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【岩石マニア】石垣島巨石めぐり vol.2|by 鈴木邦彦@石垣島|アマユナーの岩 & 荒川河口の巨石群

【石垣島巨石めぐり】をご覧いただきありがとうございます!ギャグ漫画家兼 クライマー兼 岩石マニア の鈴木邦彦と申します。

このコラムでは、石垣島の知られざる魅力【巨石スポット】をご紹介してまいります。毎回2ヶ所の巨石・巨岩の情報と、大まかな位置情報を記載します。

島の大地のアート、巨石・巨岩・奇岩の世界を一緒にのぞいてみませんか?

▼ vol.1はこちらからご覧ください!▼

(ちなみに岩と石の区別には明確な定義はないですが、一説では地面から生えているものを岩、地面に接している・あるいは浮いているものを石と呼ぶようです。この記事のタイトルは巨石めぐりですが、岩もめぐります。文中ではどちらも用います。)


石垣島といえば花崗岩!

今回は石垣島の花崗岩(かこうがん)をピックアップしてまいります。「石垣島を代表する岩石は花崗岩」と言っても過言ではありません!

まず、花崗岩とはマグマからできています。マグマがゆっくりと冷えて固まった、深成岩と呼ばれる岩の1種類です。

石垣島に花崗岩ができたのは約2900〜3000万年前と言われます。マグマが長い長い年月をかけてゆっくりと冷やされて、海底からもりもりと盛り上がってきて、花崗岩の塊となり、山を形作りました。

その山は沖縄県でもっとも高い山となりました。そう、みなさん大好き於茂登岳です。

みなさん大好き於茂登岳!

島の中心部に堂々とそびえ立つ、島のシンボルとも言える於茂登連山(桴海於茂登岳あたり〜前嵩あたり)は、山ごとまるまる花崗岩なのです。花崗岩は石垣島の中核をなす岩石と言えます。

そして花崗岩がある島は、沖縄諸島では石垣島が唯一かと思われます。花崗岩は石垣島の大地のスペシャルなプロパティです。
(南西諸島全体でみると、屋久島や徳之島にもけっこう花崗岩があるようです。)

石垣島・前嵩の花崗岩でボルダリングをする人

硬くドッシリとした岩質の花崗岩はボルダリングの対象としても大人気です。内地の人気ボルダリングスポットには花崗岩のエリアが多いです。

石垣島のロッククライマーの僕としては、島に花崗岩があって本当にハッピーです!:)

花崗岩の力で水がキレイ!

花崗岩は、化学的にとっても安定した岩石だそうです。そのため、水に含まれる不純物を吸着し、ろ過する働きが強いと言われます。
※参考記事:おいしい水を作り出す自然界の不思議──地層と岩石について注目してみよう!

特に、長い年月をかけて風化した花崗岩は科学的安定感がとても高まっているため、ろ過パワーが最高だと言います。

台風が来まくりの石垣島に2900万年もいたら、多分すごく風化しています。なので於茂登岳から流れ出る川は、ガッツリろ過されて驚くほど水がキレイです。

名蔵川や宮良川の上流域にいくと、まるでさっき水道の蛇口から流れ出たかのような、まっさらに透き通る水を目にすることができます。石垣島の水の美しさは沖縄諸島ではピカイチだと思います。

そんなこんなで前置きが長くなりましたが、さっそく花崗岩の巨石スポットを紹介してまいります。

アマユナーの岩

川平・中筋から大嵩あたりの山奥にごうごうと流れ落ちる、石垣島最大級と言われる「アマユナーの滝」。

そのアマユナーの滝のすぐ手前にそびえ立つ、一枚岩の巨岩です。アマユナーの滝の近くなので、「アマユナーの岩」と(私に勝手に)呼ばれています。

岩の前は開けていて、滝を目指す登山者の休憩所になっています。

高さは4〜5Mほど。すぐ目の前を急流の川が流れているのに、不思議と風化はあまり進んでおらず、岩肌はヤスリのように荒々しいです。

うっそうとしたジャングルにその雄々しい姿がとてもマッチしていて、見ているとなんだか元気をもらえる岩です。

フォトスポットとして子供たちにも大人気!
また、ボルダリングの対象としても最近利用されはじめました。

そして岩を見学したあとはぜひアマユナーの滝もご覧ください。

石垣島一と言われる雄大な落差、花崗岩のろ過作用による水の美しさ、どれをとっても一級品の名瀑です。

アマユナーとは雨乞いという意味だそうで、川平には昔この滝で神様に会い、雨乞いの唄「雨乞いユンタ」を教わったという伝承が伝わります。
※参照:八重山古謡による雨乞い思想-琉球大学学術リポジトリ

巨石だけじゃなく滝も神話も楽しめちゃう、石垣島でも指折りのホットスポットです!

位置情報↓

細かい場所は非常にわかりにくいので、私に聞いていただければ詳しくお教えします。ビールをもらえたらご案内もします。

■うんちく
石垣島に滝は「荒川の滝」しかありません、といったような記述をしているサイトがネット上に散見されますが、大きな誤りです。私は石垣島の多くの沢を遡行して、アマユナーの滝以外にも、島にたくさんの滝があるのをこの目で見ています。

荒川河口の巨石群

石垣島でもっともメジャーな滝、荒川の滝。
その滝をずっと下った先の、海に繋がるあたり一帯に花崗岩の巨石群があります。

特に「荒川」のバス停から真南の崖下の海岸には、目を疑うほどの大きな岩々が所狭しと並びます。なんとこの巨石地帯は東西500mほどという非常に広い範囲に及んでいますが、簡単に歩いて行けるような立地ではないため、ほとんど人に知られていないのではないでしょうか。

この一帯の花崗岩は荒波や風雨に磨かれて、丸みを帯び、すっきりとなめらかなシェイプに仕上がっています。
ひとつひとつが巨大な宝石のようです。

奥にそびえる琉球石灰岩の絶壁や、背後に広がる東シナ海の大海原とみごとにマッチして、それはもうみごとな景観です。
徳之島の景勝地「ムシロ瀬」西表島の「南見田浜」あたりと並び、南西諸島の岩石景観スポットとしては5本の指に数えられるのではないでしょうか!

とにかくぜひ、一度は訪れていただきたい場所です。

位置情報↓

歩いて向かう場合はド干潮時に「トミービーチ」や「クリスタルビーチ」からアプローチできます。が、けっこう大変です。すべりにくい靴や飲み物など、しっかりと準備をして向かってください。
サップなどを用いて海上から向かえるなら、米原ビーチからすぐたどり着けます。

まとめ

今回は花崗岩の素晴らしさを熱弁しつつ、「アマユナーの岩」と、「荒川河口の巨石群」についてご紹介させていただきました。
いかがでしたでしょうか。

かなりマニアックな内容かと自覚しておりますが‥
また次回も、島の巨石スポットをいろいろご紹介できればと思います。
拙文にお付き合いいただき、ありがとうございました。


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この記事を書いた人

鈴木邦彦
ギャグ漫画家/クライマー
日本最南のギャグ漫画家として活動。
また、ボルダリングジム&ガイド「TOP OUT」運営。
石垣島のボルダリングエリアの新規開拓や、山や滝へのトレッキングガイドも行う。

■連載中
八重山日報「アフロくん」
月刊やいま「まじむん日記」
月刊まーるマガジン「マーロくん」
フリーファン「くにくにのぐだぐだ」など。
4コマ漫画がメイン。

経歴
国民体育大会スポーツクライミング競技 出場多数。
野底マーペーを崖側から登頂。
野底ボルダー最難ルート「ティンガーラ」初登。
2023年 40歳にして沖縄県総体スポーツクライミング競技 男子総合準優勝。
スポーツクライミングにおいて日本代表選手を含む多くの選手の指導経験を持つ。
座右の銘は「下には下がいる」。

Instagram:@topout.guide


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