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元Factory Automation営業が感じたものづくりの魅力

ものづくりの真髄は工場にあり。

日ごろ使っているスマートフォンの中には無数の電子部品や半導体が組み込まれています。部品の数だけ生産工場があり、働いている現場の方がいます。

私が前職の総合電機メーカーでFactory Automation機器の営業をしていた4年間、今思うと工場に入れるのは貴重な体験だったと思います。
営業エリアだった栃木・群馬・埼玉で訪れた工場は100箇所以上。工場といっても、下町ロケットにでてくるような小規模の町工場から、超巨大な工場まで幅広く、一言では語り尽くせません。

あの4年間は自分の社会人の基礎となったかけがえのない経験で、あの工場現場で出会ったものづくりに情熱を捧げる人たち、そこで触れた彼らの熱い想い、私が感じてきたこと、全て忘れたくないので、公開できる範囲内で書いておくことにしました。このnoteが、工場の世界を知ってもらうきっかけにもなれば、ささやかな幸せです。



▼ファクトリーオートメーション(Factory Automation:FA)って?

Factory Automation(以下「FA」という)とは、生産工程の自動化を図るシステムのこと。私はそのFAを実現させるために必要不可欠な「FA機器」の営業活動をしていました。あの高い営業利益率で有名な(株)キーエンスも実はFA機器メーカーです。

FA機器にも様々な種類がありますが、私が担当していた製品は、物を動かす機器本体と、そこに指令を与えるシステム、双方からなる高精度な産業機器です。それをお客様である機械メーカーの設計者や、エンドユーザー(実際に最終消費財を生産しているメーカー工場)の生産技術者に提案していました。
[※下図は分かりやすくイメージいただくための架空の例です。]

つまり、FA機器の営業とは(私が担当していた製品は)、ただの物売りではなく、お客様の用途に合わせてソフト面でどのようなプログラミングをするか等も含め、ソリューションを提案をすることで、お客様と一緒に機械を作っていくスタイルでした。

飴の生産工程を例にとるならば、最後に飴を袋に包む作業があります。包むのを人が手作業でやっていたとすると大変な手間がかかりますが、機械で自動的に包むFAシステムを提案することによって、生産効率を大幅にアップさせることができるのです。
[※分かりやすくイメージいただくための架空の例です。]

最近のFA業界では他業界と同様に「IoT・AI・5G」が話題です。工場の無線化やデータの見える化、予防保全等、様々な工場改革が進んでいます。


また、こんな一面もあります。私が担当していた製品サーボモーターが以下の記事で「受注から約1~3ヶ月後に売上がたつため、景気の先行指標になる」という切り口でフューチャーされていました。何かを作るときは真っ先に工場投資に動きがあるので、工場に注目していれば、トレンドを追えるかもしれませんね。


▼工場はこんなところ


工場はその規模や業界、会社によってさまざまですが、どこも5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)をかかげているのは共通しています。私も工場を訪問する際は、動きやすいよう常にリュックにパンツスーツで、帽子も持参。血液型を記入したヘルメットの着用を求める工場もたまにあるくらい、危険と隣り合わせな場所でもあります。私自身も工場研修で現場の生産ラインに入り、物を作っていた時期がありますが、緊張感を持ちながら作業するようにしていました。

一般の方に向けた工場見学もたくさんありますので、行ってみると面白いかもしれません。最近ではコロナ禍でオンラインでも気軽に工場見学ができるようになりました。

例:

▼工場の熱いひとたちの魅力

工場の魅力はなんといっても関わる「ひと」たちです。

私は学生時代までずっと文系育ちで、交友関係も文系の人ばかり。そのため、FAの世界に入り、理系で電気や機械を専攻された方々と出会うのは刺激的でした。かれらが使う専門用語はまるで違う言語を喋っているように感じられ、かれらの理路整然な思考からも頭の中が一体どうなっているのかと思いをめぐらせたものです。そんなわけで、私が設計者のお客様へご提案するには猛勉強しなければならず、苦悩の連続でした。

とある設計者の方が目を輝かせて仰っていた言葉を今でも覚えています。

「自分がプログラミングしたとおりに機械が動くのがたまらないんですよね。」

私は当時仕事を通して社内外問わず技術者からこの類の言葉をよく耳にしました。聞くたびに、好きなことを極めている姿勢が素敵だなあと。まるで少年のように楽しそうに語る彼らの瞳の奥には、ものづくりへの秘めたる情熱がみえるんです。

FAの仕事では現場で機械の不具合を調整する緊急の仕事が頻繁に入ります。例えば、飴の生産ラインが止まってしまえば、その分製造がストップしてしまい、莫大な損失になってしまう。機械の予防保全やメンテナンスは、製造業にとっていわば生命線なのです。

正直原因が究明できるかどうか分からない現象もたまにありますが、エンジニアが現場にいけば職人技をみせてくれます。どんなに装置が自動化しても、自動化させるための調整やプログラミングにはひとが必要です。(昨今は自動調整の機能なんかも出てきましたが、やっぱり人が最後には確認しないといけません。)経験と知識に基づいた技術者による機械の調整さばきにはいつも感服させられました。

▼まとめ

このnoteに書いたFAのお話はほんの一部ですが、「モノづくりは人づくり」とも言われているように、工場にいる現場のひとたちの情熱と技術力によって、世の中の産業は支えられています。これからの時代に工場やものづくりがどのように変わっていくか、応援し続けたいと思います。

*自己紹介note:

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