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【GAFA】Amazonの強さと戦略

こんにちは。アクセスありがとうございます。

GAFAとBATHがどのように世界的な大企業に成長したかを紐解いていきます。そして今までに、Apple、華為技術(ファーウェイ)について紐解いていきました。今回は、日本の流通にも影響を与えたAmazonについて書いていきます。下にApple、華為技術の記事も載せときますのでご覧ください。

Amazonの事業の実態

Amazonは、創設当初オンライン書店として開業しました。そして、家電やアパレル、生鮮食品など取扱商品を増やし、電子書籍Kindle、動画配信などのデジタルコンテンツも手がけ「Everything store(なんでも揃っているお店)」から現在では金融サービス、物流、クラウド事業などへと事業拡大をして「Everything company(全てのモノ・サービスを提供する会社)」へと成長していったのです。

アマゾン・ウェブ・サービス(AWS:Amazon Web Service )

現在の売上高の1割以上を占めるクラウドサービスです。AWSは、Amazonが自社のために構築したITインフラをベースとしたものです。そして2006年に他の企業が幅広く使えるように公開したものがAWSです。AWSを使うメリットとして、サーバーを用意しなくてもよい、メンテナンスの不要、セキュリティ対策も不要、そして使用したいサービスだけを必要な期間だけ使うことができるという点です。

AWSの強さは、コンピューティングやストレージ、ネットワーキング、データベースといった部分だけでなく、データの分析、IoT(Internet of Things)、AIなど企業が必要とする様々なITリソースの提供です。

AWSは本当に凄いサービスだということ示すため、どんな企業がAWS採用しているのかを示します。三菱UFJ銀行、ANA、DeNAといった日本の大企業もが採用しているのです。

Amazonの流通

Amazonは既存の配達事業者を利用するだけでなく、一部を自社で担っています。こういった流通が、生鮮食品を即時配達する「アマゾンフレッシュ」や最短で1時間で配達する「プライムナウ」といったサービスの展開を可能にしている。顧客が在宅していないと配達商品がスムーズに受け取ってもらえないという課題があります。こういった、「ラストワンマイル」問題を解決することをAmazonは考えています。解決策として、「アマゾンロッカー」やドローンを使った商品の配達の技術開発を進めています。Amazonはよりスピーディな配達を実現するために最新のテクノロジーを駆使したサービスを常に展開しようとしています

無人レジコンビニ「Amazon  Go」

Amazon Goに関しては、他の記事で何回か述べているので省略します。顧客に新しい体験を提供するだけでなく、リアル店舗で顧客の購買行動に関するデータを取り入れることができます。

 Amazonアレクサ

アレクサは音声認識AIアシスタントです。アレクサは、自動車やセキュリティ製品への搭載も進んでいます。アレクサは、商品・サービス・コンテンツを提供し、自社で一貫して全てを完結させており、他の音声認識AIアシスタントよりも、アレクサは顧客の経験価値が最も優れています。

経営者の強さ

創業者のジェフ・ベゾスは、イノベーションへの情熱がものすごくあります。多くの企業は、「イノベーションのジレンマ」を考えイノベーションに躊躇してしまいます。

ジェフ・ベゾスは、Kindle(電子書籍)を開発する時に、幹部に「君の仕事は、今までしてきた事業をぶちのめすことだ。物理的な本を売る人間、全員から職を奪うくらいのつもりで取り組んでほしい」と述べたそうです。つまり、ジェフ・ベゾスは破壊的イノベーションを躊躇なく起こすことを考えています。

アマゾン・エフェクト」と言う言葉を聞いたことはありませんか?Amazonは事業を急拡大する中で、様々な企業に大影響を与えてきました。トイザらスやスポーツオーソリティの経営破綻、百貨店のメーシーズやJCペニーの大規模な店舗閉鎖、ショッピングセンターの空室率の増加これら全てが、アマゾン・エフェクトが要因になっています。多くの企業は、Amazonが事業拡大し成長すればするほど、業績が悪化するとも見込まれています。これがAmazonの破壊的イノベーションの力です。

イノベーションのジレンマとは、破壊的イノベーションを起こし成長した企業が、さらに破壊的イノベーションを起こした時、既存のビジネスとの間にかにバリゼーション(新しいサービスと旧型サービスの間に食い合い)が生じます。そのため、破壊的イノベーションが回避されるようになり、段階的なイノベーションに止まざるを得なくなる事。

Amazonの大戦略

Amazonは何を大切にして事業拡大しているのでしょうか。最初に答えを言うと、Amazonは、「地球上で最も顧客第一主義の会社」というミッションを掲げています。「顧客第一主義」は、Amazonを理解するのに最重要なワードです。Amazonにとって、「顧客」とは、消費者だけでなく、販売者、デベロッパー、企業、組織、コンテンツクリエイターの5つが顧客であるとアニュアルレポートに書かれています。

「消費者」は、B to CサービスいわるゆECサービスにおける顧客です。それ以外の4つは、B to Bサービスの顧客です。販売者とはAmazonに出店しているショップ、デベロッパーはAWSビジネス、コンテンツクリエイターは、Amazon prime・ビデオなどの動画配信に参加しているクリエイターを顧客としています。

顧客第一主義を掲げているAmazonはCX(顧客体験価値)を向上させるテクノロジーの進化をビジネスの好機と捉え、研究開発しビジネスにつなげていっています。例えば音声認識AIサービスの「アマゾン・アレクサ」はただ話しかけるだけで、家電操作をしたりAmazonに繋げて、買い物をしたりすることが可能になっているのです。

Amazonは、ECから事業を開始し今では、「Amazon  Go」やホールフーズ(アメリカの高級スーパーを買収した店)のようなリアル店舗を展開しており、「リアルワールド×サイバーワールド」を実現しています。今では、EC、実店舗、AWSなど様々な分野に手をつけており小売企業、物流企業、テクノロジー企業と先ほども述べた「Everything company」へと変貌を遂げていったのです。そして今後、宇宙産業にも展開させる予定があり今後も目の離せない企業となっているのです。

Amazonは、ECなどの小売業の営業利益率はたったの2〜3%です。今はなきZOZOタウンのECの営業利益率は30%超えています。他の日本上場EC企業の利益率は、大体が10%以上となっています。これは、AmazonのECは極めて利益率が低いことが伺えます。しかし、AWS事業は2017年度には営業利益率が24.8%と急成長しており非常に効率よく稼げるサービスとなっています。このようにAmazonは、稼ぎを事業拡大や低価格戦略に回して将来の企業価値を極大化することを目指しています。Amazonは「利益よりも成長を追う」戦略によって投資家からも評価されることとなったのです。

Amazonの進化を読み解く3つのカギ

①「顧客第一主義」

「セクション(品揃え)」を増やすことで、顧客の選択肢が増え「CX(顧客経験価値)」が高まり、「トラフィック(Amazonのサイトに人が集まる)」が増え、「セラー(販売者)」がAmazonのサイトで売りたいと考えて集まってくる。

「品揃えが増える」→「CXが高まる」→「トラフィックする」→「セラーが増加」→「品揃えがさらに増加」→「CXが高まる」…

しかし、このサイクルだけでは事業拡大は成り立たない。ここに、「ローコストストラクチャー(低コスト体質)」と「ロープライス(低価格)」が必要であり、「顧客は第一に低価格と品揃えを求める」というベゾスの考えが示されているのです。

「品揃えが増えるかつ低価格」→「CXが高まる」→「トラフィックする」→「セラーが増える」→「低コスト体質」→「品揃えがさらに増えるかつ低価格」→「CXが高まる」…

このサイクルが、ベゾスが目指したモノで、成功したAmazonの形なのです。

またAmazonの全社的な経営戦略として二つの軸を確立しています。全社的な戦略三つしかありません。

(1)「コストリーダーシップ戦略」(2)「差別化戦略」(3)「集中戦略」です。

そのうち、Amazonは、(1)「コストリーダーシップ戦略」(2)「差別化戦略」を両立させています。低コスト体質の構築によってコストリーダーシップ戦略をとっているのは明確です。そして、必要以上にマージンを取らず、低コスト体質によって得た利益を低価格という形で顧客に還元したり、プライム会員向けのテレビ番組などを提供したりする差別化を図っています(差別化戦略)。

②高度化する消費者ニーズへの徹底的な対応

ベゾスは、消費者には3つの重要なニーズ「低価格」「豊富な品揃え」「迅速な配達」があり、それは、未来永劫不変であると述べています。そして、人は、利益性が高まれば高まるほど、それまで感じていなかったはずの不便性を感じ取るようになるから3つのニーズが時代とともに先鋭化されていきます。

Amazonは、CX(顧客体験価値)を高めることを強いこだわりを持っていることは、「顧客第一主義」からも分かります。そして、CXを高めるためにベゾスは4点に整理できると考えています。

I.「人が人間として持っている本能や欲望に応えること」

Ⅱ.「テクノロジーの進化によって高度化する『問題』や『ストレス』を解決すること」

Ⅲ.「『察する』テクノロジー」
マーケティングにおいて年齢や性別、職業、学歴、所得などの属性により顧客を分類しターゲットを設定するのが一般的でしたが、今の時代では古くなっています。Amazonは、ユーザーが購入した商品や検索したモノなどのビッグデータをもとに心理・行動パターンをAIで分析し、リアルタイムでユーザーと1対1のマーケティングを行っているのです。今後、Amazonは顧客分析をさらに先鋭化させ「ほしいと思う前に必要な商品が届いている」というサービスまで到達するかもしれません。

Ⅳ.「顧客に『○○取引をしている』と感じさせないこと」
Amazonは、顧客に優れた利便性を提供するだけでなく、「取引していることすら感じさせない快適さ」を提供するサービスまで水準を進化させています。「Amazon  Go」は、ユーザーは店に入って欲しいものを手に取り、出ていくだけで「取引」「決済している」ことを感じさせないサービスになっています。

また、ECでも、ワンクリックだけで取引を終わらせたりと「取引」を感じさせません。

③「大胆なビジョン×高速PDCA」

Amazonは、大胆なビジョンから逆算して「今日何すべきなのか」を明確にし、高速のPDCA(Plan→Do→Check→Action)サイクルを回して効率を高めながらビジョンに向かって邁進していっているのです。そして、ベゾスは、大胆なビジョンを考える時、スケーラビリティ(拡張性)という言葉を大切にしています。

スケーラビリティとは、目先の利益は大きくても成長の余地が限られ、すぐ天井にぶつかってしまう事業はスケーラビリティがないといって、やる価値がないモノなのです。

またベゾスは、「Day 1(創業日)」「Day 2(大企業病)」という言葉をよく使います。ベゾスが考えるに、「今日がAmazonにとって創業日だ」と言い続け、「Day 2」からAmazonを守るために「顧客志向」「手続き化の抵抗」「最新トレンドの迅速な対応」「高速の意思決定システム」を常に考え、常に創業当初のように破壊的イノベーションを継続し続けることで、今のAmazon・未来のAmazonが形成されていくのです。

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