私たちはすぐ道に迷うから。
だから、目の前に道しるべを作っておかなければならない。こっちだよ、って。方向を示してもらえないと、すぐに、これでよかったのかな、これで、合ってるのかな、ってぐずぐずしちゃう。
歩いてる道が分岐すると、立ち尽くす。どっちを行っても自分が選んだ道なら正しいのにね。
「そんなに安定してる会社辞めない方がいいよ」
ある人がいう。
「それってほんとにホント?」
ふと、後ろをふと振り返ると、通ってきた道が色鮮やかに見える。今の自分の色がグレーだ。時には忘れたくなるような道も、なかったことにしたくなる道もある。それも踏まえて色鮮やかなのかもしれない。
振り返ってもなにも意味はないとわかっていた。常に私たちは今と未来しかない。過去に戻ってもこうしとけばよかった、と悔やむことがあっても、きっとその時の自分に戻ったところで同じ選択肢かしないだろう。
だから今の私なのだ。
未来は霧がかかって見えない。こうなればいいな、とか、こうしたいな、って思っても必ずしもなれるとは限らない。でも見える足元を歩いていくしかない。疲れたとしても歩むことをやめることは出来ない。
今は雨が降っている。道は少しぬかるんでいるようだった。歩く度に靴が埋もれる。そして泥が付いた。泥をとる気力はない。そのままいこう。
傘は差さない。濡れたい気分だから。今は徹底的に雨に打たれたい気分だ。晴れになったらどうせ濡れたものは乾く。それまで濡れた感覚を楽しみたい。
いろんな自分がいるもんだ、と何歳になっても気づく。この気持ちは更新していく予感がする。だから生きてるって面白い。
周りの娯楽や、他人はいつだって刺激的だ。
でも、本当に刺激的なのは、面白いのは自分自身だ。自分自身の多様性だ。
新発見の連続でわくわくする。こんな自分がいるんだ、こんな考え方もできるんだってね。それが例え暗くなるような考えだとしても。
いいの。この経験も苦しい気持ちも全部肥やしになるから。
だってそうでしょ。今までも血肉となってきたじゃないか。
隣の芝生はいつだって青く見えるものだ。でも青くみえたっていいじゃない、と最近は思える。泥のついた靴で歩く私の姿だってユニークだ。唯一無二なのだ。そんな自分を腹を抱えて笑ってやろう。
いつか歩いてる道に晴れ間が差してきたら、濡れた服を脱ぎ棄てたい。サンサンと照り付ける太陽を日焼けも気にせず浴びたい。
進む道に過去と同じ道は全くない。
歩いている自分自身も、歩き方も違う。少しづつ変わってくるものだから。
なにが起きても、雷がなっても、道が崩れた時だって、
「逆に面白くない?」
って笑い飛ばしてやる。
だって、自分に飽きることは一番したくない。
道に迷って、迷って、愉快に更新していくコンテンツ。それが私。
自分というエンターテイメントにいつだって期待する視聴者でいたい。
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