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まるいの家族エッセイ

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まるいるいの、父親をはじめとした家族の話です。
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#両親

親から学ぶ‘‘結婚とは’’【家族エッセイ】

親から学ぶ‘‘結婚とは’’【家族エッセイ】

私の両親は結婚して30年が経っても毎日一緒に寝て、起きて、ご飯を食べて、晩酌をして、また一緒に寝る。時々旅行にも行く。

この先何があるかは分からないが、二人はどちらかが死ぬまでずっと一緒なのだろう。

以前、父の会社の業績が芳しくなかった時があった。
後から聞いた話だが、その頃は父も相当参っていたようで、ある日、会社を畳むことになるかもしれないと母に告げたそうだ。
すると母は
「そうなんだ。じゃ

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親の期待に応えられない【家族エッセイ】

親の期待に応えられない【家族エッセイ】

私は自分のことを大切に思うし、大好きだ。
それは両親が幼い頃から私という存在を認めてくれて、愛を注いで育ててくれたからだ。
私は自己肯定感が高い方だと思う。しかし、承認欲求も強いのだ。
その理由は私に成功体験がないからだ。親の期待に応えられた例がないからだ。

私は小学一年生の頃から中学三年生までバスケットボールをやっていた。それなのに金メダルやトロフィーを獲ったことは一度たりともない。

父は私

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母を泣かせた日【家族エッセイ】

母を泣かせた日【家族エッセイ】

人生で一度だけ、母を泣かせてしまったことがある。私が年長の頃だ。
兄と共に悪さをして叱られたのだが、叱られてる最中に私たちがケラケラ笑っていたら母が泣いてしまった。なぜ叱られたのかも、その前後のことも何も覚えていないのに、母を泣かせてしまったという事実だけは20年経っても覚えている。

小学校に上がるまで、母の口から「お父さんに電話するよ。」という台詞をよく聞いていた。父の帰りが遅い日は好き勝手が

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父の教え【家族エッセイ】

父の教え【家族エッセイ】

父は日本の食事マナーに厳しかった。
お箸の禁じ手、咀嚼音、立て膝や肘付きなど指摘されることは多かった。

だから大人になってから箸渡しをしてる人たちを目の当たりにした際は、罪人を見るような眼差しを向けてしまった。
しかし、自分の頭でよく考えてみると、どうして箸渡しや、寄せ箸、立て膝などがいけないのかはよく分からなかった。他人に聞かれたらどう答えよう。「箸渡しは亡くなった方の遺骨を拾う動作と同じで縁

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うちの両親は普通じゃない【家族エッセイ】

うちの両親は普通じゃない【家族エッセイ】

私は父親が好きだ。
それには、母親が大きく影響している。

母は父のことが大好きだ。
そして父も母のことが大好きだ。

毎晩二人で晩酌をするし、同じ部屋に布団を並べて寝ているし、気が付くとどちらか一方がどちらか一方に纏わり付いている。記念日には二人で旅行にも出掛けている。
私は夫婦というものを彼らしか知らないから、それが普通だと思っていた。

大人になってから両親の話を他所ですると、
「凄いね。う

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私は母親を知らない【家族エッセイ】

私は母親を知らない【家族エッセイ】

決して太っているわけではないのに丸みを感じさせる安心感のあるボディ。愛らしくて大きな瞳。強めの天然パーマ。煙草で嗄れた声。

私は母が愛おしくて堪らない。

父親が好きだという感情については理由を説明できる。
しかし母親が好きだという感情について説明できる理由はない。

何かを与えてくれるから、だとかそういう理屈抜きに存在の全てが愛おしいのが母なのである。

しかし、私にとって母は不可思議な存在で

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