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毛布 - moufu

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安達茉莉子によるウェブマガジン『毛布』。 月2回ペースで更新予定です。
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#出版

毛布#14 『空はついに晴れ渡って』

毛布#14 『空はついに晴れ渡って』

今週から毛布は週1更新。週1ということで、ちょっと薄手の毛布になります。

※ 水害被害に遭われている方に心からお見舞い申し上げます。記事を書いた後も各地で水位が上昇していたりと心配です。どうかご無事で安全に過ごせますようにと願っています。

“Rainbow”昨夜、Kacey Musgraves の“Rainbow”という曲の歌詞を和訳し、シンガーソングライターの大和田慧ちゃんのインスタライブで

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毛布#13 『過去が変わるとき』

毛布#13 『過去が変わるとき』

7月に入りました。ちょっとぼうぜんとしますが、7月は生まれ月なので気分が良いです。

みなさんいかがお過ごしですか?
みなさんどう暮らしているのだろう。

「繰り返すタイプの不安」突然だけど、みなさんにはこんな不安ってあるだろうか?(さっきまで気分が良いという話をしていたのに)

例えば、犬が怖いとか、会社がいきなりなくなったんだけどどうしよう、とかそういう不安というよりは、
「人前に出るのがどう

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毛布#11 『ひとあし、ひと呼吸、ひと掃き』

毛布#11 『ひとあし、ひと呼吸、ひと掃き』

6月に入り、このnoteも『毛布』と書いて「タオルケット」と呼びたくなるような季節になった。

緊急事態宣言は解除されたが、私は引き続きステイホームをしている。
人によって、この春から初夏にかけての日々は全く違ったものだったと思う。

私にとっては、春からの期間を振り返ると、結構変化が起こった。ある意味で強制的な変化だったけど、思い返すと、それはやはり僥倖だったという部分が少なからずあった。

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毛布#10『喪失と痛み、記憶について』

毛布#10『喪失と痛み、記憶について』

先日、宇多田ヒカルさんのインスタライブを見て呟いたツイートが思いがけず拡散された。

新しくフォローしてくださった方もいるかと思うので改めて自己紹介すると、私は都内で作家として活動している。作品を作り、ZINEと呼ばれる自主制作の本を発行したり、依頼を受けてイラストを描いたりして、その活動を始めてもうすぐ4年になる。

そのツイートはすぐに、リプライや引用リツイートでほとんど公開フォーラムのように

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毛布#9 『あなたがそれを続けていけるように』

毛布#9 『あなたがそれを続けていけるように』

先日、初のインスタライブをコラボで行った。長年の友である、シンガーソングライターの大和田慧ちゃんから電話がかかってきて、今度自宅からの配信ライブで Bill Withers のLean On Meを歌おうと思っているという。英語の歌だけど、今の状況にぴったりだし、きっと歌詞の意味がわかったほうが伝わるだろうから、良かったらコラボしようと誘ってもらった。

前に感動してインスタでも書いた、Lea

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毛布#7 『プロセスを信頼する/明るい方を向いていく身体』

毛布#7 『プロセスを信頼する/明るい方を向いていく身体』

 あまりにも色々なことが凝縮されて、すごいスピードで終わった3月。

 5月刊行予定の新作詩集『消えそうな光を抱えて歩き続ける人へ』にどっぷりと取り組み、ついに詩集の原画が完成した。
 制作モードの時は、本当にちょっと特殊な状態になる。
 紙と自分との間で、拮抗した剣道の試合のような、緊張した感覚が続く。紙やキャンバス、板のことを「支持体」というと教えてもらった。(たしかにな、というくらい、紙には

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毛布#6 『すべてを溶かして絵具となる』

毛布#6 『すべてを溶かして絵具となる』

いきなり引きずり込まれたと思ったら、今度はもう蹴り出されるような、そんな2月。

詩集の絵の制作に入っていて、混沌としている。

毛布が力強く遅れている間に(すみません)日常はものすごいスピードで進んでいっている。

人間の姿を保っているだけで精一杯という感じにもなってきた。
いまさらだけど2月は毛布をおやすみします、のアナウンスだけを載せようかなと思ったけれど、毛布用に書いていた端切れが結構ある

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毛布#4 『大きな愛、貪欲さ、春風駘蕩』元旦特別号

毛布#4 『大きな愛、貪欲さ、春風駘蕩』元旦特別号

あけましておめでとうございます。
新年初毛布、元旦特別号です。

大晦日特別号でも書いたけれど、頭で考えるとロクなことがないとはいえ、やっぱりビジョンはもっていたい。

2020年の目標ってあるだろうか、と、黄色く完熟したかぼすを浮かべた昼間の温泉に浸かりながら考えて、谷の向こうの山と晴れた空を見ていると、なんだかそのまま解脱してしまいそうだった。

清々しくてとても気分が良く、新年の抱負はやっぱ

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毛布#2 『聴こえてくるもの』

毛布#2 『聴こえてくるもの』

手に触れた誰かの体温で自分の体温を知ることがあるように、誰かの眼差しや声に触れて、自分の輪郭を感じることがある。

自分の名前で作品発表を始めるようになって、一番最初に出展したのはデザインフェスタだった。その時はまだ詩集もなくて、トートバッグや紙雑貨を中心にした1日だけの出展の帰り道、国際展示場駅のエスカレーターを降りて行くと、ホームに名刺が落ちていた。

どんどん近づいてくるその名刺を見ていると

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