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【岩石マニア】石垣島巨石めぐり vol.1|by 鈴木邦彦@石垣島|見晴らし岩 & シャコガイ岩

はじめまして。ギャグ漫画家 兼 ロッククライマーの鈴木邦彦と申します。

このコラムでは、
石垣島の知られざる魅力【巨石スポット】をご紹介したいと思います。
毎回2ヶ所の巨石・巨岩の情報と、大まかな位置情報を記載します。

島の大地のアート、巨石・巨岩・奇岩の世界を一緒にのぞいてみませんか?

今回は第1回なので、岩の魅力や石垣島の岩の種類(岩質)についても簡単に語っています。

ちなみに…
岩と石の区別に明確な定義はないですが、一説では地面から生えているものを岩、地面に接している・あるいは浮いているものを石と呼ぶようです。
この記事のタイトルは「巨石めぐり」ですが、岩もめぐります。
文中ではどちらも用います。

巨石・巨岩の魅力

岩って硬くて 重くて 大きくて カッコイイんです。

古来より、日本人は岩を信仰する感覚を持っていたと言われます。
巨石、巨岩、岩盤を信仰の対象としているところは日本全国に数えきれないほどあります。

石垣島でも、御神崎(ウガンザキ)白石御嶽(シィサスオン)のように巨岩が御神体となっている場所は少なくありません。

また野底マーペー、平久保のアイナマ石、伊原間のティラ石など、巨岩が主役と言える伝承も数多くあります。

コンクリなんてひとつもなかった頃‥‥。

岩の持つ不変性やその冷然とした姿に、人々は魅せられ、畏怖の念を抱き、そして神聖視してきたのではないでしょうか。

​​​​平久保のアイナマ石

石垣島の「石事情」

石垣島は、沖縄諸島ではもっとも多くの種類の「岩質」に恵まれていると言われます。
その理由はこの島の成り立ちに深く関係します。

細かい話は省きますが、
①平久保半島のトムル層
②バンナ岳周辺〜フサキ方面のフサキ層
③野底や崎枝の野底層
④宮良や大浜の宮良層
⑤於茂登岳〜前嵩 一帯
⑥そしてそのまわりの琉球石灰岩(サンゴ隆起)の層

これらはそれぞれ別々に出来上がったと考えられているようです。めちゃくちゃ複雑です。
※参考 東北大地質古生物研邦報・八重山郡島 石垣島・西表島の地質


そのため、石垣島には花崗岩、凝灰岩、チャート、結晶片岩、琉球石灰岩などなど、多岐に及ぶタイプの岩があります。

岩質のオンパレードです。
ワンピースで言うとオールブルーです。

島嶼部としては異例だと思います。
そもそも石垣島という名称は「石が多い島」という意味からきているという説があるほどです。

つまり、石垣島の「石事情」はソシャゲに例えるなら UR(ウルトラレア)ランクなみに最高と言えます。書いているだけで興奮してきますね!

巨石めぐりはすっかり私のライフワークです。

島の知られざる巨石を探し、見て、触れて、岩質を学んで、敬い、登り、上に立つ。そんなことを延々と繰り返しています。​​

それではさっそく、巨石を紹介してまいります。

①野底林道の見晴らし岩

野底岳(マーペー)の林道沿いに突如現れる巨大な一枚岩です。

高さは4mほど。きれいな四角形をしていて、威圧的に道路を見下ろしています。

岩質は凝灰岩と思われます。
また、鉄やアルミを含んでいるようで赤みを帯びています。

この巨石の上はスッキリ真っ平に開けていて、10人くらいが座ってピクニックできちゃうくらいのスペースがあります。

上からの眺めは素晴らしく、野原岬の海岸線を一面に見渡すことができます。そのため「見晴らし岩」と(私に勝手に)呼ばれています。

ロッククライミング(ボルダリング)のスポットとしても非常に人気で、初級者から上級者までが楽しめるルートがあります。

何度か専門誌でも取り上げられており、
特に岩を真横に横断するルート「ティンガーラ」
岩のド真ん中をストレートで登るルート「カササギ」
石垣島ボルダリングを代表するラインとして知られます。

「カササギ」を登るようす。
地面にいる人はオーラを送っている…ワケではなく、万が一 落下してきた際にマットの上に着地できるよう、キャッチする構えを取っています。

なお、岩の左端から登ればロッククライミング経験が無い方でも岩の上に立つことは難しくありません。

ぜひ見晴らし岩の見晴らしを一度味わってみてください!

※岩の上からの転落事故にはじゅうぶんにお気をつけください。

※うんちく
ボルダリングやスポーツクライミングでは、岩のルートの初登者がルートに名前を付けられることになっています。
赤黒い岩を横断するラインを天の川になぞらえ、またマーペーの伝説を七夕伝説になぞらえて、ティンガーラ(天の川)とカササギは名付けられました。

位置情報↓


②シャコガイ岩

明石海岸の奥、エコロード沿いの静かなビーチに横たわる巨石です。

高さは1.5m程度、横幅は4mほど。

平べったいボディに、横に細長く走ったクラック(岩の割れ目)。
パッと見で誰もが「シャコガイ」を思い浮かべるような形状をした岩です。

シャコガイの貝殻がその辺に転がる美しい浜辺に、シャコガイそっくりの奇岩があるという奇跡!
観光名所になってもいいくらいのスポットではないでしょうか。

岩質は平久保半島の東海岸に広く分布する結晶片岩と思われます。

黒々と光沢を放つ質感で、夏の暑い日には「目玉焼きを焼けるんじゃねーか!?」ってくらいの熱を帯びます。

こちらもロッククライミング(ボルダリング)のスポットとして人気で、かなり以前(10年以上前)から登られています。

シャコガイの口の部分を横に移動するルートは石垣島のボルダリング中級者の登竜門的なラインになっています。ルート名もそのまま「シャコガイ」です。

とにかく一見の価値ありな奇岩です。ぜひ一度足を運んでみてください!

位置情報↓

まとめ

初回の今回は「野底林道の見晴らし岩」と、「明石海岸のシャコガイ岩」についてご紹介させていただきました。
いかがでしたでしょうか。

かなりマニアックな内容かと自覚しておりますが‥
これからも島の巨石スポットをいろいろご紹介できればと思います。
拙文にお付き合いいただけますと幸いです。


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この記事を書いた人

鈴木邦彦

ギャグ漫画家/クライマー
日本最南のギャグ漫画家として活動。
また、ボルダリングジム&ガイド「TOP OUT」運営。
石垣島のボルダリングエリアの新規開拓や、山や滝へのトレッキングガイドも行う。

連載中
八重山日報「アフロくん」
月刊やいま「まじむん日記」
月刊まーるマガジン「マーロくん」
フリーファン「くにくにのぐだぐだ」など。
4コマ漫画がメイン。

経歴
国民体育大会スポーツクライミング競技 出場多数。
野底マーペーを崖側から登頂。
野底ボルダー最難ルート「ティンガーラ」初登。
2023年 40歳にして沖縄県総体スポーツクライミング競技 男子総合準優勝。
スポーツクライミングにおいて日本代表選手を含む多くの選手の指導経験を持つ。

座右の銘は「下には下がいる」。

Instagram:@topout.guide


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