只今、読書中。「ダリの告白できない告白」 サルバドル・ダリ (著) 7

※この記事は、私が今、読んでいる本を読んだところまで適当にまとめていきます。

スペインの画家、サルバドール・ダリによる1973年、69歳の時の自伝。
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ガラとともにパリに向かったサルバドール・ダリ。
完成した映画「黄金時代」はブニュエルにより、ダリの意図を無視したひどいものになっていた……これはあくまでダリの主張。ともかくも映画は暴動騒ぎを引き起こし、ブニュエルはさっさとアメリカに渡ってしまう。

いよいよ金もなくなり、さらに仲間のシュルレアリストたちからも疎まれていくダリ……皆、ピカソばっかり褒めて俺を褒めなかった、と語る現在のダリだが、本当にそうかな? これにはガラの存在が関係してるのではないか? 事の成り行きも含めて普通に見れば、何とも感じの悪いカップルだ。

ともかく、ダリには頼るものがガラしかない。ガラはダリの作品をあちこちに売りさばき、何とか二人は急場をしのいでいく。

1934年2月、30歳を目前に控えたダリは、アンドレ・ブルトンの開くシュルレアリスト集会に呼びつけられる。
ダリは前日からの高熱のため、セーターを何枚も着込み、外套を羽織ってモコモコに着ぶくれし、体温計を口にくわえて登場する。
「どうして、お前はいつも騒ぎを起こすのだ? どういうつもりなんだ、ダリ!」と、ブルトン。それに対し、ダリは体温計を口にくわえたまま「…もごもごもごもご…」と返答する。一同、爆笑……と、書かれているが、でも、これくらいはやるかな、この男なら。
そしてここからこの本は現在のダリによる自分の「放尿排便放屁主義」が、当時の所詮、紙の上での計算された、小市民的な「シュールレアリズム」に対して、いかに圧倒的に勝っていたかの大演説が続いていく。

どうやら、この当時、ダリは出てきたばかりのファシズムに魅かれていたふしがある。現在のダリは、それは俺にとっては夢想の道具に過ぎなかった、と語ってはいるが、とにかくブルトンはこいつを仲間に入れておくのはまずい、と判断したのだろう、結局、ダリはシュルレアリストたちから追放される。

この頃、ダリはあの有名な精神科医のジークムント・フロイトに会っている。フロイトが死ぬ1年前のことだ。

常に幼年期のリビドー全開のダリはフロイトの本を読み、この人なら自分をわかってくれる! と喜び勇んで本人に会いに行くのだが、興奮して喋りすぎたのか、フロイト先生に「ふーん、君はよく喋るね。君は本当にスペイン人らしいよね」と、軽くいなされてしまう……ちがう!ちがう! 俺は普通のスペイン人なんかじゃない! 俺は特別なんだ、天才なんだ!
……しかし……しかし……現在のダリは語る。私との出会いは彼に「決定的な影響」を与えたに違いない! 見よ! その後の論文ではフロイトの論調が少し変わってきているではないか。もし、もっと早くに彼が私に出会っていれば、彼は自分の精神分析の理論をもっと先に進めることが出来たのだ!

1936年、スペイン内戦勃発。かつての友人、ガルシア・ロルカが銃殺される。ダリの地元の友人たちも多数、殺され、ダリはスペインを脱出する。

今回はここまで。

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