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(31)刹那の愛欲ーーchinko to america by mano

 翌朝9時過ぎ、ノックの音で目が覚めた。ドアを開けると、ダニエラが立っていた。彼女を見た途端、昨日の不安はどこかに遠のいていく。
 
 どうしようもないストレスを振り切るには、ダニエラの体にすがるしかない。オレはすぐに彼女を抱き寄せ、服を脱がせ始めた。ダニエラも同じことを考えていたようで、スウェット姿のオレのパンツの中に手を忍ばせ、ちんこの先のほうから手のひらをゆっくりとスライドさせていく。

 ベッドに横になると、オレはダニエラの体の隅々に鼻を押し付け、執拗に匂いを嗅ぎ、舌を這わせてじっとりと舐めた。アメリカにいたときと少しも変わらない、オレがよく知るダニエラの体の感触がそこにあった。
 ダニエラもオレの体に覆いかぶさり、固くなったちんこを愛撫する。欲情に心が支配され、後先のことなどどうでもよくなってしまう。
 果てたあとは、2人でシャワーを浴びて外に出た。1人息子のマヌエルは幼稚園に行き、夕方の6時に迎えに行く手配をしたという。リカルドは7時前に帰宅する。それころまでがオレに与えられた時間だった。
 
 ダニエラはまず、町から30キロほど離れた観光名所のピエドラ・デル・ペニョルに連れて行ってくれた。緑豊かな広大な貯水池のほとりに高さ200メートル超の巨岩がそびえたち、頂上には展望台が設けられている。眺めがすごくいいので、そこにオレを連れていきたいらしい。
 週末は観光客でにぎわうというが、平日のためか、ピエドラ・デル・ペニョルには人がほとんどいなかった。そのおかげでオレたちは大胆な行動に出ることができた。
 巨岩の頂上に続く石段の途中で何度も立ち止まると、キスをしながらお互いの体をまさぐり合う。人はこれほどまでに何かを欲することができるのかと思うくらい、オレはダニエラのすべてを求めていた。
 
 時間をかけて頂上まで来ると、コンクリート造りの簡素な展望台が建っている。手をつなぎながら階段を上っていくと、屋上のようなところに出た。設置されているベンチにはすでに若いカップルがいて、対面で抱き合いながら体を動かしていた。オレとダニエラが突如現れたことに驚いたのか、2人はすぐに動きを止め、下半身をもぞもぞとさせている。彼らはおそらく、眼下に広がる絶景を眺めながら交わっていたのだろう。 

 女の子のほうは、恥ずかしがってこちらを見ない。しかし男のほうはニコニコと微笑みながら、オレたちに声を掛けてきた。
「何て言ってたの?」

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