われて、集中力がみなぎっている。この状態を作りあげてこそ私の昼休みの過ごし方は成功だったと言える。

短くも長い45分の物語がここにはあるのだ。


#昼休みの過ごし方

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