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『平安文学とマンガ』ちはやふる*うた恋い

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平安文学関係の本やマンガの感想。 よんだものが繋がってく面白さを綴っていきたいです。
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#百人一首

ちはやふる45巻~桜と梅と。女性の友情と人生と。

ちはやふる45巻~桜と梅と。女性の友情と人生と。

いつものことですが、読んだ人向け。

序歌を読む時「本当は梅の花だとわかっていても、桜を心の中に咲かせてしまう」今日子さん。それを「見えるもん」と言う九頭竜さん。42巻で周防さんも、今日子さんが桜を好きなことに気づいていたけど、和歌を詠む声音でそれを察するって、なんてハイレベルの受信なんだろう。

42巻で周防さんが今日子さんに差し出すのは、伊勢大輔のカクテル。

~きょうここのえに においぬるか

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複数の線で繋ぐことができる文化人~大納言公任まとめ*後編

複数の線で繋ぐことができる文化人~大納言公任まとめ*後編

ちはやふる44巻、クイーン戦二試合目。

公任の『たき』は詩暢ちゃんが取り、清少納言の『よを』は千早が取る。清女が千早のことを(面白い)と感じて、そっちに行ったような描写はまるで、花いちもんめで遊んでいるかのよう。
そして最終局面、(クイーン相手に『め』を送る⁉️)と驚かれた紫式部の『め』は、詩暢ちゃんの取り。花いちもんめだったとしたら、紫ちゃんは清女の方へは行かないだろう。
ということは、詩暢陣

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ちはやふる44巻にかこつけて~歌人『大納言公任』エピソードまとめ*前編😶

ちはやふる44巻にかこつけて~歌人『大納言公任』エピソードまとめ*前編😶

千早と詩暢のクイーン戦、第二試合目。
詩暢を理解し、かつ崩していく為に、千早は歌人の関係性を利用し撹乱します。この巻は、歌人のエピソードを掘り下げて、いくらでも語れそうな一冊になってます。

というわけで今回は、ちはやふる44巻を入り口として、古典文献にみられる大納言公任に焦点を当て、まとめてみます。

まず、ちはやふる15巻、富士崎との試合での運命戦の局面。太一が『ゆら』を持ち、エロムが公任の『

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「たち」札の在原行平と『ちはやふる』の真島太一。天徳内裏歌合の「しの」と「こい」

「たち」札の在原行平と『ちはやふる』の真島太一。天徳内裏歌合の「しの」と「こい」

注⚠️書きたいように書いてるので、『ちはやふる』のネタバレには全く配慮していません‼️
むしろ読んでる前提で書いてます‼️あしからず‼️

『ちはやふる』の主人公「綾瀬千早」と共にカルタ部を作り、彼女を支える幼なじみ「真島太一」の名の由来は、

たちわかれ いなばの山の 峰におふる まつとし聞かば いま帰りこむ

(いま別れて、いなばの国へ行くにしても、稲葉山の峰に生えている松のように、待っている

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『うた恋い。』を入り口に『伊勢物語』を妄想過多に読む🍁「ちはやぶる」と「つくばねの」

『うた恋い。』を入り口に『伊勢物語』を妄想過多に読む🍁「ちはやぶる」と「つくばねの」

伊勢物語の三段から六段にかけては、在原業平と二条の后・高子の恋物語だというのはもう既存の事実扱いでいいでしょう。さて、業平はなぜ、わざわざそんな危険な恋をしたのか?

伊勢物語を読み進めてくと、主人公が「男」とボカしてあるわりに、ハッキリと名前が出てくる人がいます。まず一人目は「紀有常」、業平はこの人の娘を妻にもらっていて、仲が良いようです。

二人目は「惟喬親王」、有常の妹、静子が文徳天皇の更衣

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