マガジンのカバー画像

ビスケットの缶。

19
「その人を知りたければ、その人がつきあっている親しい友人が誰なのかを知れば、ひとつやふたつは、その人の本性を垣間見れるだろう。」(『ナジャ』アンドレ・ブルトン) 酸いも甘いも、…
運営しているクリエイター

記事一覧

写真は心を映す鏡だなんて、言われるけれど….。|2024,Week43

僕には苦手なことが結構あるんだけど、特に「写真を撮られること」ほど嫌なことはない。昔から写真に写っている自分の顔がどうしても好きになれなかった。なぜ写真を撮られるのが嫌かといえば、大体にして僕はカメラを向けられると顔がこわばってしまうからだ。にこやかに笑ってとか話している様子でとかって言われるけれど、カメラを向けられているということに緊張して不自然なハニカミしかできず、上がってきた写真を見てガッカリする…。そんなことが繰り返されるうちにもう写真はいいですってな感じで、最近は極

水を差すということの価値。|2024,Week42.

ついこの前、漫画家の曽山一寿のインタビュー記事を読んでとても面白かったので紹介したい。タイトルは「児童向けギャグ漫画の金字塔『でんぢゃらすじーさん』ではなぜ人が死にまくるのか」。 何が面白いのかといえば、まず曽山さんの素顔が面白い。あれ、こんな顔だったっけ?というもの。でんぢゃらすじーさんには時折、曽山さんに扮したキャラが登場するのだが、それは長髪でセンター分けのメガネのお兄さんみたいな感じで。だから、実際のインタビューの写真を見ると「ああ、曽山さんもちゃんとしている大人の

コーヒーと仕事。|2024,Week41.

先週末、東京ビッグサイトで開かれたSCAJ2024に参加してきました。このイベントは、「アジア最大のスペシャルティコーヒーイベント」と銘打たれている通り、コーヒー生産・地域の国々はもちろん、抽出器具を製造・販売するメーカーや問屋、焙煎のロースターやカフェといったコーヒー関係者が集まる、年に一度の展示会です。僕は毎年のように行ってるのだけど、今年は会社の人を誘って参加しました。 といっても、僕は一般の参加者側なので、ブースを周り試飲のコーヒーを飲んで気になるマシンの話を聞くと

続編ものの最高峰だと思った話。|2024,Week40

続編ものって、どう思いますか? 僕はあまり好きじゃありません。最初から2作目、3作目と予定されているのならともかく、大体は1作品目が人気になったから作ろうということで、初期には無かった要素とかスピンオフとか、いろんなものが乗っかかってきて、結局訳が分からない…ということが多いから。もちろん、きちんとシリーズものとして成立するものも多くあるから一概には言えないけれど、1作品目の人気にあやかった続編ものは、あまり好きじゃありません。 でも、この週末に『アメリカン・グラフィティ2

問題に向き直ることを教えてくれた『影との戦い ゲド戦記1』|2024,Week39.

この前 X(旧:Twitter)を眺めていて、【私のストレス解消法】と題した投稿が目に留まった。投稿主はサイト制作業界において一目置かれている存在で、普段からビジネス向けのツイートをしている人なんだけど、読んでいてうんうんと頷いてしまった。その投稿の一部分を引用したい。 要するに、早い話が「問題と向き合え」ってことなんだろうけど、僕もこの意見には全面的に同意です。僕もついこの間まで同じような課題を持っていた。休みというのに仕事のことが頭から離れず、あの問題はあのやり方で良か

重なる世界を、いかに拡げるか。|2024,Week38.

僕にはいろいろと苦手なものがあるけれど、中でも苦手なのが「雑談」です。 もちろん、僕は今年の夏で28歳を迎えた「大人」だし、会社でもいちおう管理職と呼ばれるポジションにいるわけで。どうしてもやれと言われれば手っ取り早い会話の種を見つけ、相槌を打ち、その場を乗り越えることくらいはできる。しかし、苦手なことには変わりがないから、無理した結果どっと疲れが出てグッタリしてしまう。たかだか雑談で…と思う人もいると思いますが、これが結構難しいものです。 ついこの間、友人とも、その話題

増えるばかりの本の行方|2024,Week36.

別にモノへの執着があるわけじゃないし、何かをコレクションすることもないのだけれど、それでも日々増えるモノがある。本だ。 基本的には電子書籍で本を買うことが多いから以前よりも増えるペースは減っているものの、僕は週末にブックオフなどの古本屋で1冊100円の文庫本なんかをまとめて買うことも多く、気がつくと部屋が本で埋まってしまう。もちろん、本は仕事にも必要なので増えるのは仕方がないと思うのだけれど、あいにく僕は今、2DKの部屋に2人で住んでいるのでそこまで場所に余裕があるわけでは

人は人、僕は僕。|2024,Week35.

僕は人に何かアドバイスをする、というようなことはあまりない。もちろん、人から「これこれが聞きたい」とか要望があれば応えるけれど、もともと「人は人、僕は僕」という心持ちでいるから、できることならなるべく余計な口出しをしたくないと思っています。 というのは、僕がアドバイスできるのはあくまで「僕にとって最適なやり方・考え方」であって、それが相手にとっても同じように使えるとはならないからだ。僕はこれまで28年間、僕なりの経験や学習を積んで、今に至っている。たとえ同じような仕事をして

使いみちのない風景や音楽とのセレンディピティ|2024,Week34.

これといった趣味がないことは以前noteで書いたけど、唯一何か趣味らしきものをひねり出せるとしたら僕は「散歩」と答えます。この時期は暑くてあまり散歩に行けていないけれど(それでも会社への往復は歩いている)、東京の町並みを見ながらとか、鎌倉のほうの山道を歩いたりとか、割とアクティブにいろんな場所を歩き回っている。時間も場所も決めず、ただひたすらに2本の脚で、歩き回っています。 散歩中は何をしているのか。これとったものを決めていはいないが、大体は考え事をしたり、好きなポッドキャ

勝手に生きろ!|2024,Week33.

というタイトルの小説がある。著者はチャールズ・ブコウスキー。正直、この人の本は今までに読んだことも名前を聞いたことも無かった。けれど、電車を待つ間にふらりと立ち寄った駅ナカの本屋でこの本を見つけ、手にとって購入してしまった。あまりにも挑戦的なタイトルだったので。 「勝手に生きろ!」この言葉はブコウスキーが僕らに投げかけているのか、それとも自分自身への呼びかけなのかは、よくわからない。けれど、実際にこの本を読んでみると主人公・H・チナスキーのあまりにも自分勝手に職を、人を変え

現実主義者の平和論。|2024,Week32.

何か問題があるたびに、その対象の大小問わず、道義主義的な発言が繰り返されているように思う。「対話が大事」「争いは何も生まない」「相手を理解する心が大事」。もちろん、これら一つひとつが大切なことは言うまでもないし、誰しもが心がけるべきであることに疑いの余地はない。僕も小さい頃から、相手のことを尊重しなさいと教えられ、育てられてきた。特に、僕はキリスト教の家庭に育ったからその手の教育というか、倫理的なものに接する機会はまあまあ多かったとさえ思う。「もし、誰かがあなたの右の頬を打つ

猫との別れについて|2024,Week31.

水曜日に実家で飼っていた猫が亡くなったので、この週末は家族で小さなお葬式をした。2011年の、しかもあの東日本大震災の1週間くらい前にやってきた猫だった。名前は「竜馬」という。ちょうど彼がうちにやってきた頃、大河ドラマで福山雅治主演の『龍馬伝』が放送していて、それにあやかって僕が名付けた。毛並みがとてもきれいで、名前のような野性味はどこにもない。だから竜馬と名付けた後も父は、「どちらかと言えば晋作だろう」と言っていたけど。 年齢はこの8月で16歳になる猫だった。人間でいえば

あらゆるものは通り過ぎる。|2024,Week30.

何をやってもうまくいかないとか、思っていることがぜんぶ裏目に出るとか。そういうことってありますよね。僕の場合、ぜんぶがダメってことはなかなか無いけど、思惑がちょっとズレるとかは割と良くあります。 例えば、僕は仕事でキャッチコピーを書くことが多いんだけど、自分が100%「いい!」と思ったものはあまり評価されない。それよりも80%くらいのところにある「悪く無いよね」というもののほうが人からのウケが良かったりする。あとは誰かと出かけるときも僕がチョイスする場所や物に限って当日休み

趣味って、何ですか?|2024,Week27.

あなたは趣味というものを持っていますか? 人に聞いておいてなんだけど、僕にはこれが趣味だ!と言えるようなものはもってはいない。 こうしてエッセイのような、よく分からない文章を毎週公開しているけれどこれを「趣味」と言われると違うと思ってしまう。読書や映画鑑賞もそうだ。仕事や何か勉強するための情報収集が中心なので、ゆっくりと豊かな時間を過ごすもの….というより、お腹を空かせた子どもが食事を貪るような読み方・観方をしている。内容が思っていたのと違えばすぐに読み飛ばすし、別の本や映