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「親友」って何?程よい距離感を保つあの子に嫉妬も感謝もした#14


小学校1年生の時からの「親友」がいる。多分。


というのも、本当に親友だったのかどうかは、今でもわからないから。


私とその相手の子は6年間、一番多くの時間一緒にいて、周りから「親友」のように思われていた。私の学年の間では公認だったようだ。


他の人たちは、仲の良い子がその時々で変わっているように感じた。それが普通なんだと思う。「私たち親友だよね」なんて、言ってものすごい距離が近づいているなあと思えば気づくと何事もなかったかのように離れていたり。1年生から6年生まで親友でいれたであろう人は私が見る限りでは、まず、いない。


だからこそ、私たちはなんだかすごい存在のように思われていた。今も仲良いの?なんて、大人になった今も聞かれるぐらい。


でも、私とその子はお互い親友だよね〜なんて確認しあったことは一度もない。相手はどう思っていたかはわからないけれど、私は親友という概念がその頃から好きではなかった。



私と彼女は親友なのかな、と認識し始めたのも他の人に言われてから。言われることがなければ、親友とも思っていなかったはず。確かに当時、彼女とは話しやすいなとは感じていた。


でも、周りの人からの「親友」認定に、当時私は親友なんだと思い込んでしまった私は、彼女がいつか親友でなくなることが少し怖くなっていた。自分より他の誰かと仲良しになってしまったら、自分の価値が薄れるような気がして。


他の子同士が「親友だよね〜」と言っている時は(長くは続かないけれど)、その二人の世界には誰も入り込めないような距離の近さで交友関係を築いていた。だから、その距離の近さこそが親友としての関係なんだと当時は思っていた。


けれど、私たちはあっさりとしていた。私というより、相手が小学生とは思えないような近すぎず遠すぎず、絶妙な距離感を保つ人だった。


推測だけれど、相手の子も親友だからといって、常に一緒にいたい!とまでは思っていなかったと思う。今思えば、そんな程よい距離感だったからこそ、常に一緒にいなきゃ!という気持ちが段々と薄れて、6年間安定して「親友」ができたのかもしれない。


その子は、敢えて私から離れようとする時もあった。学校のお泊まり遠足では1部屋に女子5~6人で自由にグループを組む時間があり、私はいつもそれなりに仲の良い子たちのグループに入ろうとし、当然相手の子もこっち側に来るだろうと思っていたけれど、私の行動を見て別のグループに入っていったことがあって、その時はすごく驚いたし、嫉妬に近い感情にもなった。


初めてのその子の行動は確か小学3年生。そんな彼女の大人な行動が理解できなかった。でも、グループ分けが終わった後の休み時間、何事もなく「一緒に給食食べよう〜」なんて言ってくる。その後も、その子の気分によって同じようなことが度々あったから、別に嫌われているわけでもないと分かり、私がその子の親友じゃなくなったなんて思うことはなかった。


とはいえ、その子の行動はいつも気まぐれ。複数人でグループを組む時、休み時間に遊ぶグループ、一緒にいようとする時もあった。5年生から始まる小学校の部活動は、私はずっと前から演劇部に入ると言っていて、彼女はずっと別の部活に入ると言っていたはずなのに、入部届けを出す日、「演劇部に決めた!」なんて言い出した。

かと思えば、喧嘩も何もしていないのに、あえて離れようとする時もある。


そんな彼女はかなりマイペースな性格で、私と二人でいる時も黙々と読書をしていたりする。私としては家で読めばいいじゃんって思ったけど。せっかく2人でいる時は話を楽しみたいんだけど。社会人になって時々会う時も、私いる意味ある?ってぐらいスマホに熱中していることもある。(こういうところは私的に納得いかないんだけれど)


どこまでも自分の心や時間を大切にする性格だ。悩みなんてないんだろうな、羨ましいな、と嫉妬する反面、私も自分の時間を大切にしようとその後も思えたり、周りからもマイペースだねなんて言われるようになったのも多分、この時があったから。


ずっとモヤモヤしていたけれど、いつしか私も友人関係に他の子達ほど執着しすぎなくていいんだと気づけるように。周りの子より大人かも、って思えたのも彼女のおかげかな。


これも推測だけれど、彼女も私と同じで、周りから「親友」と認定されたことによるモヤモヤを感じていたのかもしれない。だからこそ、お互い親友を口に出さなかったのかもしれない。それが程よい距離感となっていたのかもしれない。それが安定した親友(かどうかもわからないんだけど)でいられた理由なのかもしれない。


彼女とはここ1年ほどは連絡を取っていなかったけれど、もし久しぶりに会うことになったら「親友」についてどう思っていたか話してみたい。変わらず彼女は自分の時間に没頭していて真剣に聞いてくれない気もするけど、当時は大人な考えに気づかせてくれた彼女には感謝している。


(元は、親友だと思っていた彼女がいつも自分の時間優先になって私がいつも置き去りになっているモヤモヤについて書こうと思ったはずなのに、気づいたら感謝になっていた)

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