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和歌短歌を味わおう❗️

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大人の国語の教科書です。情報を得る読書もいいですが、心が疲れたときは「感じる文学」も有効です。
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2016年3月の記事一覧

【句作】花冷えの来て見て触れて抱きしめて masajyo

【句作】花冷えの来て見て触れて抱きしめて masajyo

桜は咲いても寒さが戻ったこの時期のこのけだるさ、どうにかしてくださいませ。

【百人一首鑑賞】逢ひ見てののちの心にくらぶれば昔はものを思はざりけり  権中納言敦忠

【百人一首鑑賞】逢ひ見てののちの心にくらぶれば昔はものを思はざりけり  権中納言敦忠

■逢ひ見てののちの心にくらぶれば 昔はものを思はざりけり 権中納言敦忠

(詠んで味わう)あいみての のちのこころに くらぶれば むかしはものを おもわざりけり

百人一首43番目の歌逢ひ見る。相見る。お互いに見つめ合っている情景を私は思い浮かべました。もうそこからして、恋愛の歌で決まりでしょう!なんとなく現代人の私たちでもそのまま詠んで意味がくみ取れそうな和歌ですね。

■現代語訳

恋しい人

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【句作】春愁は言問橋の先に見ゆ masajyo

【句作】春愁は言問橋の先に見ゆ masajyo

春の愁い。どこに置いていこうか。誰にも気づかれないように。そう、君にも気づかれないように。

【句作】打つ田より風が生まれし山の間 masajyo

【句作】打つ田より風が生まれし山の間 masajyo

一歩ずつ前に進み耕していく。時間はかかる、でも前に進んでいる実感は感じる。この上ない達成感を感じる。人生と同じだ。今できることを少しずつ行い前に進んでいく。耕す間に見上げる空が広い。春の柔らかな風が、頬を撫でた。

【句作】春ショール抱きしめるもの失ふて masajyo

【句作】春ショール抱きしめるもの失ふて masajyo

女性の性。受け入れること。すべてを抱きしめることができるのは女性。そんな性を持て余している彼女。誰にも負けない母性を持ちながら。

【句作】逢うてなほまた逢ひたがる春の泥 masajyo

【句作】逢うてなほまた逢ひたがる春の泥 masajyo

季節は春。「会いたい人」と「逢いたい人」は似ているようで少し、違う。

【句作】言い訳はせぬ 紅梅を胸に抱き masajyo

【句作】言い訳はせぬ 紅梅を胸に抱き masajyo

輝くような梅の花の「紅」。ただ、まっすぐに潔く目に映る。梅の花は、きっと言い訳はしない。自分が決めた道にただ、小さな花をたくさん咲かす努力をし生きていく。

【句作】なすがまま 子を見送りて 氷消ゆ masajyo

【句作】なすがまま 子を見送りて 氷消ゆ masajyo

久しぶりに句作もしたいと思います。これまで、鑑賞文末に作っていたものを一部添削してこちらに掲載させていただきます。どうぞ、十七音の世界を味わいくださいませ。

今回から、よりイメージが湧き立てばいいな、と一句ずつアップさせていただきました!

【百人一首鑑賞】瀬をはやみ岩にせかるる滝川のわれても末に逢はむとぞ思ふ 崇徳院

【百人一首鑑賞】瀬をはやみ岩にせかるる滝川のわれても末に逢はむとぞ思ふ 崇徳院

■瀬をはやみ岩にせかるる滝川のわれても末に逢はむとぞ思ふ 崇徳院

(詠んで味わう)せをはやみ いわにせかるるたきがわの われてもすえに あわんとぞおもう

百人一首77番目の歌完全に暗記していない私でも、なんとなく記憶に残っている歌です。確か川の流れを人に例えているそう、擬人法だったように思うのですが…。なんとなく激しい恋の歌の様に思います。とにかく、百人一首は恋の歌の多いこと!というよりは、恋

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【短歌鑑賞】白鳥はかなしからずや空の青海のあをにも染まずただよふ 牧水

【短歌鑑賞】白鳥はかなしからずや空の青海のあをにも染まずただよふ 牧水

近代短歌の鑑賞記事も増やしたい!と、最近思っているmasajyoです。今のところ俳句鑑賞の記事が多く、百人一首や和歌なども日本古来の味わい深い文学作品で取り上げたいものたくさん!ですが、正岡子規大先生以降の近代短歌もたくさん取り上げたいと思います。現代短歌よりも情景描写が優れていると個人的には思っていますから、是非味わっていただきたいと思います。

教科書の短歌で覚えている短歌白鳥はかなしからずや

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【俳句鑑賞】生きかはり死にかはりして打つ田かな 鬼城

【俳句鑑賞】生きかはり死にかはりして打つ田かな 鬼城

季語は「打つ田」。田んぼの土を掘り起こして柔らかくし、田植えに備える準備のことで春の季語を指す。かつては重労働だった。

作者、村上鬼城(むらかみきじょう)。江戸時代が終わるころから昭和の初め頃までに生きた俳人。江戸に生を受けたが人生の大半を群馬県高崎市で過ごした。法律を学び司法代書人で生計をたてていたが、絶えず経済的に困窮していたという。

また、鬼城は耳が不自由だったことも書き添えておく。不遇

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【和歌鑑賞】難波津に  咲くやこの花  冬ごもり  今を春べと  咲くやこの花 王仁

【和歌鑑賞】難波津に 咲くやこの花 冬ごもり 今を春べと 咲くやこの花 王仁

■難波津に 咲くやこの花 冬ごもり 今を春べと 咲くやこの花 王仁

(詠んで味わう)なにわづに さくやこのはな ふゆごもり いまをはるべと さくやこのはな わに

競技かるたにおいて、一番最初に読まれる和歌だとのこと。百人一首に入っている和歌ではありませんが、詠まれるように決まっているらしいです。でも、それもわかるような気がします。明快で分かりやすい言葉や情景、さらに声に出すと収まりのい

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【百人一首鑑賞】千早ぶる神代もきかず龍田川 からくれなゐに水くくるとは 業平

【百人一首鑑賞】千早ぶる神代もきかず龍田川 からくれなゐに水くくるとは 業平

季節が全く違うのですが、映画の公開も近いですし。そして、「ちはやぶる」という枕詞の魔法にかかっている私の個人的なこだわりもあって、今日はこの和歌をみなさんと味わってみたいと思います。

作者。平安のプレイボーイ、在原業平古典の時間に習った「伊勢物語」の主人公とされている人ですね。父方母方ともに家系をさかのぼれば天皇にいきつくという、高貴なお家の出のお方です。伊勢物語では、好いた女性を都から連れ出し

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【俳句鑑賞】しののめの薄氷は踏み砕くもの 雅人

【俳句鑑賞】しののめの薄氷は踏み砕くもの 雅人

しののめ=東雲。夜明け、明け方のこと。薄氷は俳句の季語では「うすらい」と呼ぶ。これをスムーズに読める人は俳人の疑い大いにあり。言葉の通り、早春の季語である。

夜明けの光を受け、自分の歩く道の先に小さな水たまりが。見れば、その一部は凍っている。暦の上では春だが、ここそこにまだ冬の名残が感じられる。ことに早朝はまだ「冬」と言ってもいいほどだ。そんな中、行き先にある水たまりの氷を踏んで砕いた。

踏む

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