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自動運転の未来と4つの最重要事項[2]

最近では、ニュースで聞かない日がないほど「自動運転」というワードは浸透して来ています。ただ、純粋に「本当にできるの?」「実際のところ進んでるの?」と思っている人は多いはず。この記事では、自動運転を考える上で最も重要な4つの要素を解説します。

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自動運転を現実化する上で、重要な要素は4つ。「社会的受容性(Social Acceptance)」「法規制(Regulation)」「ビジネスモデル(Business Model)」「技術的実現可能性(Technical Feasibility)」すべての関連ニュースや企業戦略は、この4つのカテゴリーに分けて考えられます。

1.社会的受容性 (Social Acceptance)

自動運転には一度は乗ってみたいですか?と聞かれたら、興味はあるから一度はっと思う人は多いのではないかと思います。日経のデータでも63.8%の人が乗りたいと答えています[1]

では、新宿−渋谷間を毎日自動運転タクシーで通勤通学してみたいですか?自動運転高速バスで、東京−名古屋間を寝ながら行き来したいですか?と聞かれると色々想像してしまう人は多いかと思います。安全性やもしもの事を考えると安全だと言われても安心して使えるかどうかは、難しいかも知れません。実際のところマニュアル運転も非常に危険です。20代、30代の交通事故での死亡確率は、自殺の次に高く、自殺する気のない人にとっては、最も自分を危険にさらす乗り物です。ですが、便利さの代わりにそのリスクを許容可能なリスク(Tolerable risk)として受け入れ運転している事になります。果たして無人運転が自分を殺すリスクを内包していても、同じようにそのリスクを受け入れる事ができるでしょうか。

自動運転タクシー、有人タクシー、同じ値段だったらどちらを取るか。自動運転が本当に浸透していく為には、社会的受容性はすごく重要な要素になりますね。

2.法規制 (Regulation)

まあ、端的に言うと道路交通法です。道路交通法第70条

「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。」

とあります。また、ジュネーブ条約第8条にも

第1項「単位として運行されている車両又は連結車両には、それぞれ運転者がいなければならない。」第5項「運転者は、常に、車両を適正に操縦し、又は動物を誘導することができなければならない。」第10項「車両の運転者は、常に車両の速度を制御していなければならず、また、適切かつ慎重な方法で運転しなければならない。」

などなど、運転手が操作をする前提に定められています。これをどう再定義するかは、一つのテーマになるでしょう。ちなみに、安倍首相は、2020年のオリンピックイヤーをターゲットに制度整備に乗り出しています。

「自動走行の成果を集約し、新たな技術を踏まえた制度改革を集中的に検討するため、IT総合戦略本部の下で官民が対話・協力する体制をつくる」

3.ビジネスモデル (Business Model)

完全自動運転が可能になれば、無人タクシー、無人バスといったサービスが生まれると期待されていますね。ですが、気になるのはもちろん値段。無人タクシーで初乗り運賃2000円だとしたらもちろんビジネスモデルは成立しません。

現在量産されている完全自動運転は存在しないので一概に車両コストを推測するのは難しいですが、企業が自動運転用に開発している車両の値段はざっくり1億円前後(開発規模に寄ります)です。1億です。100台そろえれば100億円です。最終的にビジネスが成立するかどうかは、無人運転車の方が安いのか、人を雇った方が安いのかの比較になりますが、1億円の車買うって運営するより、人や取った方が手っ取り早いですよね笑

もちろん、センサー類や車両制御コンピューターの値段は劇的に下がっており将来的には安価で高精度のセンサーが利用できると期待されています。また、量産に成功すれば、更にコストダウンを見込めます。

自動車は、ITビジネスとは違い、ハードウェアのコストとの戦いでもあります。ctrl+c ctrl+v だけではできない量産モデルですので、サービス化をする上で、ビジネスモデルの詳細な検討は、必要不可欠になります。

4.技術的実現可能性 (Technical Feasibility)

最後に、技術!これは、もしかしたら一番分かりやすいのかなーとも思います。単純に、技術的な課題がクリアできなければ、SFの世界で終わってしまう訳ですからね。つい最近あった、Uberの死亡事故。実現間近というニュースは多いですが、ソフトウェア、ハードウェア、安全性、セキュリティ、それぞれに課題はまだまだ多く存在します。

半導体から通信まで、様々な技術を集約させて初めて実現する自動運転。それぞれの分野でダイナミックな開発が行われていますが、技術課題との戦いはまだまだ続きそうです。

中核技術に関しては、以下の記事で網羅する予定です。乞うご期待笑

自動運転と中核技術 [全5編]
・センシング類 −カメラだけじゃ何もできない−
・半導体と冗長性
・高精度地図はいる?いらない?
・UX −ユーザーエクスペリエンス−
・人口知能と信頼性

まとめ

今回の記事では、自動運転を考える上で重要な4つの指標を紹介しました。すべての自動運転ニュースは、これらの指標で分類でき、何を議論していて何が難しいのか、見方を整理できるのではないかと思います。ぜひ、コメント待ってます!

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