心にからまった糸をほどく
うつ病になる原因は人によって様々だと思います。そして出てくる症状も様々。
そのためうつ病というものの捉え方も人によって違うと思っています。
うつ病で回復期の半ばを過ごしていた時でしょうか。
ふと、うつ病は“糸が絡まって取れない時“と似ているなと思いました。
“糸”というのはうつ病を引き起こした”原因”の例えです。
この糸が自分の心に絡みついているように感じました。
しかも1本ではなく何本もの糸が複雑に絡みあってこんがらがっている気がしました。
原因という名の糸
原因が1つではないことは、回復期に入って少し落ち着いて物事を考えられるようになった頃に気づきました。
生活環境の変化、気候の変化、職場環境の変化、直近のショックな出来事
過去の嫌な出来事、将来への不安、周りとの比較、他人からの承認欲求
自身の偏った考え方、自己肯定感の低さ、両親との関係。。。
ざっと挙げただけでもこれくらいはありました。実際もっとあります。
これも苦しい、あれも苦しい。
今まで気づかなかったのか、もしくは見て見ぬフリをしてきたのか、その数は予想よりはるかに多く、複雑でした。
こんなにもぐちゃぐちゃに絡まっているのか。
私はそれらの原因の塊を目の当たりにして途方に暮れました。
うつ病の症状だけでもかなり辛いのにこのぐちゃぐちゃをどうしたらいいのだろう。。。
ヤケになってもがけばもがくほど、解けるどころか複雑になってもっと苦しくなりました。
うつ病なんて治るわけがない。
もう絡まった塊ごとどこかに放り捨ててしまいたいと思いました。
心の主治医は自分
でも、心のどこかに“治りたい“、“楽になってまた笑いたい“という思いがありました。
この絡まりを解くにはどうしたらいいのだろうとひたすら考えました。
でもこの絡まりを誰が分かり誰が解いてくれるのだろう。。。
精神科医の主治医でもない。
薬でもない。
うつに関する本でもなければ、
カウンセラーでもなく、
理解のある夫でも友達でもない。
みんな症状を和らげるヒントをくれたり、サポートはしてくれる。
でも根本的な原因は解決してくれない。
だって誰も根本的な原因なんて見えないし分からない。
自分以外は。。。
最後はやっぱり自分か。笑
半分腑に落ちたような半分諦めたような気持ちでその塊と向き合おうと腹をくくりました。
糸の絡まりを解いていく
私はその糸の塊をじっと観察し続けることに努めました。
できるだけ客観的に。
自分の心を遠くから眺めるような感覚で。
どんな糸があって
どこでどんな風に絡まっているのか
どんな部分が絡まりやすいのか
主観ではなく客観的に見ることはその事実を正確に理解することに役立ちます。
病院でお医者さんが患者さんを診ることも客観的な診断ですね。
体にできた傷であればどんな風にに傷ついてしまってどんな処置が必要かが分かっても、心の場合は見えないために対応が難しくなります。
そこで自分自身で自分の心を客観的に観察することにしました。
というか心に関しては”それしかできない”と痛感したのです。
※客観的な観察方法については長くなるので別の記事に書こうと思います。
そうして私は塊の観察を続け、自分の心に絡まった糸を少しずつ少しずつ解いていきました。
これには“長い時間“と“忍耐“が要りました。
ネックレスのチェーンのように数分、数時間ではいきません。
絡まりが強くて解くのにかなりの時間が掛かったものもありました。
でも糸が解けていくにつれて確実に以前より心が楽になっているのがわかりました。
そして気づけばうつ以前にはなかった客観的思考や俯瞰のスキルが身についていて、何より自分自身を大事にできるようになっていました。
おわりに
絡まった糸やチェーンを解くのって厄介ですよね。
時間はかかるしイライラしたり焦ったくなって途中で放り出したくなります。
ましてや自分の心の中にそんなものを発見したらショックで途方に暮れてしまいます。
私は塊を見つけて、なんとかならないかと主治医に相談した時に
「自分で気づけるなら大丈夫。気づきは今でも医療の最先端なんだよ。」
との言葉をいただきその時は正直何のことか全く分かりませんでした。
気づいたところで何も変わらないじゃん。
と1人でムカついていました。笑
でも、今は主治医の言葉に感謝しています。
どんなに絡み合った複雑な糸でも冷静に時間をかけて向き合っていけば紐解くことができると今では思うし、私の場合それがうつの快復につながっていると感じます。
自分と向き合うのはいつだって遅くないと思います。
今まで観察を続けてきて糸は全部解けたわけではありません。
でもうつ病を患った時やうつ前より心が楽になっているのは確かです。
これからも、地道に観察しながら自分の“心のお世話“を続けていくと思います。
長くなってしまいましたが、お読みいただきありがとうございました。
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