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【総説編①】学習指導要領に立ち返ろう

前回の記事『学習指導要領に立ち返ろう』に続いて、今回は総説編ということで、『中学校学習指導要領解説 理科編』の総説についてアウトプットを行っていきます。内容が多くなってしまったので、①~③の3つの記事に分けて書いていきます。

今回アウトプットする項目はこちらになります

第1章 総説
 1 改訂の経緯及び基本方針 ⇒(ここまで総説①)
 2 理科改訂の趣旨
 3 理科改訂の要点        
 4 分野目標と内容の構成の考え方と本解説における内容の示し方               

 文部科学省.『中学校学習指導要領解説 理科編』.(2018)

それでは、いきましょう。

1 改訂の経緯及び基本方針

(1)改訂の経緯

 まず、改訂の経緯において「少子高齢化」「グローバル化」「技術革新(AIの発達)」による、日本社会の社会構造や、雇用形態が大きく変化することが挙げられています。
 これらの問題で何が起こるかというと、「社会構造や雇用形態の変化」が起きるわけです。例えば、従来の日本にはなかった、「人間の職業がAIに置き換わる」だったり、「若者1人に対して多数の高齢者を支えなければいけない」というような変化が現れてきます。

 そのような変化する社会の中で「他者と協働して課題を解決する」ことや、「様々な情報を見極め理解し情報を再構成する」ことで「新たな価値・目的を再構成する」力が求められます。

 この力を”よりよい学校教育を通じてよりよい社会を創る”という目標を立て、学校と社会が共有し協力することで、新しい時代に求められる力を子供たちに育む「社会に開かれた教育課程」の実現を目指していく。
 そこで、学習指導要領が、学校・家庭・地域で幅広く共有し活用できる「学びの地図」としての役割を果たしていけるように改善を行っていく。そのときに6点の取り組みの改善を行い、学校教育の改善・充実を図っていく「カリキュラムマネジメント」の実現が求められます。

①「何ができるようになるか」⇒(資質・能力)
②「何を学ぶか」⇒(教科を学ぶ意義、教科・学校段階のつながりを意識した教育課程)
③「どのように学ぶか」⇒(指導計画の作成と実施、学習・指導の改善・充実)
④「子供一人一人の発達をどのように支援するか」⇒(子供の発達を踏まえた指導)
⑤「何が身に付いたか」⇒(学習評価の充実)
⑥「実施するために何が必要か」⇒(指導要領を実現するために必要な方策)

文部科学省.『中学校学習指導要領解説 理科編』.p2.(2018)

(2)改訂の基本方針

 次に、改訂の基本方針としては、中央審議会答申を踏まえて次の①~⑤に基づいて行われました。

① 今回の改定の基本的な考え方
② 育成を目指す資質・能力の明確化
③「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善の推進
④ 各学校におけるカリキュラム・マネジメントの推進
⑤ 教育内容の主な改善事項

それでは、一つずつ見ていきましょう。

① 今回の改定の基本的な考え方

  これまでの日本の学校教育の実践や蓄積を生かし、社会と共有し、連携する「社会に開かれた教育課程」を重視すること。
 また、平成20年改訂の学習指導要領の枠組みや教育内容を維持した上で、確かな学力を育成すること。
  さらに、道徳教育、体験活動、体育・健康に関する指導、の充実により、豊かな心や健やかな体を育成すること。

 というように、今まで行われてきた教育の中で、現代の社会に教育に生かせるものを残しつつ、様々な教育活動を通して、子どもを育成していこう、ということが示されています。

② 育成を目指す資質・能力の明確化

学校教育が長年その育成を目指してきた「生きる力」を改めて捉えなおし、「生きる力」を具体化し、三つの柱に基づいて整理をしました。
そうすることで、今まで行ってきた教育の強みを、現代の教育に生かしていくことが重要視されています。
具体的な内容としては以下の図 ようになります。

③ 「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善の推進

子たちが生涯にわたって学び続ける力(「主体的・対話的で深い学び」)を身に付けるために、学習の質を一層高める授業改善(アクティブラーニング)の視点に立った取り組みを活性化していくことが必要です。
その際、留意するものとして、次の6点があります。

④ 各学校におけるカリキュラム・マネジメントの推進

各学校において、学習の基盤となる資質・能力(言語能力、情報活用能力、問題発見・解決能力等)の育成のために、教科横断的な学習を充実することや、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた、授業改善をまとまりを見通して行うことが求められます。

そのために、児童生徒や地域の実態を把握し、適切な時間配分と人的・物的体制の確保、教育課程の改善などを通して、学習効果の最大化を図るカリキュラムマネジメントに努めることが求められます。

ここでのカリキュラムマネジメントとは…

 カリキュラムマネジメント
「生徒や学校、地域の実態を適切に把握し、教育の目的や目標の実現に必要な教育の内容等を教科横断的な視点で組み立てていくこと、教育課程の実施状況を評価して改善を図っていくこと、教育課程の実施に必要な人的又は物的な体制を確保するとともにその改善を図っていくことなどを通して、教育課程に基づき組織的かつ計画的に各学校教育の教育活動の質の向上を図っていくこと」

文部科学省.『中学校学習指導要領解説 理科編』.p5.(2018)

⑤ 教育内容の主な改善事項

言語能力の育成、理数教育、伝統や文化に関する教育、体験活動、外国語教育、の充実などについて、それぞれの特質に応じて内容やその取扱いの充実を図りました。

最後に

今回は総説の部分のアウトプットを行っていきました。指導要領の根幹的な考えが書かれている部分で、学校教育の中で求められている具体的な事柄がまとめられていました。
次回は、総説の続き、いよいよ理科の教科としての考え方の部分に迫っていきたいと思います。


次の記事・・・


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