小説)憧れに誘われて(1)
12歳の夏、人生で初めて、天才に出会った。その場から動けなくなるほどの衝撃と動揺、それ以上の興奮。そして、この日から私の人生は変化していった。
天才に出会う、十五時間前。
「明日こそスケボーの、体験会にいくって約束したじゃん!!」
夕食を囲むテーブルで、お母さんに嘆く12歳の私。
「そうなんだけど・・・お姉ちゃんにもなこちゃんの見学もきてほしいなって思って」
妹のなこと笑顔で目を合わせたあと、お母さんは眉毛を下げて私をみた。
「そんなの、私だって・・・。」
床に放られたスケ