廣内 眞文(Masafumi Hirouchi)

1996年生まれの編集者/コピーライターです。

廣内 眞文(Masafumi Hirouchi)

1996年生まれの編集者/コピーライターです。

マガジン

  • ビスケットの缶。

    「その人を知りたければ、その人がつきあっている親しい友人が誰なのかを知れば、ひとつやふたつは、その人の本性を垣間見れるだろう。」(『ナジャ』アンドレ・ブルトン) 酸いも甘いも、一緒くたになった思い出深いヒト・モノ・コトを、自由に気楽に書き連ねます。

  • 映画の"瞬間"

    チケット片手に所定のシートを探す瞬間。じれったい予告を眺めつつ、スクリーンに溶け込める喜びを感じる瞬間。そして、クライマックスを迎えた高揚感とともに真っ暗なシアタールームを飛び出す瞬間……。そのどれもが、大切な映画の"瞬間"なんだ。

  • 歩きながら考えたこと

    僕にとって歩くことは、何ものにも代え難い喜びの一つだ。噛みしめるように、一歩ずつ。たとえ時間がかかろうとも、行為そのものを楽しみながら、今日も、明日も。そして、明後日も。

最近の記事

増えるばかりの本の行方|2024,Week36.

別にモノへの執着があるわけじゃないし、何かをコレクションすることもないのだけれど、それでも日々増えるモノがある。本だ。 基本的には電子書籍で本を買うことが多いから以前よりも増えるペースは減っているものの、僕は週末にブックオフなどの古本屋で1冊100円の文庫本なんかをまとめて買うことも多く、気がつくと部屋が本で埋まってしまう。もちろん、本は仕事にも必要なので増えるのは仕方がないと思うのだけれど、あいにく僕は今、2DKの部屋に2人で住んでいるのでそこまで場所に余裕があるわけでは

    • 人は人、僕は僕。|2024,Week35.

      僕は人に何かアドバイスをする、というようなことはあまりない。もちろん、人から「これこれが聞きたい」とか要望があれば応えるけれど、もともと「人は人、僕は僕」という心持ちでいるから、できることならなるべく余計な口出しをしたくないと思っています。 というのは、僕がアドバイスできるのはあくまで「僕にとって最適なやり方・考え方」であって、それが相手にとっても同じように使えるとはならないからだ。僕はこれまで28年間、僕なりの経験や学習を積んで、今に至っている。たとえ同じような仕事をして

      • 使いみちのない風景や音楽とのセレンディピティ|2024,Week34.

        これといった趣味がないことは以前noteで書いたけど、唯一何か趣味らしきものをひねり出せるとしたら僕は「散歩」と答えます。この時期は暑くてあまり散歩に行けていないけれど(それでも会社への往復は歩いている)、東京の町並みを見ながらとか、鎌倉のほうの山道を歩いたりとか、割とアクティブにいろんな場所を歩き回っている。時間も場所も決めず、ただひたすらに2本の脚で、歩き回っています。 散歩中は何をしているのか。これとったものを決めていはいないが、大体は考え事をしたり、好きなポッドキャ

        • 勝手に生きろ!|2024,Week33.

          というタイトルの小説がある。著者はチャールズ・ブコウスキー。正直、この人の本は今までに読んだことも名前を聞いたことも無かった。けれど、電車を待つ間にふらりと立ち寄った駅ナカの本屋でこの本を見つけ、手にとって購入してしまった。あまりにも挑戦的なタイトルだったので。 「勝手に生きろ!」この言葉はブコウスキーが僕らに投げかけているのか、それとも自分自身への呼びかけなのかは、よくわからない。けれど、実際にこの本を読んでみると主人公・H・チナスキーのあまりにも自分勝手に職を、人を変え

        増えるばかりの本の行方|2024,Week36.

        マガジン

        • ビスケットの缶。
          13本
        • 映画の"瞬間"
          32本
        • 歩きながら考えたこと
          8本

        記事

          現実主義者の平和論。|2024,Week32.

          何か問題があるたびに、その対象の大小問わず、道義主義的な発言が繰り返されているように思う。「対話が大事」「争いは何も生まない」「相手を理解する心が大事」。もちろん、これら一つひとつが大切なことは言うまでもないし、誰しもが心がけるべきであることに疑いの余地はない。僕も小さい頃から、相手のことを尊重しなさいと教えられ、育てられてきた。特に、僕はキリスト教の家庭に育ったからその手の教育というか、倫理的なものに接する機会はまあまあ多かったとさえ思う。「もし、誰かがあなたの右の頬を打つ

          現実主義者の平和論。|2024,Week32.

          猫との別れについて|2024,Week31.

          水曜日に実家で飼っていた猫が亡くなったので、この週末は家族で小さなお葬式をした。2011年の、しかもあの東日本大震災の1週間くらい前にやってきた猫だった。名前は「竜馬」という。ちょうど彼がうちにやってきた頃、大河ドラマで福山雅治主演の『龍馬伝』が放送していて、それにあやかって僕が名付けた。毛並みがとてもきれいで、名前のような野性味はどこにもない。だから竜馬と名付けた後も父は、「どちらかと言えば晋作だろう」と言っていたけど。 年齢はこの8月で16歳になる猫だった。人間でいえば

          猫との別れについて|2024,Week31.

          あらゆるものは通り過ぎる。|2024,Week30.

          何をやってもうまくいかないとか、思っていることがぜんぶ裏目に出るとか。そういうことってありますよね。僕の場合、ぜんぶがダメってことはなかなか無いけど、思惑がちょっとズレるとかは割と良くあります。 例えば、僕は仕事でキャッチコピーを書くことが多いんだけど、自分が100%「いい!」と思ったものはあまり評価されない。それよりも80%くらいのところにある「悪く無いよね」というもののほうが人からのウケが良かったりする。あとは誰かと出かけるときも僕がチョイスする場所や物に限って当日休み

          あらゆるものは通り過ぎる。|2024,Week30.

          趣味って、何ですか?|2024,Week27.

          あなたは趣味というものを持っていますか? 人に聞いておいてなんだけど、僕にはこれが趣味だ!と言えるようなものはもってはいない。 こうしてエッセイのような、よく分からない文章を毎週公開しているけれどこれを「趣味」と言われると違うと思ってしまう。読書や映画鑑賞もそうだ。仕事や何か勉強するための情報収集が中心なので、ゆっくりと豊かな時間を過ごすもの….というより、お腹を空かせた子どもが食事を貪るような読み方・観方をしている。内容が思っていたのと違えばすぐに読み飛ばすし、別の本や映

          趣味って、何ですか?|2024,Week27.

          ダイナーみたいな夜カフェ+期限管理冷蔵庫|2024,Week26.

          こういうのがあれば世の中はもっと便利になるのにな、と思うもののなかなか実現化されないものがある。 たとえば、夜の23時とか遅い時間までやっているようなカフェ。夜、ちょっとそのあたりを散歩した後の休憩とか誰かと会話したいと思ったとき、意外と選択肢って無いですよね。居酒屋ってほど飲みたいわけでもレストランってほど食べたいわけでもない。かといってそこら辺のベンチで座って…というのも違う。いわゆるバーとかも敷居が高いっていうか畏まった感じがするし、カラオケなんてもってのほか。結局、

          ダイナーみたいな夜カフェ+期限管理冷蔵庫|2024,Week26.

          ストーリーテラーを絶対に信用するな?|2024,Week24.

          ここに一冊の本がある。詩人・寺山修司が書いた『さかさま英雄伝』という本で、コロンブスやらプラトンやら聖徳太子ら「偉人」のエピソードをまとめています。伝記集といったら伝わるだろうか。小さい頃、こういう偉人伝ってよく読みましたよね。その寺山修司版って感じです。 ただ、この本はほかの偉人伝とちょっと違う。いかにも輝かしい逸話をまとめた胸踊る伝記もの…ではなく、ちょっと人には言いにくい恥ずかしさや隠したくなる要素を抜き出し、寺山独自の視点から偉人たちを再検討するという、ちょっと変わ

          ストーリーテラーを絶対に信用するな?|2024,Week24.

          心身ともにタフであらねば…|2024,Week22.

          僕が今、勤めている会社は時折、BGMが流れている。 よくある90’s popsとか作業用BGMといったSpotifyのプレイリストだから、ふだん特に気にも留めずに「ああ、音楽が流れているな」という程度に聞き流しているんだけど、その中で「これは」と思わされる一曲があったから今日はそれを紹介したい。サム・クックの「A Change is Gonna Come」だ。 この曲は、言わずと知れたサム・クックの代表曲だ。1963年にサム・クックが白人専用のホテルにチェックインを断られ

          心身ともにタフであらねば…|2024,Week22.

          喉元過ぎれば緊張忘れる|2024,Week21.

          人前で何かをするのがかなり苦手だ。 だからできる限り、そのような状況を避けようとしているのだが、立場上、どうにもならないようなときがまあまあある。たとえば、自分がPMをしているときの打ち合わせのファシリテーションやコピーライティングの提案、そのほか大小問わず、誰かと何かを会話するとかとか。 普段、生きて仕事をしていれば絶対に避けることができないものというのは痛いほど分かるのだけれど、苦手なものは仕方がない。緊張するというか、バツが悪いというか、自分が誰か他の人に対して何か

          喉元過ぎれば緊張忘れる|2024,Week21.

          ヨソウガイ、バンザイ。|2024,Week20.

          本はよく読みますか? 実を言うと、そこまで僕は本を読みません。いや、正確に言えば読むほうなんだけど、パラパラと眺めていたり、仕事や調べ物に関連する部分だけを抜き出して読んだりという読み方で、「ちゃんと読んでる」とは言いにくいです。 それこそ、今週は結構忙しい毎日だったから、読んだ本も仕事に関連するものばかり。今、Notionの読書ログを引っ張ってみると…。 『最新約 コピーバイブル』 『言葉からの自由 コピーライターの思考と視点』 『ここらで広告コピーの本当の話をします。

          ヨソウガイ、バンザイ。|2024,Week20.

          コミュニケーションというと、なんだか難しそうな感じがするけれど。|『ドライブ・マイ・カー』(2021)

          つい最近、あることがきっかけで『ビジュアル・シンカーの脳 「絵」で考える人々の世界』という本を読んだ。写真のように精緻な記憶、細部まで正確に再現するシミュレーション、視覚イメージを駆使した推測。そのような視覚思考者の脳がどのように働くのか、言語思考者とどのように違うのかについて、結構ちゃんと書かれており、なかなかに興味深い一冊でした。というのも、実は僕はこの「視覚思考者」の側に属すると思っていて、物事を考えるときには「絵」や「図形」、「パターン」を使います。例えば、小説を読む

          コミュニケーションというと、なんだか難しそうな感じがするけれど。|『ドライブ・マイ・カー』(2021)

          命の旨味を思う。|『僕は猟師になった』(2020)

          最近、伊丹十三の『ヨーロッパ退屈日記』という本に書いてあった「スパゲティ・アル・ブーロ」という食べ方にハマっている。 名前だけ聞くと何だかすごそうな響きを持っているが、なんてことはない、ただのスパゲティのバター和えをそう呼んでいるだけ。でも、これがなかなか美味しい。本のなかでも書いてあるけれど、これにチーズをかけるとすごく満足した気持ちになれる。作り方も、茹で上がったパスタにバターを一欠片くわえて混ぜるだけだからすぐに作れるし、皆さんも興味があったら試してみると良いと思いま

          命の旨味を思う。|『僕は猟師になった』(2020)

          決定論的世界観を進むのは、意志?|『TENET(2020)』

          このあいだ、友人と街をぶらぶら散歩していたら、突然その人が空を見上げ、両手でカメラのフレームをつくるような仕草をし始めた。何をしているのだろうと思って聞いてみたら、「飛んでいる飛行機を100回フレームに収められたら願いが叶う」とのこと。へぇ、そんなおまじないがあるんだと思って「でも、100回なんてすぐに達成しちゃうんじゃないの」と言うと「ただ、一度でもヘリコプターを見てしまったらリセットになってしまう。それが意外と難しいの」だそうだ。確かに、たまに緊急搬送か何かでヘリを見るこ

          決定論的世界観を進むのは、意志?|『TENET(2020)』