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ほとんどのスマートフォンがAndroidであるように、5年後の自動運転車のほどんどは、私のソフトウェアで動き出す![世界一のハッカーが語る非常に興味深い自動運転のゆくえ][4]

一か月でホンダのアキュラを自動運転機能付きに改造してしまったのは、iPhoneやプレステのハッキングに世界で初めて成功したジョージ・ホッツ氏。[動画は、実際の自動運転テストの様子]
彼は、「世界の自動運転車のほとんどがComma.ai(彼が所有する企業)のソフトウェアによって動き出す」と豪語する。今回の記事では、そんな彼を紹介します。

[ブログ内での情報の取り扱いについて]

彼は何をどうやっている?

そもそも自動車メーカーでない一般人がどうやって自動運転開発を行っているのでしょうか。どのように、市販されている車を改造しているのでしょうか。

上の写真が開発した自動運転車両です。普通の車にいくつかセンサーが取り付けられているのがわかります。使用しているセンサーは、どこでも買えるカメラとLiDAR(レーザーレーダー)、それに加え制御用PCを搭載したものです。すべて、だれでも買おうと思えば買える機器ばかりなのです。ポイントとなるのは、OBDという車両通信インターフェース。自動車業界でないと聞き馴染みがないですが、車両の故障診断やソフトウェアの修理等に使用されるどの車でもついている云わば車両情報の窓口です。

ここを介して車両情報をハッキングしてしまえば、理論上どんな指示を出せば車がブレーキするのか、ハンドルを曲げることができるのか分かってしまいます。ホッツは、カメラとLiDARにより周辺状況を認識して、そのOBDを介して車両に直接指示値を流すことによって、自動運転を可能にしているんです。[OBDドングル:Panda

企業を超えるオープンイノベーション

さらに驚くべきことに、それらの情報はGitHub上ですべて開示されており、だれでもどこでも利用が可能な状態になっています。[GitHub

GitHubとは、ソフトウェア開発のプラットフォームであり、複数の開発者同士で開発コードのバージョン管理を行うことが可能

これがGitHub上のレポジトリ、いわゆる彼らが所有するフォルダ

オープンパイロットというフォルダがメインのアルゴリズムがあるところになります。

彼は、自身が作成したシステムをできるだけ多くの人に利用してもらい、データを蓄積しカメラの情報処理性能を上げることによって、企業による閉じられた開発よりも飛躍的に開発が進むのではないかと考えています。

世界一の開発コミュニティ

現在は、企業を立ち上げ自動開発用のインターフェースやSWの開発に取り組んでいます。まだ、数人の企業でありますが、Slack上で管理されている開発コミュニティは3500人を超えています。人数だけ見れば、おそらく自動車メーカーやグーグル傘下のWaymoよりも多くの開発者を抱えていることになります。(私も入っていますが、中々ディープな会話も)
参加の形もそれぞれ自由で、企業のように全員が毎日開発を行っているわけではないですが、彼が作り上げたコミュニティは企業を超えた最大規模の開発チームであるといえるかもしれません。

1,000$であなたの車を自動運転車に

「従来の自動運転開発プロセスは間違っている」と彼は述べています。一般的に、カメラによる障害物認識などは、ニューラルネットワークなどの人工知能技術を取り入れ開発を行っています。一方で、「判断」司る部分は、直面する場面を細分化してこの時はこう動く、この場合にはこう動く、といった網羅的なシステムで作るのが一般的です。ですが、ホッツは、その部分でさえ人工知能でカバーできると主張しています。

「人間は人間の運転を真似て運転するため運転中に障害物との距離、標識の意味をいちいち考えている訳ではない。自動運転車も同じように、人間を真似て運転を学んでいくべきだ。」[動画]

彼が掲げるアプローチはユニークうなものかもしれない。しかし、自身が開発している1,000ドル自動運転キットをアメリカで発売されているトップ20車種に対応させようと開発を加速しています。もし、20車種をカバーすれば、実質アメリカに存在する50%の車に自動運転機能を付けれるようになるからです。そう考えると、確かに彼の言う「世界の自動運転車のほとんどがComma.ai(彼が所有する企業)のソフトウェアによって動き出す」は、もしかすると実現可能な未来なのかもしれません。

自動運転の分野ではGoogle傘下のWaymoやテスラ、トヨタにインテル。様々なプレーヤーが存在しますが、彼も同じように世界から注目される存在になるでしょう。

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