まさこの漆

京都の金継ぎ工房まさこの漆 http://urushi.ojaru.jp/

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最近の記事

手作りの道具〜棒〜2

動画を作る時間がとれないー!と道具の紹介noteを書いてますが、それすら1ヶ月近く空いてしまいました。なんでもサクサクと要領よくこなせないタイプです。すみません。 再度全体ラインナップです。左から、筆洗いの棒、割り箸のヘラ、竹木研(竹串)、木研、鯛牙、針木研2種。ボールペンはサイズの参考です。では、木研(きど)から 前編で針木研(はりきど)が出てきましたが、こちらは木研(きど)です。EXILEのHIROさんを呼ぶ感じの音階で「→きど↓」と呼んでます。これは割り箸を削ったモ

    • 手作りの道具〜棒〜

      7月8月が非常にしっちゃかめっちゃかで、もう9月の声が聞こえてきました。えらいこっちゃ。まだもう少し追い込まれておりまして、あまりにご無沙汰しすぎるのも問題なので、今日は手元にある自作の道具をじっくり解説してみます。 道具入れにあったいろんな棒です。ボールペンはサイズの参考に置きました。手に持って使うものだからそんなに極端なサイズのものはありませんね。大体が割り箸で、一本は使い切った蒔絵筆の軸、もう一本のは水牛のツノの櫛からの転用です。これは蒔絵筆の洗い方動画で少し触れまし

      • 蒔絵筆の洗い方

        今回は一度基本に立ち返って、筆の洗い方のおさらいです。ベテランさんにとっては何を今更な話ですが、でも時々「筆がカチカチなんですが、、、」という泣き言を聞くことがあります。「それは前回、洗い忘れちゃったんだねぇ」としか言いようがない。残念ながら、漆でカチカチになった筆とはそこでサヨナラになります。 (PCでご覧の方は左下のYoutubeロゴを押してください) 動画のように筆を洗ってください。筆洗いのヘラについては、わざわざ作っても良いですし、普段使っている普通のヘラを上手く使

        • 高台寺蒔絵〜完結編〜

          うるしを習いかけた方が見様見真似で楽しくできる技法ないかなぁと考えて思いついたのが高台寺でしたが、私が普段やらない技法だからか、めちゃ難しかったんだけど、みんな大丈夫だった?意匠が見た目より難易度高かったかな。こう言う時はできないことはできることで適当にカバーしちゃう応用さのトレーニングと思って楽しんでもらえたら大成功です。うまいこと言いました。 ポイントとしては、毎回同じことの繰り返しですが、やはり身体感覚に敏感でいることは大事です。筆で線を書いている時「私の身体はどこを

        手作りの道具〜棒〜2

          基本の蒔絵〜蒔きっぱなし〜

          ここのところ、難しいことにチャレンジする人の対応が多くて、基礎の基礎を忘れてたなと反省しています。やはり、最初は磨きより「蒔きっぱなし」。そして掃除の練習も兼ねての「針描き」。針描きの工程は来週になりますが、手癖やブレも含めてなんとも味のある作品ができやすい技法です。 (PCでご覧の方は左下のYOUTUBEロゴをクリックしてください) 動画内でも散々な感じになってますが、髪の毛はあまり細かく描かない方が良いです。髪の毛や鱗などはリズムで描いた方が早くて楽なのですが、やっぱり

          基本の蒔絵〜蒔きっぱなし〜

          基本の蒔絵〜置き目〜

          置目というのは器物に転写できる状態の図案のことを言います。「図案を器物に転写する」動作をいうときは「置目を押す」とか「置目をつける」と言います。人それぞれです。図案を器物に転写できる状態にする工程は「置目を描く」といいます。図案のことを「置目」と違和感なく言うようになったとき、置目は押すものか、つけるものか、心が自然に決めると思います。私は置目は押す派です。 今回の動画では道具や材料を作る工程がたくさん出てきます。ほぼほぼ道具作り動画です。普通に生活していたら道具は買うもの

          基本の蒔絵〜置き目〜

          基本の蒔絵〜小指をどうするか問題〜

          6月になりました。金継ぎがひとまず完成したので、少し要望があった蒔絵に取り掛かろうと思います。直接リクエストいただいた感じでは「神業見せてよ」的なのが多かったんですが、自撮りしながらの作業はみんなが思ってるより少し過酷なんやで、とだけ。できるところまで自炊で頑張ります。 (YOUTUBEロゴをクリックしてください。はめ込みは見づらいです) さて、今回は基本の基本の基本について少し触れました。わざわざ動画撮るほどのことかとも思ったんですけど、案外そういうことって、サービス提供

          基本の蒔絵〜小指をどうするか問題〜

          最近あった事〜2021年5月〜

          激動の5月。4月中旬から母が入院していて、短期かなと予測してたが思ったより悪くて長引くとのこと。そんなこんなで私が夕飯を作ることに。やらざるをえないのであれば楽しんだ方が良いと腹を括ったものの、「タスクは1分1秒さっさと終わらせ、余った時間で勉強すべし」という生活感覚がどうしても抜けず、1分1秒手早く作り、秒でかき込み、ちぎって投げるように片付けるスタイルになってしまい、結局のところ儲からん仕事扱いで終わってしまった。もったいないことをした。 ではなぜ食事が”儲からん仕事”

          最近あった事〜2021年5月〜

          割れた茶碗を金継ぎする〜線の掃除〜

          今回で金継ぎ編は最終回となります。最後の最後に究極の地味作業がやってきました。漆のお稽古ががどうしてもお稽古のスターダムに乗らないのって、ホップ!ステップ!ジャンプ!!で進められないからでしょうね。初回お稽古でジャンプが来て、2回目お稽古で長距離走、3回目で大ジャンプ、4回目あたりに座禅、、、みたいな。 最後の最後、腕が鳴ってきたあたりでなんとも言えんのが来ました。割り箸ペンや布団針をお箸に結えた道具などで、線の震えや要らないハネなどを削り落とします。この作業も味わい深いで

          割れた茶碗を金継ぎする〜線の掃除〜

          割れた茶碗を金継ぎする〜金粉を蒔く〜

          今回いよいよクライマックス!金粉を蒔きます。、、、が!そうあっさりと金粉は蒔けません。何事も詰めの段階にきてやっと折り返し地点。さすがにそこまでではないですが、それくらいの心構えが大事やぞ!という動画になってます。 第1のポイントは、「さあ金粉を蒔くぞ!」という直前にはやりすぎるぐらいに研ぎます。実際、研ぎすぎた時はまた塗り込んで、また研いで、研ぎすぎたら塗り込んでまた研いで、、、気が済むまで繰り返します。気が済む度合いは人それぞれなので、あなたのタイミングで前に進んでくだ

          割れた茶碗を金継ぎする〜金粉を蒔く〜

          割れた茶碗を金継ぎする〜塗り重ね〜

          筆で塗り重ねするという派手作業のはずが、淡々と回数を重ねるという地味作業落ちしてます。いや、派手も地味もないですね。最後の金粉蒔き以外全部地味です。今回は非常に淡々とした作業なので、作業の粒度を上げるとでも言いましょうか、動画では細かい機微についてブツブツとぼやいております。時々愚痴っぽくなるのは方言由来のクセです。京都人ですが、特に不穏な腹はありません。 今回、動画の中で大体語ってますので、テキストで補足することもあんまりないかなと思うのですが、多少の賛否がありそうなのは

          割れた茶碗を金継ぎする〜塗り重ね〜

          割れた茶碗を金継ぎする〜筆を使うよ!〜

          地味作業に次ぐ地味作業で飽きてきてますか?漆の仕事は塗り1:研ぎ9ですよ。3日研いで30分塗るみたいなペースです。お待たせしました。塗ります!塗りますよ!!!(塗る前にこってり研ぐけどね) この辺りから、少し深めの話が出てくるかもしれませんが、全部理解しなくて大丈夫です。分かりにくい部分は「ふーん、あっそう」ぐらいでいいです。スルーされると困るポイントについては「ここは大事!」とちゃんと呼びかけますので。 まずは、砥粉サビ研ぎの種類について。種類って何よ。砥粉サビつけを何

          割れた茶碗を金継ぎする〜筆を使うよ!〜

          割れた茶碗を金継ぎする〜地味な作業〜

          前回、動画が間に合わずテキストでのみ解説となりました。 今回、遅まきながら動画ができてきましたが、単調な作業です。ドラマなどで主人公が輪島塗の職人さんだったりすると「何回も塗り重ねて艶を出すんやー」みたいな表現がよくされるので、イメージ的に漆は何回も塗り重ねるんだなって理解されてますね。 下地の作業は地味すぎて「地の粉サビつけを2回やったら水研ぎやって木地固めしろよ。次は切り粉サビ2回やで、研ぐの忘れんなよ、それから木地固めだぞその次は砥粉サビな、研いだら木地固めしろよそ

          割れた茶碗を金継ぎする〜地味な作業〜

          割れた茶碗を金継ぎする〜欠けを埋める〜

          さてくっつけの大仕事が終わると、地味作業に次ぐ地味作業となります。茶色の日々。テキストを書くにも地味すぎて何を書いたら良いのか、中だるみってこれだよね。 今回、たくさんの欠片をくっつけた後の足りなかった部分を埋めるので、半月型の立体をまるっと造形します(図1)。欠けた器を直す方はこの工程からのスタートとなります。欠けた器を直す場合は釉薬+αが剥がれたような状態が多いだろうと思います(図2)。図が酷すぎてすみません。お絵かきは苦手です。 図1 図2 絵がひどいことはヒラ

          割れた茶碗を金継ぎする〜欠けを埋める〜

          割れた茶碗を金継ぎする〜研ぎと削りと〜

          前回の怒涛のくっ付け作業から、一転して今度は怒涛の地味作業です。 今回の見るべき点はカッターの使い方と水研ぎの時のサンドペーパーの取り扱いです。それ以外は工程だけさらっと確認してもらえれば十分かと思います。 今回のハイライトとなってる耐水ペーパーとサンドペーパーはそれぞれ#800と#240を使っています。私の好き好きペーパーです。耐水ペーパーはだいたい200刻み、カラ研ぎペーパーは80刻みで号数がふられています。専門家ではないので詳しくは解説できませんが、数字は決まった面

          割れた茶碗を金継ぎする〜研ぎと削りと〜

          割れた茶碗を金継ぎする〜くっつける〜

          やっとくっつける作業ができます。 何事も準備が大事。特に漆なんてあまり使い慣れない材料を使うときは、準備万端で仕事を始めるのがよいですね。では、ここまでしっかり準備を整えたので始めましょう。 ここまでの経緯を確認する方はこちら。 破片の処理編 https://note.com/masaco_urushi/n/na1e91f84dd3c マスキング編 https://note.com/masaco_urushi/n/n1328b6009440 ここから何をするかといえば、

          割れた茶碗を金継ぎする〜くっつける〜