只今、読書中。「ダリの告白できない告白」 サルバドル・ダリ (著) 4

※この記事は、私が今、読んでいる本を読んだところまで適当にまとめていきます。

スペインの画家、サルバドール・ダリによる1973年、69歳の時の自伝。
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美術研究所の仲間たちと夜の酒場に繰り出すダリ。女にもてたい、という理由で今までの長髪を切り、マントを捨てて、洒落たスーツを着込むダリ。ここで我々がイメージするダリの姿に近くなる……で、実際にもてたかどうかは言わない現在のダリ。

その後、学生の抗議デモのとばっちりを受けて逮捕。1年間の刑務所暮らし。釈放後、仲間たちとの乱痴気騒ぎ、ロルカへの友情と嫉妬、作品制作と日々が続くが、次第に浮いた存在となり、美術研究所を追放される。一度、故郷に帰り、その後、九か月の兵役につくダリ……かなり、大変な日々だと思うが、これらの部分はダリにしては割と淡々と語っている。あくまでダリにしてはだが。成功した今となってはどうでもいいことなのかもしれない。

ここで話は中断して再び幼年期に戻り、ダリのダリによるダリのための性的世界へ……やはり、こっちなんだな、この人は。俄然、饒舌になるダリ先生。
下女たちの汗の臭いを嗅ごうと身を潜めて隠れたこと。少女たちの放尿を目撃したこと。生暖かい果物の汁。ベッドの中でわざと漏らすこと。空想上で少女をおもちゃにする。実在の近所の少女と戯れたこと。自分の性器をいじること。召使いの娘の放漫な胸。
この当時、多くの女性は腋毛を剃っていなかった。女性の腋の下についてもダリはうるさい。……現在のダリが語る。「そのときから、わたしは腋の下と汗の強烈な臭いとに対する鋭敏な感覚を持った。しかし、腋の下そのものと、その付属物である腋毛とは厳密に区別した。今日では、脱毛したか剃ったかして、うすく青みがかっている腋の下の方が好きだ」

ページをめくると「初恋の想い出」と小見出しがついているが、果たしてこれは恋愛なんだろうか? ダリにも恋人が出来た。しかし、ダリは自分は不能ではないかと悩んでいた。性病も恐れていた。ドSなダリは彼女に言う。「俺はお前を愛していない」「セックスはしない。キスとペッティングだけだ」「お前とつきあうのは5年間だけだ」
そして一線を越えないまま、ダリは彼女を言葉攻めで屈服させ、自分を崇拝させて、きっちり5年後に捨てる……まあ、これくらいのことはやるだろうな、この男なら、とも思ってしまう。

ここで時間が飛んで1927年になる。23歳のサルバドール・ダリはパリにやって来た。パリにはあの男が住んでいるのだ。パブロ・ピカソが。

今回はここまで。

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