ゆっくりと深呼吸する。 台風が過ぎようとしている。 分厚い雲の切れ間に、青。 ああ、吸い込まれてしまいそうだ。 なにも落ち込んでいるわけではない。 けれど、目の…
死ぬ前の数日のことは憶えていない。 ほとんど、人間らしく生きていなかったから。 深夜まで仕事をして、シャワーを浴びるためだけに家に帰り、また会社へ戻る。 どっちが…
eeeiha
2022年4月12日 01:26
ゆっくりと深呼吸する。台風が過ぎようとしている。分厚い雲の切れ間に、青。ああ、吸い込まれてしまいそうだ。なにも落ち込んでいるわけではない。けれど、目の前に広がる悔しいほどの青空に飛び込む勇気はまだ、ない。為す術もなく、立ち尽くす。これが正しい道だったと、ようやく生きる場所を見つけたと、思った矢先にやってくるのはとてつもない孤独。認められたいだけ?好きならそれだけで良
2021年4月26日 17:59
死ぬ前の数日のことは憶えていない。ほとんど、人間らしく生きていなかったから。深夜まで仕事をして、シャワーを浴びるためだけに家に帰り、また会社へ戻る。どっちが家なのだろう、と、思わず口が歪む。おもしろくなんてないのに。記憶を辿ると、すべて春だった。春に生まれ、春に堕ちる。生温いミルクティーの味がぼやけている。花粉症、淡い色、世界はずっと、白んでいる。夜明けがそこまで来ているのに、い