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読書日記*ああ面白かったと感じることが夢『ひとりずもう』さくらももこ

さくらももこさんの本は、笑いながら泣けてしまうことがある。
繊細すぎる感性で、イタく感じてしまったりかわいいと笑ってしまったり。お亡くなりになるまで、まる子ちゃんそのままのような、こどもの感性の人だったみたい。

この本はさくらさんが漫画家になるまでを書いた自伝エッセイ…なんだけどまるでまる子ちゃんが話しているような世界。笑ってしまうけれど、まっすぐでやさしい。

片想いの終わりと共に、自分自身への挑戦がやってきた。もうくだらない夢を見ている場合じゃない。まずは明日、紙とペンを買いに文房具屋へ行くべきだろう。
近所の文房具屋が、将来への第一歩だ。

『ひとりずもう』P166

人はなぜ、やりたいことをしようと思う時、なにかを失った瞬間に思い出すのだろう。最初の1歩はささいなこと。でもなぜか何も始めないで時間が過ぎていく。
さくらさんは近所の文房具屋に行ったあと、ずっと漫画を書き続けていた。
親や親戚までもが、漫画家なんてなれるわけがないと言っていた。でも「やらない場合よりもなれる確率がある」

簡単にまとめると、夢があったらやってみて、どういう具合か判断し、調整が必要ならそうした方が良い、という事である。
更に言えば、今ここで言っている”夢が叶った”というのは例えばデビューしたとか、何かの目的の職業に就けた、という段階であり、単にスタートする機会を得ただけである。本番はそこからだ。本当に夢が叶ったかどうかなんて、死ぬ寸前になるまでわからない。私だって、とりあえず作家になれた事はうれしいが、夢が叶ったかどうかなんてまだ言えない。そもそも、よく言う夢が叶っている状況ってどういう状況だろうか。

『ひとりずもう』P210

好きなことを仕事にすることは、おもしろがれるかどうか、なのではないかと思う。わたしもこうやって毎日、noteを書いている。仕事だと思ったら書けないかもしれない。今はただ書いているだけだし収入も発生していない。でも書くことが夢だとしたら、わたしの夢は叶ってる。

毎日少しずつでもだれかに見てもらえていることを、単純におもしろがって楽しんでいる。
もし本番がこれからだとすれば、もっともっと勉強してだれかにありがとうと言ってもらえること。そしてもっとありがとうを伝えていくことだと思う。

毎日、人の数だけ違う事が起こっている。同じ日なんて無い。一瞬も無い。自分に起こる事をよく観察し、面白がったり考え込んだりする事こそ人生の醍醐味だと思う。

『ひとりずもう』P212

観察して面白がること。(考え込むことは得意なのでおいておく)観察することと、面白がることがなかなかできなくて、日々流されていく。
いまを「ああおもしろかった」って思えることは、健康なことだし、きっとまわりも楽しいだろうな。そんなことを考えてじぶんを観察していると、何がおもしろいかの基準をもっと広げたいなと考えた。

おもしろくないじぶんをもっと許そうと思った1冊でした。


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