只今、読書中。「ダリの告白できない告白」 サルバドル・ダリ (著) 5

※この記事は、私が今、読んでいる本を読んだところまで適当にまとめていきます。

スペインの画家、サルバドール・ダリによる1973年、69歳の時の自伝。
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あのパブロ・ピカソがダリの作品を気に入ったようだ、という噂を聞きつけたサルバドール・ダリは、スペインからパリへと向かう。友人の伝手を頼り、ピカソのアトリエへ。そしてついに目の前に現れたピカソ。そして彼が気に入ったという絵の別バージョンを彼にプレゼントするダリ……この抜け目のなさ。
ダリの絵を渡されたピカソの反応は……長い時間をかけてその絵を見ていた、とだけしか書かれていない。
しかし、それからピカソはダリを2階のアトリエに案内し、ダリのためだけに何と2時間! 次から次へと自分の作品を見せ続ける。その間、ピカソは無言。ダリも無言。そして最後に「相互理解と挑戦の視線を交わして我々は別れたのだ」と語る現在のダリ……この話は本当なのだろうか? この緊張感、ちょっと凄すぎるんだが。ピカソ、そしてダリ。神々の対話とはこういうものなのか。

ともあれピカソに認められた、と少なくとも本人は思ったダリはいよいよ自信をつけ、故郷のスペインに戻り作品制作に没頭する。パリから一人の画商が訪ねてくるが、結局一枚も買わず、「もう少し、勉強されよ」という手紙を後で送ってくる。バカな奴だぜ、大儲け出来たのに、と語る現在のダリ……大成功している現在地点から、わざわざこういうエピソードをほじくり返してネチネチ言うところが、やはりこの男だ。

1928年、美術研究所のかつての友人、ルイス・ブニュエルがパリで映画製作を準備してるという話を聞いたダリは、お前より俺の方がすごいシナリオを書けるぜ、来い! と、ブニュエルを自宅に呼びつける。そして二人での共同作業……ここでは私のシナリオ、とは言わずに、共同作業、と一応、ブニュエルの功績を素直に認めるダリの語り……その後、ブニュエルはパリに戻って、今日ではあまりにも有名な映画「アンダルシアの犬」を完成させる。映画はセンセーションを巻き起こし、ダリは再び、パリへ向かう。当時のシュールレアリストたちにも招き入れられ、美術研究所時代のもう一人の友人、ガルシア・ロルカがダリを賛美する詩を雑誌に載せる。こうして華々しくパリのアート界にデビューするサルバドール・ダリ。家のあちこちにうんこをして家族を困らせていたあの子供が遂にここまで来たのだ。

今回はここまで。

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