役者が揃っている~映画「大名倒産」~

「銀河鉄道の父」を観にいった時にチラシをもらい、面白そうなので、絶対に観ようと思っていました。


絶対観るつもりだったのに、はたと気づいたら公開から1か月近く経っており、上映回数が激減していました。激減っていうか、1日1回上映。近くで観るのなら、映画館Aに朝早くから出かけるか、Bに夕方から出かけるかの究極の選択になっていました。考えた末、朝早く出かける方を選択。

前の日に座席をネットで押さえた時点で、まだ1組しか予約していないので、ガラ空きであろうとは思っていました。案の定、20人いたかいないかでした。しかも上映時間の関係か、映画の内容の関係か、恐らく私が最年少(^-^;

内容はというと、神木隆之介演じる鮭売りの小四郎が、突如として丹生山藩の藩主になり、かつ現代の金額にして100億円の借金をどうにかしなければならなくなるという、とてつもない話。もちろん返せるわけはなく、いずれ大名倒産をして切腹するのが彼の運命です。でも死ぬのが嫌な小四郎は、どうにかして借金を返せないかと奮闘しますが、当然簡単ではなくて……。

演じる役者たちが、それぞれ良い味を出しています。小四郎の母役が宮崎あおいなのですが、宮崎あおいも母親役を演じる年頃になったんだなぁと、しみじみ。気づけば目じりにしわがあるようになっていました。でも可愛い。小四郎の幼馴染役の杉咲花も可愛いですが。

神木隆之介が、実の父親役の佐藤浩市より、育ての父親役小日向文世の方に似ているのはご愛敬。ていうか、兄役の松山ケンイチとも似ていませんが。松山ケンイチは、鼻を垂らしているうつけ者の役なのですが、だんだん鼻水が短くなっていくものの、最後まで出ています。あれをぶら下げ続けるのは、大変だっただろうな。娘とうつけ者の仲を裂きたがっている小池越中守役の高田延彦は、娘が可愛い頑固者の父親を好演していました。

しかし佐藤浩市演じる先代藩主、「鎌倉殿の十三人」の上総介以上のアクの強さですが、ご本人はやっていて楽しいんだろうなぁ。様々な趣味をお持ちですが、「小四郎、その道具類を取り上げて売ってしまえ」、と何度思ったことか。ちなみに茶会のシーンで、客たちが平気で藩主の小四郎の前をずかずか歩くのが不思議だったのですが、それが実は伏線になっていて、驚きました。

小四郎の家臣役の面々も、なかなか強烈。すぐに切腹しようとする磯貝役の浅野忠信ですが、胸毛の濃さが気になりました。自前なんでしょうけど、つけ胸毛(?)かと思うくらい。

勘定方の橋爪役の小手伸也も、人が良い武士役を好演。その妻役のヒコロヒーも、悪くないです。ある意味ベストアクター賞なのが、二人の娘役の赤ちゃんで、きっと見慣れぬ格好をした知らない人(ヒコロヒー)に抱かれるのが嫌で泣いたんでしょうけど、結果的に父親の異変を感じて泣いているように見えて、グッドでした。

江戸幕府の老中役の石橋蓮司と勝村政信、丹生山藩に金を貸していた大坂の豪商役のキムラ緑子、小四郎の家臣役の梶原善も、それぞれ強烈な存在感を発揮していました。

ちなみに最後の「大富豪同心」を思わせるダンスシーンですが、劇中のそれぞれのシーンを撮る都度、ダンスシーンも撮っていたということですよね。役者さんたちが楽しそうに踊っているから良いですが、最近のすぐに踊らせる風潮は、どうかと思います。

何しろ、楽しい映画でした。
見出し画像には「みんなのフォトギャラリー」から、塩引き鮭の画像をお借りしました。劇中の塩引き鮭、本当に美味しそうでした。



この記事が参加している募集

映画感想文

記事の内容が、お役に立てれば幸いです。頂いたサポートは、記事を書くための書籍の購入代や映画のチケット代などの軍資金として、ありがたく使わせていただきます。