渡邉恵里

福岡市の精神科、川谷医院で働く小児科医です。 株式会社ドンマイ取締役として、放課後等デ…

渡邉恵里

福岡市の精神科、川谷医院で働く小児科医です。 株式会社ドンマイ取締役として、放課後等デイサービスそらのスタッフサポートを行っています。 小児科専門医、小児神経専門医、子どものこころ専門医 instagram:eriwatanabe01 https://kawatani.jp/

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自己紹介

はじめまして。 渡邉恵里といいます。 私は福岡市中央区にある精神科クリニック、川谷医院に勤務する小児精神科医です。 子どもの頃から児童精神科医になりたくて医師になりましたが、心の病気になる前の子どもに予防的な介入をしたいという気持ちと、子どもの身体の病気も診られるようになりたいという気持ちから、研修医終了後は小児科医として働くことにしました。 小児科医になり、小児神経学を専攻しながら全身疾患の診療にあたりつつ、子どもの心の診療も行う、という欲張りな日々は、非常に充実していま

    • モモから学ぶ「寄り添い方」

      川谷医院の医師と心理士とで、リレーエッセイを始めました。 岩永先生のエッセイに、子どもは「鬼は外、福は内」から心の成長と共に、「鬼は内、福は内」と言えるようになる、という話が書かれていました。 このエッセイを読んで連想したことは、最近はSNSでつぶやいたことが大勢の人に発信されてしまうため、「鬼は外」と思いがけないほど大量の豆をぶつけてしまうことも、ぶつけられてしまうことも多いということです。 以前はお茶の間でニュースを見ながら「ひどい話だね」と家族で話して終わっていた

      • 笑顔と絆のスクラム

        昨日、福岡おやじたい『笑顔と絆のスクラム』第10回記念イベントに行ってきました。 福岡おやじたいは、神経発達症(発達障害)の子を持つ父親を中心とした、神経発達症の啓蒙活動を行っている団体です。 今回のメインは、東ちづるさんの講演と、東さんと立花高校の齋藤校長との対談。 東さんは、自閉症や脳性麻痺の普及活動もされているのですね。失礼ながら、全く存じ上げませんでしたが、ただタレントさんが応援しています、なんかでは全くなく、心の底から「MAZEKOZEの社会」を目指す東さんの

        • 子育て講座についてのお知らせ

          川谷医院で、月1回勉強会を行っています。 その時に、川谷が話していたこと。 「昭和世代は、親と先生が言うことは正しい、という絶対的な価値観があって、それに従順に従っていた。もちろん、その中には間違っていることも多々あったけれど、そういう絶対的な価値観があったから、自然と社会の道理が身につくところもあった。 平成20年代以降の世代は、親や先生に、自分の主張ができるようになった。それは子どもを尊重する上で大切なことではあるのだけれど、一方で、子どもの快不快の感覚を重要視し、

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        • 子育て
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          就労継続支援A型事業所ドンマイについて

          昨日は、株式会社ドンマイの10周年を記念し、就労支援についてのセミナーを開催しました。 継続就労支援事業所A型ドンマイの管理者と、卒業生の元メンバーさんのお話の後、障碍者雇用を行っている企業(Hightideさん)のスタッフさん、ドンマイの統括責任者である黒岩でディスカッションを行いました。 卒業生のお話は、どのように自分の問題を受容し、一般雇用への歩みを進めていったかという内容でしたが、決して簡単なものではなかったことが自分のことのように感じられ、こちらも涙が出そうな程、感

          就労継続支援A型事業所ドンマイについて

          ペアレントアウェアネス

          子どものこころ専門医と考える能動的な子育てオンラインコミュニティー https://community.camp-fire.jp/projects/view/671229?list=search_result_projects_popular  にて、ペアレントアウェアネス(Dr.えり式ペアレントトレーニング)始動して1ヶ月が経ちました。 現在、7名の方にご参加頂いています。 このペアレントアウェアネスは、一般のペアレントトレーニングと異なる点が大きく2つあります。 ①

          ペアレントアウェアネス

          問題行動を繰り返す子の理由

          「何度も注意しているのにやめない」 子どもが問題行動を繰り返す背景には3つの理由が考えられます。 ①注意されることで、注目欲求を満たしている ②反復強迫 ③ダメだと禁止されることで、逆に意識してしまう ①は、応用行動分析 (ABA)で紹介されており、ペアレントトレーニングでもお伝えしているお話です。 子どもはかまってもらいたい、注目してもらいたい、というときに、よい行動ではなく、注意を受ける問題行動をとることがしばしばあります。 なぜなら、よい行動で注意をひくよりも簡単だ

          問題行動を繰り返す子の理由

          性教育

          性教育の相談を受ける事がしばしばあります。 日本の性教育は小学校高学年でもオブラートな表現での説明にとどまります。 海外では、小学校5-6年生でも避妊法について話し合うこともあるほど、日本との差が大きい。 今、寝た子を起こすな的な日本の性教育が見直されています。 特にここ数年、子どもたちがSNSで見知らぬ人とつながり、性的な画像を要求されるというニュースを目にすることが増えていますが、私の外来でもこういった話は珍しくありません。 小学生が被害に遭っている状況を見てい

          子どもを怒りすぎることを悩む人へ

          子どもを怒りすぎてしまうという相談が、よくあります。 親の中に、子どもに対する「こうあるべき」が強すぎるので、まずは「べき」を捨てることが必要だと、ペアレントトレーニングでは説明をしています。 この「べき」を捨てるためには、まず、 子どもを、子どもの頃の自分や、兄弟児、周りの子どもたちと比較することをやめる必要があります。 子育ての方法がわからないと、自分が育てられた経験を思い出しながら子どもと接することになる人が多いと思いますが、 それだと子どもの頃の自分とその子を比

          子どもを怒りすぎることを悩む人へ

          アナ雪とメンタルヘルスの回復過程

          頭でわかっているんだけど、心がついてこないもどかしさって、誰でも経験したことがあると思います。 「周りはそんなに気にしていないと頭ではわかっていても、周りの目が気になって心臓がドキドキしてしまう」 「たいしたことないと頭ではわかっていても、つい緊張して失敗してしまう」 こうした場合、心が納得するまでには、葛藤が必要です。 仮に、無理に頭で考えて動けたとしても、心が納得していないと、 受動的で、その人らしい行動ではないかもしれませんし、 普段以上の疲労感を感じてぐったりし

          アナ雪とメンタルヘルスの回復過程

          なぜ不登校児童に弁証法が必要なのか

          noteで告知するのを忘れていましたが、amazonより 「なぜ不登校児童に好きなことだけさせてはいけないのか」を出版しました。 私の基本的な考えが書かれていますので、 ご家族にうまく説明しづらいと悩まれる方、どうぞご活用下さい。 kindle unlimitedで無料で読めます。 子どもが「共感できない人にならないだろうか」「回避的なままだったらどうしよう」「指摘されることを極端に嫌がるけど、このまま大人になったら・・・」 といった保護者の方の不安。 そうした皆さん

          なぜ不登校児童に弁証法が必要なのか

          子どもへの声かけ②具体的に

          子どもへの声かけについて、 「その子がどんな気持ちでいるかを想像しながら、 その子が気持ちをわかってもらえたと思えるような声かけをしましょう」 ということを、以前youtubeでお伝えしました。 https://www.youtube.com/watch?v=2Pf-deDboPI&t=17s ただ、その声かけの仕方がわからない、ということを 何度か保護者の方から言われました。 「わからない」ということは言いにくいことなので、 わからないままだけど私に相談をしない、 と

          子どもへの声かけ②具体的に

          偏食への工夫

          以前、子どもの偏食への対応についてのお話を書きました。 今回は、具体的な調理の工夫について、まとめてみました。 偏食への調理の工夫というと、 嫌いな野菜はみじん切りにして、ハンバーグに混ぜる、 チャーハンに混ぜる などがよく行われているかなと思います。 ただ、子どもによってはこういうのもうまくいかないことがあります。 前回も書きましたが、子どもの「苦手」な理由には色々あります。 味、食感、噛みにくさ、飲み込みにくさ、見た目、温度、におい、過去の経験・・・ まずは苦手

          偏食への工夫

          同調圧力

          真鍋博士がノーベル賞を受賞した際、「日本に帰りたくない」発言をされたことで、 日本人の「同調圧力」が話題になっています。 私の診察室に来る子たちもよく、「悪目立ちしないか心配」と口にします。 皆と同じ発想、同じ意見、同じ格好をすることに安心感を抱きやすい日本人の集団では、 逆に人と違う行動や発言をした時に、非難の目を向けられることが少なくありません。 発達特性がある子どもたちは、認知機能の発達に凸凹があるため、 世界の見え方、感じ方が他の子と少し違うことが起こりやすく、 自

          同調圧力

          子どもへの声かけ

          先日、ブログでも告知しましたが、 スクールカウンセラーで「子育てに悩む親の会」の講師をしている クアモト美穂先生とオンライン対談を行いました。 テーマは、親の会で相談されることの多い「声かけ」について。 「いつまで遊んでるの?」 「宿題は終わったの?」 「どうしたの?」 「元気がないね?」 様々な場面で声かけというのは行われますが、 子どもにどう声をかけたらいいのか悩むこと、ありますよね。 その時に、どんなことを考えていったらよいか、 考えるヒントがみつかる動画になったの

          子どもへの声かけ

          オンライン授業の困り

          緊急事態宣言下で迎えた2学期。 福岡市と近郊の都市では、オンライン授業が導入される学校が多くなっています。 診察の際に、オンライン授業での困りを耳にすることが多いため、 私なりに対策を考え、ご紹介します。 オンライン授業がうまくいってないなと感じる子どもたちへの 解決の糸口になればと思います。 1. 集中しづらい わざわざ紹介するまでもありませんが・・・ 周りの物が目に入ってしまうと、つい気が逸れてしまいます。 オンライン授業を受ける際の環境調整としては、 何もない壁に向か

          オンライン授業の困り